3つのスイッチバックを駆使して、箱根の山を400m以上登っていく、日本唯一の観光登山鉄道”箱根登山鉄道”。
かつてから、この箱根登山鉄道に一度乗ってみたいと思っていたのだが、名古屋からの距離が微妙に遠く、わざわざ行くのもなんだかなぁと思っていたのだが、おあつらえ向きの日帰りバスツアーを発見した。
名古屋からバスで箱根に向かい、箱根登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船(!?)を乗り継いで、再び名古屋に戻ってくるバスツアー。費用は¥8,980也。
これだ! と思ったおいらは、さっそく参加。
というわけで、今回はそんなバスツアーの道中記です。
(って、もう2ヶ月以上前の話なんだけどね...)
箱根湯本駅(標高108M)
名古屋・箱根間の距離はざっくり300km。普通、日帰旅行はしない距離。
なので、このバスツアーはかなりの強行軍。朝7時半に名古屋駅を出発して、戻ってくるのは夜9時過ぎ。全13時間半の行程のうち、移動時間は片道5時間×2の10時間で、箱根滞在時間は4時間あるかないか。
集合時間を守らない、はた迷惑なおばちゃん1名のために10分ほど遅れたものの、ほぼ定刻通りに出発したバスは、渋滞もなく順調に昼過ぎに箱根に到着。
しかしながら、箱根は雨模様。せっかく山を登っても麓の景色を臨むのは絶望的な状況。ま、梅雨時なので仕方ないですな。
箱根湯本
雨だというのに、箱根湯本駅は大混雑。
というのも、この時期、箱根登山鉄道沿線に植えられたあじさいが見ごなのださおうな。電車自体も”あじさい電車”と銘打っているらしい。
ホームで15分ほど並んで、12:39発の電車に乗り込む。
3両編成の電車が箱根湯本の駅を出るやいなや、いきなり急斜面を登り始める。
電車に乗っていても明らかに電車が斜めになっているのが分かるぐらいだから、相当な急勾配を登っている事が窺い知れる。
出山信号場
箱根登山電車は、箱根の山の急勾配を3回スイッチバック(切り替えし運転)を行って、急勾配を乗り越えていく。
スイッチバックの度に、先頭の運転手と後ろの車掌が入れ替わって、電車の運転方向を転換する。外は雨なので、乗務員は傘を差しながら、ホームを往復する。
大平台
大平台の駅で3回目のスイッチバックを終えると、今度は電車は幾度となく続く急カーブを、車輪を派手に軋ませながら進んでいく。
ところで、かんじんのあじさいだけど、なんだか雨が強くなってきてよく見えません。
強羅(標高553M)
登山電車に乗ること50分。
箱根湯本から標高にして450メートルほど登った終点強羅駅に到着。
ここで、ツアーの添乗員にやたら急かされながら(箱根湯本駅が込んでいた分、スケジュールが押していると思われる)、ケーブルカーの駅に向かう。
ケーブルカーの撮影もろくにできずに、流されるままケーブルカーに乗車。
早雲山(標高761M)
乗車時間10分で、さらに標高200メートル登り、早雲山駅に到着。
やはり、急かされながら次の乗り物ロープウェー乗り場に移動。
添乗員のおっさんは、なんだか、かなり焦っています。
早雲山(標高757M)
ケーブルカー乗り場から少々歩いて、今度はロープウェイの早雲山駅に到着。標高は少し下がって、757メートル。
箱根のロープウェイ山の中によくある巨大な2対の箱が交互に上下するタイプではなく、スキー場なんかにる中くらいの箱がクルクルと回ってくるタイプ。
一箱16名ほどに分乗して、早雲山駅を出発。
すると、眼下に箱根の箱根の木々、遠くに金時山を初めとする箱根外輪山、さらには富士山が見えるはずだったのだが...。
ま、雨はますます激しくなる一方。加えて、遠くの山はおろか、真下の木も見えないくらいの濃霧が発生。
ロープウェーに乗ってるんだか、窓のない会議室に監禁されているのだがわからないありさま。
大涌谷(標高1044M)
ロープウェイの乗り換え駅。そして、今回の旅程の最高地点大涌谷に到着。
が、そこは、まさに嵐。
雨、霧に加えて、時折突風も発生。
30分ほど、「自由散策」の時間なのだが、おみやげ物屋さんから一歩も出られず。
大涌谷
あまりにやることがないので、大涌谷の名物黒たまごを購入。
大涌谷の温泉でたまごを温めると外の川が真っ黒になるのだそうな。
ま、もちろんただのゆで卵なので、皮を剥けば普通の白いゆで卵になります。
ちなみに、1個食べると7年寿命が長くなるそうです。7年っつーのも、ポイント5倍デー的な、大雑把な勘定ですな。
桃源台(741M)
大涌谷で嵐をやり過ごした後、出発地点の箱根湯本とは反対側に山を下り、芦ノ湖の畔の桃源台に向かう。
本来、ここまでロープウェイが通じているのだが、経費節約のためか、このバスツアーではバスで移動。
なんだか、乗り物を一つ乗り損ねたのが、すげー悔しい。(事前に気がついていたら、このバスツアーには参加しなかったなぁ...)
桃源台
この桃源台から芦ノ湖の対岸、箱根港まで船で移動するわけだが、この船がなぜか海賊船を名乗っている。
もちろん、見た目は絵に描いたような海賊船で、乗務員も海賊スタイル。
って、ここ湖だろ??? どっちかっつーと、山賊がいるんじゃないのか、箱根って????
箱根というところは、非常に外国人観光客が多く、日本語以外の言語が道中の電車やケーブルカーでも飛び交っていたのだが、彼らはこの山間に湖に突如現れた、なんだかエセ洋風の海賊船に何を思うのだろう、と思っていたのだが、海賊船の乗り場に書かれていた英語をよく見てみると...
Hakone Sightseeing Cuise!!!
おいっ! 海賊船なら、"Pirate Ship"だろう????
そこまで、やってながら、今更恥ずかしがって、"Sightseeing Cuise"は、ねーんじゃないの??
それこそ、オリエンタル・マジックな船を期待して芦ノ湖にやってきた外人が、実物をみってがっかりするぞ!? 詐欺だよ、詐欺。海賊詐欺だって。
箱根港
(海賊)船に乗ること30分。
箱根の旅の終点箱根港に到着。
なんだか、大涌谷の嵐でぐったり疲れて、なんの感想もありません。
折角箱根まできて、道中見られたものといえば、霧ばかり。梅雨時とはいえ、なんだか...。
この後、名古屋に向かってバスが発車したのは午後4時半で、箱根滞在時間は約4時間半。
で、結局、名古屋に着いたのは、夜10時にほど近い時間だったかな。
いやぁ、なかなかにハードな、まさに『弾丸』ツアーでした。