戦前の世界の鉄道の時刻表を辿って、東京からロンドンまでを旅する仮想旅行。
13日目の朝、ついにユーラシア大陸を横断しドーバー海峡にたどり着いた。
海峡の向こうはイギリスの地。ロンドンは目前に迫っている。
- #1 プロローグ
- #2 Day 1/東京 - 下関
- #3 Day 2/下関 - 釜山
- #4 Day 2/釜山 - 安東
- #5 Day 3/安東 - 新京 - ハルビン
- #6 Day 4/ハルビン - 満州里
- #7 Day 5/満州里 - チタⅡ
- #8 Day 6, 7, 8/チタⅡ - ノヴォシビルスク
- #9 Day 9, 10, 11/ノヴォシビルスク - モスクワ ヤロスラフスキー
- #10 Day 11/モスクワ ベラルースキー - ストルブツィ
- #11 Day 12/ストルブツィ - ワルシャワ
- #12 Day 12/ワルシャワ - ズボンシン
- #13 Day 12/ズボンシン - ベルリン - ハノーバー
- #14 Day 13/ハノーバー - アーヘン
- #15 Day 13/アーヘン - ブリュッセル - オーステンデ
ドーバー海峡横断
イギリスとヨーロッパを結ぶルートは多数あるのだが、今回の旅のルートは、当時のイギリス南部の鉄道会社であるサザン鉄道の海峡連絡サービスを利用しているので、そのリーフレットから船の運行状況を拾っていく。
10ページほどのリーフレットには、ロンドンからパリ、ブリュッセル、オランダ方面を結ぶルートとして多数の航路が掲載されている。
イギリス側はドーバーを始めとして、フォルクストーン、ニューヘブン、グレーブセンド、そして、タイタニック号も出向したサウサンプトン、大陸側はフランスのカレー、ブローニュ、ディエップ、ダンケルク、ベルギーのオーステンデ、オランダのロッテルダムなどを結ぶ航路があったようだ。
中でも本数が多かったのが、ドーバー-カレー間とドーバー-オーステで間の2航路。前者はロンドンとパリを結ぶルート、後者はロンドンとブリュッセルそして、欧州各国を結ぶルートとして活用されていたようである。
表紙を見ると"THROUGH SLEEPING CAR SERVICE between London & Paris"という記載もあり、ロンドンからパリまで寝台列車を船で運ぶ直通サービスもあったようだ。
また、ドーバー海峡の連絡輸送は、別のイギリスの鉄道会社LNERでもおこなっており、ロンドン東部のハリッジからベルギー、オランダを経由した連絡運輸を行っていたようだ。
グレートブリテン上陸
#10 オーステンデ桟橋 - ドーバー マリーン
dep: arr: 連絡船 ドーバー マリーン 行き
8月15日の午前10時8分。長いユーラシア大陸鉄路の旅を終え、オースデンテ埠頭駅に降り立つ。だが、ほっとする間もなく、目の前のドーバー海峡を渡る連絡船に乗り込まなくてはならない。出航時刻は10時50分、乗り換え時間は40分程しかない。
時刻表を見てみると、オーステンデとドーバーを結ぶ船は1日3本、朝と夕方と深夜に出航していたようだ。船の運行はベルギーの国営だったようだ。
ワルシャワから1昼夜ともにした北急行の車両から荷物を運び出し、連絡船に乗り込む。
オースデンテからドーバーまでの所要時間は3時間20分。この速度は、現在の基準で考えてもかなり早い。
英仏間のユーロトンネルが開通する1994年ごろまでは、この区間のフェリーは残っていたのだが、所要時間は4時間ほどで、それよりも早いということになる。(ただし、一時は、当ブログでも何度か乗船しているジェットフォイルがこの航路に就航していたこともあり、このときはわずか100分で結んでいた。さすがジェットフォイル。ジェットフォイル乗船記は、種子島 H-IIAロケット打ち上げ見物や日韓共同きっぷで板門店訪問や東京湾彷徨記を参照。)
ドーバー-カレー間の時刻表を見ても75分ほどで到着しており、現在の90分よりも速い速度で就航していたようだ。この当時は各国の様々な企業がドーバー海峡横断事業に参画していたので、速度に関する競争が今よりも激しかったかもしれない。
さて、出航から3時間あまり。ドーバーの港がその姿を表してくる。
日本からユーラシア大陸を横断し、いよいよ目的地ロンドンのあるグレートブリテン島に上陸することになる。
ドーバーからは、長かったこの旅の最後の列車に乗り換え、終点ロンドン・ビクトリア駅を目指す。
- BELGISCHE SPOORWEGEN OFFICIEELE REISGIDS VAN 16 APRIL TOT EN MET 7 OCTOBER 1939(1939年) DEUTSCHE REICHSBAHN
- COOKS CONTINENTAL TIMETABLE AUGUST 1939 (1939年) Thomas Cook / 復刻版 (1987年) J H Price
- SOUTHERN RAILWAY CROSS-CHANNEL SERVICES TO AND FROM THE CONTINENT SUMMER, 1939
- LNER CONTINENTAL SERVICES 15th MAY to 7th OCTOBER, 1939
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