2024-08-14

冠峠山道路・白山白川郷ホワイトロード 周遊ドライブ

冠峠道路・ 白山白川郷 ホワイトロード 周遊ドライブ 2024/7/13-14

 岐阜県と福井・石川両県の間には2000メートル級の両白山地が横たわっている。このため、両地域を跨ぐ鉄道も高速道路も存在しない。まもなく大野油坂道路が開通するが、これが初めての高規格道路となる。
 一般国道も大野油坂道路の現道区間である158号が唯一の道路で、他はいわゆる酷道あるいは、それすらない道路であった。だが、昨年、20年の歳月をかけ、冠山の下にトンネルを通した冠山峠道路が開通し、長年未開通であった国道417号線が全通した。ようやく、岐阜と福井を結ぶ二つ目の道路ができた。
 一方、石川・岐阜両県の間は未だに国道は開通していない。その代わり、スーパー林道として建設された白山白川郷ホワイトロードが夏季の間のみ通行可能である。
 今回は、冠山峠道路の開通を祝して、冠山峠道路と白山白川郷ホワイトロードを周遊してみる。
 福井には現存12天守の丸岡城もあるので、ここも押さえておく。

徳山ダム

日本一の総貯水容量を誇る徳山ダム (上) 石を積み上げて作るロックフィルダム。まるで山。
(下) 浜名湖の2倍の貯水量
揖斐川・徳山ダム

 まずは、開通したばかりの冠山峠道路を通って、岐阜から福井へ抜ける。
 冠山峠道路は大垣から越前町まで抜ける国道417号線の一部で、両県の県境付近岐阜県揖斐川町と福井県池田町を結ぶ全長7.6キロの道路である。この区間は長年自動車が通行できない区間となっていたが、合わせて約5キロの二つのトンネルを掘ることで直結された。冠山峠道路の岐阜側の手前は2006年に開通した徳山バイパスとなっているが、このバイパスは日本一の総貯水容量6億6,000万m3を誇る徳山バイパスの建設時の代替道路として整備されたものである。
 ということで、冠山峠を超える前に、徳山ダムを見学する。

 徳山ダムは、ダムの堤体が岩石や土砂を積み上げて作られたロックフィルダムである。堤高は161 mと日本第3位。コンクリートダムとは異なり、土台に向かって幅が広くなっていくので、その姿はまるで山のようである。6億6,000万m3の総貯水量は浜名湖の2倍らしく、湛水面積も諏訪湖に匹敵する大きさ。とんでもない大きさである。
 堤体の近くに見学用の駐車場があり、堤体の上を歩いていけるのだが、160メートルの頂点にあるはずの迫力を感じられないんだよね。多分、ロックフィルダムの堤体が垂直ではなく斜面になっていることで高さを感じにくくなっているのが大きな理由だとおもうのだが、もう一つロックフィルダムのどっしりとしたフォルムが安心感がそう感じさせるのではないかと思った。逆に言うと、コンクリートダムの上にたったときの迫力って、コンクリート建造物が水を支えているということに理解が追い付かない不安感の裏返しなんだろうなと感じた。

揖斐川・冠山峠道路

 いよいよ冠山峠を超えて、県境を越える。といっても、長いトンネルを二つ抜けるだけである。
 20年もの苦労の末開通させてくれたありがたいトンネルではあるが、通ってみればものの10分である。

かずら橋

かずら橋 通行料は300円 (上) 橋の上から渓谷をのぞき込む
(下) 橋の向こうは「そばの郷」
池田・かずら橋

 冠山峠道路を抜けて、本日の目的地・丸岡城を目指していたのだが、途中・たくさんの車が止まっている場所があった。
 かずら橋という吊り橋がかけられているそうだ。
 駐車場から数分あるくと、足羽川という九頭竜川水系の渓谷の上にかずらで作られた吊り橋があった。道路から少し離れた静かな場所に橋が架かり、橋の上からは清流の流れを見ることができる。パワースポットとして、人気なのだそうな。
 橋を渡るとそばの郷 池田屋という蕎麦打ち体験ができる場所があり、ちゃんと水力で動く水車小屋が水車を回している。お腹もすいたし蕎麦を食べたいところだったが、先を急ぐことにする。

丸岡城

現存十二天守・丸岡城 (左) 階段というより梯子
(右上) 天守閣は石瓦が拭かれている
(右下) 城郭はほとんど残っておらず、天守閣のすぐ近くに民家が経っている
坂井・丸岡城

 国道417号に別れを告げ、北陸道を北上して丸岡城に向かう。
 丸岡城は、江戸時代の天守が現存する現存12天守の一つである。ただし、現在立っている天守閣は、1948年の福井地震によって倒壊した後、1955年に部材を70%以上再利用して組み直して修復再建されたものである。三割現存していないじゃないかと言ってしまえばそれまでだが、江戸以前から現存する木造建築は幾度も半壊、倒壊したものを組み直しながら使われてきたものばかりなので、再建も含めて木損建築のライフサイクルであると言っていいと思う。よって、丸岡城も立派な現存木造建築である。
 そして、福井地震の際に梁も折れているので、再建の際、継ぎ足した柱がはっきりとわかるのがこの城の面白さである。

 現存天守はどこも、上階に上る階段が狭く急なのだが、この丸岡城は格別。会談ではなくてほぼ梯子である。上り下り用にロープが垂れ下がっているのだが、下りはロープにつかまらないと怖くて降りられない。事故が起きてしまうと、天守の公開ができなくなってしまうかもしれないので、見学に行く人は慎重に上りおりしてほしい。
 城郭は残っているものの建物が何も残っていないというお城は日本中にあるのだが、丸岡城は逆に天守のある本丸以外はほとんど残っておらず、3回の窓から見下ろすと見えるものは本丸間近に建てられている民家である。お堀も何もなくいきなり本丸がある。むしろ、よく天守閣が残ったものだと感心するが、明治維新後に各種建物が競売にかけられ移築されたものの、手狭な天守閣だけが買い手がつかず残ったというのが真相らしい。
 この城のもう一つの特徴は瓦で、石瓦が葺かれている。豪雪地帯のため、一般的な土製の瓦では割れて島じゅため、寒さに強い石瓦が用いられているとのこと。でも、弘前城のある弘前も豪雪地帯だと思うのだが、そのあたりの事情は調べてみたが分からなかった。

 丸岡城の見学を終えたところで、この日は近くのあわら温泉に宿泊。翌日は白山白川郷ホワイトロードで、岐阜に戻ることにする。

白山白川郷ホワイトロード

中宮温泉ビジターセンターに到着したが、依然として雨模様 最初に見える大きな滝 しりたか滝 沿線最大の見どころ ふくべ大滝
白山・中宮温泉ビジターセンター

 翌日、大雨である。天気予報を見ても午後若干雨が弱まる予報ではあるものの曇り。白山白川郷ホワイトロードは、最高標高1450メートル、その眺望のすばらしさで知られた有料道路であるのだが、白山方面は雲で覆われ、何も見える気がしない。
 しかしながらこの日は下呂温泉の旅館に予約を入れてあるので両山山脈を超えるしかなく、とりあえず前に進むしかない。

 あわら温泉から2時間余り。ホワイトロードに至る前からまあまあの山道を登り、ようやくホワイトロード入り口にある白山国立公園中宮温泉ビジターセンターにたどり着いた。かつて下記の間のみ開校されていた分校の跡地に建てられたビジターセンターでは、白山の自然や生息する動物などの説明が展示されている。
 当然きれいな風景写真が多数展示されているのだが、外は相変わらずの雨。小降りにはなってきているが、晴れそうにはない。天気はどうにもできないので、先に進むことにする。
 ビジターセンターのすぐちかくの料金所を超えると、いよいよ白山白川郷ホワイトロードのスタートである。
白山白川郷ホワイトロードは、1977年に白山スーパー林道として開通した。スーパー林道とは旧森林開発公団が開通させた高規格の道路であるが、開通後は石川・岐阜両県管理の道路に移管され、2015年から現在の白山白川郷ホワイトロードに愛称が変更された。
 開通以来、現在に至るまで石川・岐阜を直結する唯一の自動車道路となっている。雪深い高地の道路のため冬季は通行禁止となっており、例年11月から6月まで半年以上閉鎖される。

 有料道路といっても片側1車線の広くはない道路で、「まあまあ走りやすい山道」といった感じである。
 沿線には大小多数の滝がある。滝によっては目の前に駐車スペースがあり滝を見学することができる。
 一方、滝によっては走行中に窓から見ることしかできない滝も多数あり、それらの滝は「おー、きれいそうな滝がある!」と思いながらも素通りするしかない。
 印象的だったのが姥ヶ滝という岩肌を滑り落ちる大きな滝。雨のため断念したのだが、本来は途中の蛇谷園地駐車場から往復40分ほどで目の前の温泉にいくことができるらしい。いつか、もう一度見てみたいものである。

白山・ふくべ大滝

 中宮温泉から15分ほどで、目の前に突然大きな滝があらわれる。ホワイトロード随一の落差・86メートルを誇るふくべ大滝である。
 滝の目の前の展望台は滝つぼよりもかなり高いところにあるため、見上げる高さから見下ろす高さまで一気に落水する姿をしっかり見ることができる。水量も豊富で、迫力がある。

ふくべ大滝

標高が高くなるにつれ霧が濃くなってきた 最高標高地点の三方岩駐車場
晴れたらすばらしい眺望らしい(知らんけど)
白川・三方岩駐車場

 ふくべ大滝から先は、雨に加えて霧が出てきた。そこから先の展望台は何も見えなかったのはもちろん、道路すら先が見えない状況だった。
 石川県から県境のトンネルを超え、岐阜に入ると、すぐに白山白川郷ホワイトロードの最高地点の三方岩駐車場がある。標高は1,450mで、眺めがとてもよいらしいのだが、まあ、言わずもがなただただ真っ白であった。

道の駅・白川郷 合掌ミュージアム
白川・道の駅白川郷

 三方岩駐車場からは山を一気に下って白川郷に至る。ゆっくり走って1時間、晴れていたら絶景を楽しめたであろうことは容易に想像できるドライブコースである。
 まあ、悪天候の一日だったが、ふくべ大滝だけはその姿をしっかり拝むことができたので、良しとするしかないですな。
 さて、この日の宿は下呂温泉にとってあったので、東海北陸道で少し南下しようと白川郷インターに向かったのだが、その手前の道の駅・白川郷が面白かった。
 道の駅に合掌ミュージアムという、合掌造りの屋根を実物大で展示してある施設がある。屋根の高さに通路が作られているので、合掌造りの茅葺屋根を間近に見ることができる。
 白川郷に行けばいいじゃないかと言われればそれまでなのだが、実際の建物では見ることができない場所からじっくり観察できるので、合掌造りの見学と合わせてみることをお勧めする。

 今回のメインディッシュであった白山白川郷ホワイトロードがあいにくの悪天候ではあったのだが、まあ、一応予定通り、岐阜-福井-石川-岐阜の周遊ドライブを完遂することができた。
 ところで、岐阜と福井を結ぶ鉄道は無いと書いたが、かつて両県を結び越美線という計画があった。両県から建設が進んだものの真ん中の山岳地域を貫くことなく未成線となった。これが現在のJR西日本の越美北線と長良川鉄道である。
かつて、この両線を自転車で横断したことがあるので、その旅行記・越美北線・越美南線 自転車連絡大作戦もどうぞ。

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