2021-03-01

宇和島城とサンライズ瀬戸

宇和島城とサンライズ瀬戸 2021/2/28

 当ブログでは日本に12城残っている全国の現存天守閣を見て回ることを一つの目標にしている。
 12の現存天守の内、4つは四国にあり、愛媛、丸亀、高知は制覇済み。最後に残ったのが宇和島城である。
宇和島へは過去2回訪れているのだが(青春18きっぷ使いきり 西日本周遊1910.3kmバースデイきっぷ 四国全鉄道 完全制覇)、いずれも城を目前にして素通りしている。3度目の正直というわけでもないが、念願の宇和島城への入城を果たすべく宇和島へ向かった。

宇和島城入城

(左)宇和島城下から天守閣を見上げる
(右上)宇和島城入口の山門
(右下)天守間のある本丸への石の階段を上る 宇和島城天守閣 (左)宇和島城の場内
(右)天守閣最上層から瀬戸内海を望む
宇和島・宇和島城

 実は宇和島城の入口までは「四国全鉄道 完全制覇」のときに一度訪れている。その時は宇和島駅で50分ほど待ち時間があったため、ささっと見学できないかと城の入り口まで言ってみたのだが、宇和島城は平山城で山の上まで登らないと天守閣にお目にかかれないということがわかり、時間の関係で見学を断念した。
 考えてみれば、そもそもせっかくの現存天守に対して「ささっと見学」なんて考えは不届き千万で、じっくり見学すべきであったのだ。

 宇和島駅から10分ほど歩くと、宇和島城のある城山が見えてくる。城に入るための入口には申し訳程度の門があるのみで実に地味。往時は三の丸にあたる場所だったのでもう少し城の趣があったと伺えるが、現在は路地裏の裏門といった雰囲気である。
 なんだか歩幅の合わない山道の階段をしばらく登っていくと、頭上に石垣が見えてくる。山城の石垣ということで高さがあり迫力十分。しかしながら、石垣は見えども天守閣の姿は見えず、その姿を確認するためには本丸目指してさらに階段を上っていかねばならない。
 麓から10分少々、ようやく本丸に到着。がらんとした敷地にポツンと天守閣が鎮座している。
 本丸の西側が海に向かって開けており、瀬戸内海の島々を覗く眺望が広がっていた。宇和島城ができた当初は城の西側は海に面していて、海城でもあったようだ。
 天守閣は三層で、あまり大きくはないが保存状態がよく、ともすれば近世になって建てられた模造天守のようにも見える。
 しかしながら中に入ってみると、江戸時代からの歴史を背負った木造の骨組みがしっかりと天守を支えていた。現存天守らしい狭く急な階段を上って天守の最上階に向かう。
 最上階の窓からは、さらに一段高い場所から瀬戸内海の海を眺めることができる。奥まった入り江の中にある宇和島だが、その入り江の入り口を塞ぐかのような位置に九島という山がちな島がある。荒波からだけでなく、海から襲ってくる敵からも城を守っているように見える。とても穏やかに見える海には人工物はあまり見えず、江戸時代に城主が見ていた景色と変わっていないのではないと思えた。殿様が独占していた眺望が観光客にも開放されているかと思うと、良い時代になったものである。 

栗林公園

特急・宇和海と特急・いしづちを乗り継いで高松へ 栗林公園 高松駅の駅弁・あなご飯
高松・栗林公園

 さて、せっかく四国まで来たので帰りは寝台特急のサンライズ号で帰ろうと思っっているのだが、サンライズ瀬戸の始発駅は高松駅。同じ四国とは言え、宇和島から高松はかなり遠い。
 特急2本と快速1本を乗り継ぎ、3時間余りをかけて高松に向かった。
 高松に着いた頃には夕方になっていたが、それでも21時26分のサンライズ瀬戸号の発車時刻まではまだかなり時間がある。
 そこで高松の名所・栗林公園へ足を延ばすことにした。

 栗林公園は、高徳線で高松駅の隣の駅・栗林駅のすぐ横にある。
 高松藩の大名庭園を公園化したもので、公園の南側は江戸時代の庭園の姿をよくとどめているらしい。
 恥ずかしながら僕は栗林公園の存在を知らなかったのだが、本当に美しい名園で驚いた。大名庭園といえば偕楽園、兼六園、後楽園のいわゆる三名園の名前が思いつくが、断然、栗林公園の方が美しい。
 園内に張り巡らされた池と、それを取り囲むよく手入れされた松、さらには庭園の向こうに見える借景・紫雲山、すべてが美しく配されている。
 中でも園内の築山・飛来峰から見下ろす景色は絶景。池にかかる橋や茶室を含めて1枚の絵画のように整った姿を堪能することができる。
 あまり知名度は高くないと思うのだが、高松を訪れた際のマストポイント。うどん屋をめぐって帰るだけではもったいないので、ぜひ足を延ばしてほしい。

 栗林公園の見学を終えて高松駅に戻るのだが、高徳線で戻るのは芸がないので、歩いて5分ほどの琴電の栗林公園駅に向かい、琴電で戻ることにする。
 ところで琴電の終点・高松築港駅は高松駅のすぐ近く、歩いて数分の位置にあるのだが、いつも道に迷う。高松駅前の道になぜか横断歩道がないので、道の反対側を進むと駅舎に入れなくなるのだが、どうしてもそこにハマり込んでしまう。過去2回ほどハマったことがあるのだが、今回もやはりハマってしまった。いい加減学習しろという声に耳を塞いであえて言うが、もう少し道案内をどうにかしてほしい。
 サンライズ瀬戸の発車時刻まではまだまだ時間があるので、穴子弁当を食べながら、サンライズ号の入線を待つとする。

サンライズ瀬戸

サンライズ瀬戸号 (左)サンライズ号の廊下
(右)サンライズツインへ降りる階段 サンライズツイン
高松・高松駅

 20時55分、7両編成の電車寝台、サンライズ瀬戸号がホームの向こうにその姿を現した。
 かつて全国の鉄道網を縦横無尽に走り回っていた寝台列車だが、時代を追うごとに数を減らし、残っているのは東京と高松・出雲市を結ぶサンライズ瀬戸・出雲号のみとなっている。おそらく、今後寝台列車が復活する見込みもないと思われるので、サンライズ号は事実上日本最後の寝台列車と言ってもよい。
 そんなサンライズ瀬戸号が無くなってしまう前に乗っておこうと、今回、わざわざ高松から名古屋に止まらない列車に乗って帰ることにしたのである。

 入線後しばらくすると車両の扉が開く。号車番号を確認し、さっそく今晩の寝床に向かう。
 今回予約したのは「サンライズツイン」というツインルーム。2階建てのサンライズ号の1階に設置されている個室である。
 車内は車両の片側の縁に沿うように通路が設置されている。通路は1階と2階の中間の中2階といった高さにあたり、そこから2階の部屋へ上る階段と1階に降りる下り階段が交互に設置されている。各階段の先には部屋が向かい合わせで設置されており、左右にそれぞれの部屋に入る扉がある。
 部屋番号が書かれた階段を降りたら左手においらの部屋があった。扉を開けると細長いベッドが左右にひとつづつおかれていた。やや細いと言えば細いが、寝台列車と思えばかなりゆったりとしたベッドだ。
 部屋の片側には大きな窓がある。大きな窓で眺めがよさそうではあるのだが、1階という高さはホームより下にあたり、駅に止まると窓の下部がホームとほぼ同じ高さとなる。ようするにローアングラー垂涎の窓となっている。
 部屋には洗面台はないものの、その分二人でも十分身動きのできる広さが確保されている。天井も十分に高く、実に快適。できることなら、2泊ぐらいの旅行をしたいものである。

シャワールーム 岡山駅でサンライズ出雲と併結
岡山・岡山駅

 高松を定刻通りの21時26分に出発してから約一時間。途中瀬戸大橋を越えて岡山に到着する。ここで、サンライズ号最大のイベント、出雲方面からやってくるサンライズ出雲号との併結の儀式が執り行われる。
 何故に電車の連結がここまで人々の血をたぎらせるのかはわからないが、車内から多数の乗客が降りてきて、連結の瞬間を見守っている。もちろん、おいらもその一人である。
 先に到着していた瀬戸号の後ろに、後からやってきた出雲号がゆっくりと近づき、ガシャリと音を立て二つの編成が一つになる。で、これを見届けた人々は蜘蛛の子を散らすように自分の車両に戻っていった。なぜなら、連結が終わるとサンライズ号はすぐに東京に向けて出発してしまうのだ。
 おいらも自分の車両に飛び込み、部屋に戻る。

 食堂やビュッフェがあるわけではないサンライズ号の唯一の探索ポイントは、シャワールーム。瀬戸、出雲それぞれ二つずつシャワールームがあり、そのうち一つは「シングル・デラックス」を利用する乗客専用である。残った一つを他の乗客で争奪することになる。
 おいらがシャワールームに向かうと先客がいたため、近くのラウンジでシャワーが終わるのを待つ。赤の他人のおっさんがシャワーを終えるのを待ち望むなど、寝台列車でなければできない体験である。(全く持って楽しくないが...)
 シャワーはカード式で、1枚330円で6分間シャワーを浴びることができる。シャワールームの中には意外と広い脱衣所があり、窮屈な思いをせずに全裸待機を完遂させることができた。
 カードを機械に差し込み、いざシャワー室に向かう。
 寝台車のシャワーというと、かつてフィンランドで寝台列車に乗った時、シャワーから出るお湯が少なすぎてシャンプーの泡を流せず凍死しかけたのだが、サンライズ号はそんなことはなく、十分な量がお湯がシャワーから流れてくる。シャワーの時間は6分間なのだが、途中で停止でき、その間は時間がサスペンドされるようである。備え付けのシャワーとボディーソープで盛大に泡を立てても、十分洗い流すことが可能。すごいぞサンライズのシャワー!
 シャワーを浴びたあとはサンライズツイン号でゆっくり寝て、早朝の到着を待つのみである。おやすみなさい。

 ご時世の事情もあり、目的である宇和島城とサンライズ出雲を軽く見て回るだけの旅でございました。
 早くじっくりと周遊観光ができるような世の中に戻っていただきたいものですが、なかなか事態が収束する気配がありませんですなぁ...。