JR東日本の北東北を除く大部分とその周辺の私鉄・第三セクター鉄道が2日間乗り放題となる「週末パス」を使って、私鉄制覇の旅に出かける。
週末のパスの対象となる私鉄・第三セクターは、全部で14鉄道であるが、そのうち4つ(ひたちなか海浜鉄道、鹿島臨海鉄道、福島交通、会津鉄道)は既にもろもろの旅で制覇済み。残りは10鉄道(山形鉄道、阿武隈急行、北越急行、えちごトキめき鉄道、上田電鉄、しなの鉄道、長野電鉄、アルピコ交通、富士山麓電気鉄道、伊豆急行)だが、週末パス有効期間の2日間でなんとか回りきることができそう。
ということで、伊豆半島・下田を皮切りに、北は山形鉄道まで、乗り潰していくことにする。
下田からスタート
下田・寝姿山
旅のスタートは、伊豆半島の温泉地・下田から。早朝からの旅に備えて前泊したので、少し街を探索する。
東京から遠く100キロ以上離れた場所にある伊豆急の下田駅だが、さすがは首都圏の観光地、普通に都会である。駅から歩いて、5分ほどの場所にロープウェイがあったので、乗ってみることにする。
下田ロープウェイは、下田港を見下ろす寝姿山の展望台への足となるロープウェイ。全長540メートル、高低差156メートルと少し小規模な交走式ロープウェイで、間に支柱はない。乗車時間は3分少々であっという間に山頂側の駅に到着する。
駅からは寝姿山を巡る遊歩道があり、途中の展望台からは眼下の下田港はもちろん、伊豆大島をはじめとした伊豆諸島の島々が見える。下田からは、利島、新島、式根島、神津島への航路が出ている。
下田と言えば、ペリー提督上陸の地として有名。ペリー上陸の地には記念碑が建てられている。
ペリーの碑を身に、うろうろ歩いているときにGelateria Amoreというイタリアンジェラート屋さんを見つけた。港のすぐ近くなので、ベンチに腰掛けて海を見ながら食べることができる。
とてもおいしく、見た目もきれいなジェラートだったんだけど、写真を撮るの忘れちゃったんだよね。
その一方で、この日食べた海鮮丼が恐ろしくまずかった。こちらは店の名は伏せるが、まあ、酷いものだった。ご飯に刺身を乗せただけのどんぶりがどうしてこんなに不味いのか食べながらずーっと考えていたが、魚の鮮度なのか、切り方なのか、全く答えは分からず。ただひたすら拷問レベルでまずかった。いや、ちょっとヒドいぞ、あの下田駅近くの海鮮丼屋さん。
寝姿山の展望台から下田港を眺める
伊豆急行
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ホームは踊り子に対応できる長さ
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(伊豆急行 伊豆急行線 45.7km)
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(JR東日本 伊東線/東海道本線 92.7km)
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(JR東日本 横浜線 44.4km)
下田・下田駅
さて、翌朝からはいよいよ10私鉄制覇の旅を開始する。
まずは伊豆東岸の足、伊豆急こと伊豆急行。熱海から伊東へ伸びるJRの伊東線をさらに南へ伸ばした路線である。
東京から踊り子も乗り入れるため、最果ての終着駅でありながら、9両編成の対応の長大ホームを有する頭端式のホームとなっている。
伊豆急下田の始発は5時38分の普通列車。各駅に停車しながら伊豆急の起点・伊東駅を目指す。
下田からしばらくはいくつものトンネルを潜りながら山間部を走っていくのだが、河津桜で有名な河津駅あたりから線路は海沿いを走るようになる。
海が見えると、その向こうに伊豆大島が見えてくる。下田から見た時よりも近くに見えるため、「大島」の名に相応しい巨大な姿を見せる。
早朝の上り列車ということで、下田から乗る乗客は10名そこそこだったが、列車が進むにつれ、学生服姿の乗客がどんどん乗車してくる。
伊東・伊東駅
一時間ほどで終点の伊東駅に到着。まずは、一つ目の伊豆急行の伊豆急行線の制覇完了。
続いて、向かいのホームに止まっている上野東京ラインの宇都宮行に乗り換えて、横浜に向かう。
伊東から横浜までは2時間弱。長旅になるので、奮発してグリーン車で移動する。
というか、伊東から宇都宮ってどんだけ走るのよこの列車? 調べてみたら、走行時間4時間10分距離231キロとか、恐ろしすぎる。
横浜・横浜駅
次に乗車する私鉄は富士急に乗るよてい。富士急は中央本線の大月が起点なので、横浜から横浜線で中央本線の八王子に向かう。ちなみに、途中の戸塚で湘南新宿ラインに乗り換えて新宿に向かっても、最終的に中央本線の同じ列車に乗ることになる。
富士急行
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(JR東日本 中央本線/ 富士山麓電気鉄道 富士急行線 67km)
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(下) 河口湖に3秒滞在
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(富士山麓電気鉄道 富士急行線 26.6km)
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(JR東日本 中央本線 46.3km)
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(JR東日本 中央本線/篠ノ井線 101.3km)
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八王子・八王子駅
八王子から中央本線の特急富士回遊11号に乗車。この特急は大月まで特急かいじに併結され、大槻から分かれて富士急行に乗り入れる特急。つまり、この特急に乗っていれば、富士急行線も制覇となる。
大月から分かれて、富士急行線に入ると車両は3両編成となるが、ほぼ満席。お目当ては富士山なのか、富士急ハイランドなのか? 何にしろ大人気ですな。
大月駅の標高は358メートル。終点の河口湖駅が857メートルなので、富士急行線は26.7キロで499メートルを登る登山鉄道でもある。特急ということで、途中の駅をどんどん通過し、カーブを小刻みに曲がりながら山を登っていく。
途中の停車駅・都留文科大学前駅を過ぎたあたりから富士山が顔を出し始め、ついには真正面を拝むことができるようになる。天気予報は曇りだったのだが、頂上以外はほぼ見えたので、上出来である。宝永河口が見えない分、山梨側の方が富士のシルエットは美しいよね。ちなみに、座席は進行方向に向かって右側の方が富士山が良く見える。
富士登山の吉田口のアクセスルートでもある富士山駅に到着すると、列車はスイッチバックして進行方向を変える。次の駅がその名も富士急ハイランド駅。カップル以外の若者はたいてい、この駅で下車するようである。
そして、次の駅が終点・河口湖駅。もちろん河口湖への玄関口である。
富士河口湖・河口湖駅
終点・河口湖に到着して富士急線の制覇が完了したわけだが、折り返しの列車の出発まで37分時間がある。
河口湖まで徒歩10分ちょいらしいので、なんとか往復できそうである。せっかくなので河口湖を見に行くことにした。
歩き始めてしばらくして、すぐに後悔し始めたのだが、駅から河口湖まではまあまあの下り坂。ということは、帰りは上り坂となるわけである。10分で湖畔にたどり着いたが、帰りのことで頭が一杯。河口湖滞在時間3秒にて、トボトボ坂を引き返し始める。
富士河口湖・河口湖駅
なんとか無事坂を上り切って、やはり10分ほどで駅に戻ってきた。
次に乗る列車は富士急行内の特急・富士山ビュー特急12号である。鉄道デザイン界の巨匠・三戸岡氏デザインの観光特急となっている。3両編成で乗る車両によって、料金が異なる三等制度をとっている。
私が乗ったのは一番安い3号車。それでも木目の質感が落ち着いた雰囲気を出しているいい車両である。この車両、もともとは御殿場線を走っていた特急あさぎり号の車両で、富士急に払い下げれた後改装したものらしい。中古車両にパネルを張って、新たな車両によみがえらせるのは三戸岡氏の真骨頂。中古車両の制約下でオリジナリティあるデザインに仕上げるところがまさしくプロのインダストリアルデザイナーである。さすがです。
さて、昼過ぎに河口湖を出るという中途半端な時間の列車であるが、3号車はインバウンドで大盛況だった。大げさではなく、車両で日本語を話すのは俺一人なのではなかろうかと思う。フジヤマ大人気ですな。
途中車内販売が回ってきたので、おいしそうだったどら焼きを買った。富士吉田の和菓子屋・東京屋製菓さんの黒糖どら焼きとのこと。皮にほんのり黒糖の味があんとよくマッチする。完成度の高いどら焼きである。
大月・大月駅
終点の大月からは、再び中央本線の特急に乗る。次のターゲットは信州の私鉄、3セク路線群、かいじ、あずさと乗り継いで松本を目指す。
さっきどら焼きを食べたばかりにも関わらず、またしてもあずさの車内販売でお菓子に手を出してしまった。信州のりんごをつかった「アップルシナモンかりんとう」を購入。味はアップルパイのような進化系かりんとう。あまりだけのかりんとうでは令和は生き残れないぞという気概を感じるお味でした。
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