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2020-07-12

弾丸フェリーで九州ケーブルカー弾丸制覇

弾丸フェリーで 九州ケーブルカー 弾丸制覇 2020/7/3-5

 いつも以上に間が空いて1年近くぶりの更新。本来はこの間にアメリカのアムトラックに初乗車する旅などに出る予定だったのだが、未曽有の世界的コロナ危機で旅自体をキャンセル。自粛要請明けの7月に久しぶりに長距離の旅行に出かけることにした。
 今回の旅行はフェリーさんふらわあ さんのお得な往復プラン「弾丸フェリー」を利用した九州の旅。弾丸フェリーとは、現地0泊フェリー船中2泊の日程で往復切符を買ったら、往復わずか1万円になるという理屈のよくわからない出血サービス。さんふらわあさんの関西と九州を結ぶ三航路全てで利用できる。
 関西から九州にでかけて何をするかというと、現地滞在時間12時間で九州の全てのケーブルカーを制覇する。全てといっても九州内の鉄道事業法上のケーブルカーは別府と北九州の2か所のみ。二つのケーブルカーをサクッと制覇して、その日のうちに大阪に帰ってくるというプラン。

現地0泊 弾丸フェリー

(左)フェリーへの連絡通路に「弾丸フェリー」ののぼり
(右上)さんふらわあ こばると
(右下)ツーリスト ルーム
大阪・さんふらわあターミナル(大阪) 第1ターミナル

 大阪ニュートラムのトレードセンター前駅に直結した、さんふらわあターミナルから出向する別府行のフェリーに乗船する。
 大阪を夜7時55分に出航して、別府に着くのが翌朝7時45分。その日の夜19時35分に別府を出港して、翌朝7時35分に大阪に戻ってくるので、日程的には往路12時間、九州滞在12時間、復路12時間の合計36時間の行程となる。
 弾丸フェリーの往復1万円のプランは、ツーリストという相部屋の料金となる。料金を追加すればベッド付きの相部屋(ツーリストベッド)や個室に変更することができる。今回はせっかくなので弾丸感を堪能しようとツーリストにしたのだが時期が時期だけにお客様が少ない。
 ツーリストは大体40人ぐらいがすし詰めになるぐらいの大きさの部屋で、それをパーティションで半分づつに区切っている。しかし、この日の乗客は各パーティションに数名程度。広大な敷地面積を与えられた結果、おそらく最も高い個室を借りた人々よりも広々と部屋を使うことができることとなった。

 一時間弱前に乗船し、荷物を何となく片づけて船をぐるりと見学し終えた頃、船内に銅鑼が鳴り響いた。出航15分前の合図だそうな。15分後、船は静かに港を離れ、瀬戸内海へ向かって出航した。
 まずは腹ごしらえと言いたいところだがコロナ対策でレストランは閉鎖。晩御飯はターミナル横の商業ビルのサイゼリアで済ましてしまったので、後は風呂入って寝るのみである。
 風呂に入ってみると、まあまあの広さのある大浴場。シャワーのお湯もたっぷり使えてなかなか快適である。この日、ほとんど波の無い穏やかな海で揺れをほとんど感じなかったのだが、浴槽の水面を見ていると時々船が旋回のため傾いているのがよくわかる。途中かなり大きく旋回したらしく、並々と蓄えられた浴槽のお湯が2割ほど盛大にあふれ出てきた。これぞ、フェリーの風呂の醍醐味だろうか?

 深夜に明石海峡大橋や瀬戸大橋の真下を通過するという見どころもあるのだが、この日はあいにくの雨模様でデッキに出られなかったため、明石海峡大橋の通過を確認し早々に就寝。翌日のケーブルカー制覇に備えるとする。

別府に到着

国際観光港から別府駅前へは路線バスで10分ほど (左)駅前になんかテンションの高い銅像が
(右上)温泉のオブジェもある
(右下)駅前には弾丸フェリーのビルボード まっすぐな道の先にお城とその先の山の上に二十観覧車
別府・別府国際観光港

 翌朝、定刻通り別府国際観光港に到着。
 ターミナルから出るとすぐ右手に別府駅行きの路線バスが待ち構えていたので、それに乗車し別府駅へ向かう。

別府・別府駅

 なんだかテンション高めな不思議な格好をしたおっさんの銅像が出迎える別府駅に到着した。
 銅像の台座には「ぴかぴかのおじさん」という謎の銘文がある。どうやらこの方、油屋熊八という名前だそうで、別府の観光地化に尽力された方なのだそうな。よくわからんがアゲアゲなおじさんだったんだろうということだけは、ひしひしと伝わってくる。
 さて、本日最初の目的地はケーブルカーが併設された遊園地・別府ラクテンチ。現地で名のある老舗の遊園地らしいが、別府駅から数キロという意外と近場のリゾートである。路線バスも運行されているのだが、時間的に合わないため、駅からとぼとぼ歩いてみることにした。
 別府駅から見て南に数百メートル離れた別府庄内線という大通りがあるのだが、その通りを真っすぐ山に向かって延長した場所に別府ラクテンチはある。ゆるい上り坂の続く道を登っていくと遠くに遊園地の入り口の建物と山の上にそびえる名物の二重の観覧車が姿が見えてくる。この日は天気が悪く、山にもやがかかっていたため、西洋の城に似せた遊園地のゲート魔王の待つ城の様にも見える。
 フェリーと路線バスで移動した上に、徒歩でトボトボ山を登らせる魔王め、勇者を足腰から弱らせる作戦とは実にやり方が汚い。

 駅から20分ほどで大通りは右に大きくカーブしていくのだが、そんな流れには乗らず我が道を真っすぐ歩み続けると、魔王の城ではなく、ラクテンチの入口にたどり着く。
 別府駅からは30分ほど時間がかかった。
 まだ開園前と言うこともあり、お客さんはおいら一人のみ。数名のスタッフの方があわただしく開園準備をされている。

別府ラクテンチ

遊園地の入り口がケーブルカーの駅舎 ラクテンチケーブルカー (左)山上駅の駅舎は世界唯一の二重観覧車
(右)この日、視界はほぼゼロ
別府・別府ラクテンチ

 別府ラクテンチのメインエリアは、目の前にそびえる山の上にあり、そのエリアと麓をケーブルカーが繋いでいる。遊園地の「のりもの」のようだが、法律上は鉄道事業者として登録されているので、れっきとした公共交通機関である。法的には遊園地に行かない人も利用することができるはずなのだが、ケーブルカーの料金は遊園地の入場料金に含まれているため、入場券を買わなくては乗れないことになっている。
本日、第1号のお客さんとして入場券を買い求めケーブルカーに乗り込む。結局、乗客は第1号にして唯一のおいらだけで、貸し切り状態で出発した。
 ケーブルカーの全長は300メートル弱と短いのだが、勾配は最高で558パーミルとかなり急。特に終点近くの勾配は急でケーブルカーの醍醐味を味わうことができる。
 わずか3分で山上のラクテンチ上駅に到着。麓から見えた二重の観覧車は駅舎の上に備えられていたようだ。ちょっと乗ってみたい気もするのだが、先を急ぐし天気が悪くて何も見えなさそうなので、10分後の次のケーブルカーで麓に降りることにした。
 ケーブルカーを降りたら、またしてもバスの時間と合わないため、やはり歩いて別府駅に戻ることにする。


ラクテンチケーブルカー下り前方展望

北九州市へ

別府から小倉へ特急ソニックで移動 皿倉山ケーブルへのシャトルバス
北九州・八幡駅

 次は、二つ目にして本日最後の目的地・北九州市の皿倉山ケーブルカーへ向かう。同じ九州北部とは言え、別府からだとまあまあの距離があり特急ソニックを使っても2時間程時間がかかる。
 別府から小倉まで青い車体が魅力の特急ソニックで移動し、その後、小倉駅で普通列車に乗り換えて八幡駅に向かう。八幡駅からは無料のシャトルバスが出ているので、それに乗れば10分ほどで皿倉山ケーブルカーの乗り場に到着する。

いざ皿倉山ケーブルカー

皿倉山ケーブルカー 山麓駅 皿倉山ケーブルカー ケーブルカーからスロープカーへ乗り換える いく手は濃霧 山頂 なんも見えん
北九州・皿倉山ケーブルカー山麓駅

 皿倉山ケーブルカーの乗り場に着いた早々に早速検温。大阪のフェリーターミナルでもラクテンチでも検温されたので昨日の夜から3度目の検温。なかなかの重病患者対応。
 切符を買おうとすると深刻そうな係員が語りかけてきた。
 「本日、山頂から全く景色が見えませんがよろしいでしょうか?」
 わかっております。天気は快方に向かってきてはいるものの、依然として見るからにどんよりとした曇り空。こちらから山頂が見えない以上、そりゃ山頂からも何も見えない。
 しかし、おいらの目的は景色ではなくケーブルカー。線路と車体が見えりゃなんでもいいんですわ。

北九州・皿倉山ケーブルカー

 ケーブルカーの出発時間になったが乗り込んだのは二人。ラクテンチケーブル比2倍にはなったが、やはりほぼ貸し切り。
 皿倉山のケーブルは線形がS字になっており、二度のカーブを回って頂上にたどり着く。直線が原則のケーブルカーとしては先が見通せない車窓というのは結構レア。垂直に近い勾配を巻き上げられるのだがケーブルカーの醍醐味であるが、谷底に沿って弧を描きながら登っていくのも、これはこれでよいものである。高低差は440メートル、距離1キロ強をたっぷり7分かけて登っていく。

 山頂まで登りきると、そのままスロープカーなる簡易モノレールへの乗り換えを促される。ケーブルカーがたどり着いた場所は山頂まで距離があり、スロープカーに乗り換えて山頂を目指すこととなる。
 しかし、まだ山頂手前であるにも関わらず、あたりは霧に包まれ下界を窺うことはできない。山頂の景色は容易に想像できる。

 細いレールの上に大きな箱が載った一見とてもバランスの悪そうなスロープカーに乗り込み、山頂に向けて出発する。見た目に反して乗り心地は悪くなく、線路が細い分中に浮いているようにも見える。天気が良ければ3分間の上空の旅になっていただろうが、今回は視界数メートルの雲の中の旅。上に登れば上るほど視界が悪くなっていく。
 そんなわけで頂上に着いたときは下界どころか周りもよく見えないありさま。自称・日本新三大絶景の一つらしいが、その片鱗は全くうかがえなかった。天気予報ではこの後、少しずつ晴れていくはずなので、山上展望台のレストランで昼飯を食って待ってみたのだが天気は一向に回復せず、結局何も見えないまま、スロープカーとケーブルカーで下山することになった。


皿倉山ケーブル下り前方展望

別府温泉で汗を流す

別府駅から徒歩10分ほどにある海門寺温泉
別府・海門寺温泉

 午後2時を回った段階で早くも本日の目標を全て達成。帰りのフェリーに乗るために2時間かけて別府に戻ったのだが、まだ出航まで3時間ほど時間がある。
 せっかく別府に来たのに温泉に入らないで帰るのももったいないので、ひとっ風呂浴びることにする。別府の駅近くには温泉旅館だけでなく公衆浴場がたくさんある。銭湯として地元の方に愛されているのだが、中のお湯はちゃんと温泉である。
 駅の観光案内所で話を聞いてチョイスしたのが駅から徒歩10分ほどの場所にある海門寺温泉。最近改装したばかりできれいなのと、シャワーが完備してあるところがグッド。しかも料金はたったの110円。缶コーヒーよりも安い。
 入り口で料金を払い、すぐ横の脱衣所に入る。5人も入れば満員となるような狭い脱衣所で譲り合い精神を発揮して服を脱ぎ、いざ温泉へ。そんなに広くはないのだが、熱風呂とぬる風呂二つの大きな浴槽がならんでいる。話によればぬるい方も熱い方もとてつもなく熱い時があるらしいのだが、この日はメリハリのある湯加減。熱い風呂が苦手なおいらも、ぬる風呂でゆったりと過ごすことができた。
 フェリーの大浴場もいいけど、やはり温泉は格別ですな。

なぜかほっておけない別府タワー

別府市街地に鎮座する微妙なスケール感の別府タワー (左)下から見上げても微妙な張りぼて感
(右上)展望台は17階らしいが、17ってのは盛り過ぎじゃね?
(右下)朝は靄っていたラクテンチが見える とよ常本店の大分名物・とり天
別府・別府タワー

 さて、あとは晩御飯を食べてからフェリーターミナルに戻るのみと思っていたのだが、一つ気になる建物というか、構造物を発見した。別府の繁華街の少し先に見える小さなタワー。別府タワーである。
 重厚な作りでしっかりしたタワーに見えるのだが、いかんせん小さい。不思議なぐらいに小さい。ちょっとほっておけない小ささなのだ。

 遠近法で小さく見えているのかとも思ったが、そんなことはなく、あっという間にタワーにたどり着いてしまった。下から見上げてもやはりなんか小さい。
 調べてみるとタワーの高さは90メートルとそれなりの高さがあるのだが、展望台はわずか55メートルでビルでいえばせいぜい10階程度。その辺のマンションよりも低いのである。
 どこが入り口かと探してみたのだが地上1階には入場口らしきものはない。外に面したエレベーターとその横に小さな券売機があり、どうやらそこで入場券を購入し、セルフで展望台に向かう方式らしい。
 エレベーターに乗り込み、展望台のフロアのボタンを押そうと思ったのだが、その階数は「17」になっていた。いや、あの小さなタワーの展望台が17階ってのは、どう考えても盛り過ぎだと思うのだが...。ぜひ、カウントの基準を教えてもらいたいものである。
 フロアガイドをみると、タワーには展望台以外にも、その下層にラウンジやカラオケボックスがあるようだ。
 あっという間に展望台にたどり着くと、エレベーターの出口に左手に受付があり、そこへ1階で買ったチケットを見せるシステム。展望台はまあ、想像通り10階からの眺めが広がっている。
 朝、ラクテンチからは全く何も見えなかったのだが、この時間はすっかり晴れて、ラクテンチの二重観覧車が良く見えている。やっぱり観覧車は乗っておくべきだったかもしれないが、まあ、あとの祭り。

別府・とよ常本店

 さて出航まで約2時間少々。少々早いが晩御飯を食べることにする。
 別府の街をうろうろしていてちょっと気になったお店とよ常さんに入ってみる。最近移転したばかりらしく店の内外装ともに新品。観光客らしきお客さんでかなり賑わってている。
 名物は天丼らしいのだが、せっかくなので大分名物のとり天定食を食べてから帰ることにする。
 とり天とはその名の通り鳥の天ぷら。タルタルソースをつけて食べるイメージだったのだが、とよ常さんでは「とり天のタレ」なる黒い液体が添えられて出てきた。しょうゆベースの天丼のタレに近いソースなのだが、少し甘めでとり天によく合う。山盛りのとり天が皿に乗せられていたのだが、とり天ソースの魔力であっという間に完食した。ごちそうさまでした。

さんふらわあ再び

別府国際観光港から大阪へ 1日半ぶりに大阪に帰還
別府・国際観光港

 さて、九州ケーブルカーを全制覇する弾丸ツアーも無事終了。大阪に帰るべく、別府国際観光港にあるフェリーターミナルへ路線バスで移動する。
 恒例の検温を無事通過してフェリーに乗り込んでみると、土曜日の夜ということもあり、行きよりは乗客は少し増えたように見える。そうは言っても、20人の部屋に乗客は3人程度。広々と寝っ転がって大阪に帰ることができそうだ。
 天気が良いので行きにあまり見学できなかったデッキを見て回ってから、風呂入って寝ることにする。

大阪・さんふらわあターミナル(大阪) 第1ターミナル

 翌朝、定刻通りに大阪港に到着。出発からちょうど36時間、1日半の弾丸ツアーは無事終了。
 これで往復1万円は安いよね。

 足掛け10年以上掛けて全国23のケーブルカーを制覇してきたのだが、いよいよラス1、天橋立ケーブルを残すのみとなった。
 よりによって全長400メートルというもっともしょぼいケーブルカーを最後に残してしまったのだが、そんなに遠い場所にあるわけではないので、近いうちに片づけてしまいたいね。

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