横浜港には戦前太平洋航路に就航していた日本郵船の氷川丸も停泊している。氷川丸が活躍していたのは、筆者のサイト欧亜大陸鉄道で時刻表データをまとめているまさにその時代である。
一度見てみたかったのだが、日本初の都市交通型のロープウェイYOKOHAMA AIR CABIN もできたことなので、未踏破だったみなとみらい線の制覇や水上バスシーバスの搭乗も兼ねて、横浜観光に出かけてきた。
みなとみらい線
横浜・横浜駅
横浜駅からまずは未制覇だったみなとみらい線に乗って、終点元町・中華街駅に向かう。
みなとみらい線は、東急東横線の延長の形で横浜の港に沿って線路が伸びている第三セクター路線。
駅数は6駅しかなく、途中列車交換ができる駅が無いのだが、生意気にも(?)急行や特急運転が行われていてる。
渋谷方面からやってきた急行列車に乗ると、10分かからずに終点の元町・中華街駅に到着する。
巨大な円筒形のホームは、かなり深いところにあるらしく、やたら長いエスカレートにのって改札に向かう。長いエスカレーターってのは、なんだか近未来的に見えてかっこいいんだよね。
そんなわけで、あっという間に全線制覇完了。しかし、なぜ東急全線制覇の時についでにこれに乗っとかなかったんだろうな、俺。
氷川丸
(左)一等食堂と客室
(右上)読書室
(右下)舳先の先には横浜ベイブリッジ 1939年アメリカで発行された全米の時刻表 The Officeial Guide of the Railways
日本郵船の太平洋航路の時刻表も載っている (左)昭和14年(1939年)12月号の汽車汽船旅行案内のシアトル航路の時刻表
(右)1939年 イギリスのトマスクック時刻表に乗っていた日本郵船の広告
横浜・日本郵船氷川丸
横浜港、山下公園にかつて太平洋航路の花形客船で合った氷川丸が係留保存されている。
氷川丸が就航したのは1930年、貨客船として幾度となく太平威容を横断した後、戦時中は病院船となりながら戦火の中を生き残ってきた船である。
筆者は太平洋戦争直前の世界の時刻表収集が趣味なのだが、アメリカやイギリスの当時の時刻表に"Hikawamaru"(ハイカワマルと呼ばれていたのだとか)の名を確認することができる。
(当時の欧州国際連絡鉄道の時刻表を使用したタイムトリップ乗換案内サイト・欧亜大陸鉄道を作成しているので、ぜひご覧ください)
中に入ると、豪華な一等特別室や社交室、食堂室などが再現されており、往時の様子を伺うことができる。「一棟読書室」なんてものもあったのだが、船で読書なんか、船酔いがひどい俺からなんか想像がつかない...。まあ、でも当時はテレビも無かったので、読書ぐらいしか娯楽はないよなぁ。
機械室や船長室を含めて広い船内を見学できる氷川丸だが、惜しいのが二等客室や三等客室の様子があまり公開されていないこと。どちらかというと、当時のアメリカへの移民を乗せて太平洋を渡ったであろうそちらの客室の方が、庶民としては気になるんだけどね。
船内見学を終え岸壁に戻り改めて氷川丸を見てみると、その姿は実に優美。太平洋を横断するクルーズなんて一度は体験したいものですな。
YOKOHAMA AIR CABIN
横浜・YOKOHAMA AIR CABIN 運河パーク駅
山下公園から北に向かってとぼとぼ歩いて20分。ホテルの建物の向こうに運河パークから桜木町駅を結ぶロープウェイYOKOHAMA AIR CABINが見えてきた。
今回のもう一つのお目当てがこのロープウェイ。ロープウェイといっても小さなゴンドラが巡回するタイプなので、スキー場のゴンドラに近いイメージ。
町の中の上空を行きかうゴンドラとか、想像するだけで素敵じゃないですか。
運河パーク側からロープウェイに乗り込むことにする。
切符の購入前に少々行列ができており、乗車まで15分ぐらいかかったが、まあ許容範囲。ゴンドラに乗り込むと緩やかに高度を上げて行き、赤レンガ倉庫など横浜の港を一望できるようになる。ルートはほぼ直線で、地上で言えば横浜港の廃線跡を利用した汽車道に沿って桜木町へ向かっている。
乗車時間はわずかに5分。あっという間に桜木町駅に到着する。
桜木町側の駅はJRの駅のすぐ目の前。ロープウェイそのものが観光資源としてかなり有効であるが、JRにすぐ乗り換えできるという利便性から運河パーク方面を結ぶ都市交通としても存分に活躍できるポテンシャルがあると感じた。
都市上空の空中散策、他の街にもつくってほしいね。
YOKOHAMA AIR CABIN 運河パークから桜木町へ
シーバス
横浜・横浜東口シーバス乗り場
横浜の港をめぐる乗り物としてもう一つ外せないのが水上バスのシーバス。
横浜駅東口のそごうのすぐ横、横浜ベイクォーターの1階の乗り場からみなとみらい、赤レンガ、山下公園に向けて時間数本の頻度で発着している。
桜木町から横浜駅に戻り、歩いて5分ほどでシーバス乗り場に到着。横浜駅ってすぐ目の前が港なんだね。
横浜駅東口から山下公園までは直通便で15分、途中のみなとみらいと赤レンガ倉庫に立ち寄る便だと35分かかる。直通なら電車よりも早く山下公園にたどり着くことができるとは、シーバス有能。
シーバスは天井が低い独特のフォルムをしているのだが、その理由は横浜駅東口を出発するとすぐにわかる。
横浜駅東口は位置的には横浜港の入り江の中にあり、途中二つの橋をくぐって港に出るのだが、その橋の高さがものすごく低い。満潮ではない時間帯のはずだが、頭上ギリギリに見える高さの端をシーバスは潜っていく。満潮時はかなり迫力がありそう。
途中、赤レンガ倉庫や氷川丸を海から眺めながら山下公園に到着する。
同じ乗り場からは横浜港の観光船・マリーンルージュも発着しており、賑やかである。
ジークジオン
横浜・GUNDAM FACTORY YOKOHAMA
GUNDAM FACTORY YOKOHAMA
さて、山下公園に戻ってきたのは訳がある。
海上からもちらちらとその姿を伺うことができた連邦の白いやつこと、ガンダム立像を見に来たのだ。なにしろ今度のガンダム立像は動くらしい。
といっても巨大ロボットを動かすテクノロジーを持たない21世紀の人類が作り上げたモビルスーツは、人形浄瑠璃のようにガンダム背後から黒子ならぬ、黒い巨大シリンダーがガンダムのボディーパーツを吊り上げるという仕組みとなっている。
なので、動くと言ってもその動きは実に頼りなく、ジーンならずとも「いや、まだよく動けんようです」とデニムに報告してしまいそうになる。
ジオン残党の俺としては叩くなら今だと思ったが、そこは自重して現代のテクノロジーの限界をしかと見届けた。
うーん、良いんだけど、ぼちぼちザク作ってくれないかなぁ。赤じゃなくて、緑のヤツ。角の生えてない方のヤツ作ってほしいなぁ...。
横浜・山下公園
ガンダムからの帰り、突然近くから花火が上がる音が聞こえてきた。氷川丸の向こうから花火が打ち上げられているようである。
どうやら、この秋、横浜港では毎週土曜日に花火が打ち上げられているらしい。わずか5分ではあったが、秋の夜の花火を堪能することができた。
氷川丸越しの花火
横浜中華街へ
横浜・王府井
山下公園から徒歩10分ほどの横浜中華街で夕飯を物色していて、目に入ってきたのが「焼き小籠包」の文字。
上海で一度焼き小籠包を食べて以来ハマってしまい、目にすると思わず食べに行ってしまう。
入ったお店は王府井さん。小籠包では横浜一、二を争う有名店なのだそうな。
で、まずは小籠包小粒ながらジューシーな肉汁が溢れる逸品、確かにおいしい。
しかしながら、それをはるかに上回る美味しさなのが、焼き小籠包。一口かじると膨大な量の肉汁があふれ出す。もはや食べ物というよりスープ。皮から次から次にあふれ出す熱いスープをすすり、一段落したところで一口かじってみる。スープがうまいんだから、当然中の具もうまい。これはいいぞ、すごいぞ王府井。
しかし、おいしいんだけど、これ、どうやって食べるべきなんだろうね?? 溢れるスープをすすりたいのだが、熱くてすすり切れない。かといってレンゲで受けるには小籠包が大きすぎる。美味しいスープをもれなく飲み切る正解が知りたい。
日本郵船歴史博物館
横浜・日本郵船歴史博物館
翌日、日本郵船の日本郵船歴史博物館を訪ねた。氷川丸と共通入場券が発売されており、氷川丸を見学するならこちらも見なくては片手落ちとなる。
博物館が入っている横浜郵船ビルは、1936年の竣工。ギリシャ・コリント様式の柱が並ぶ壮観な外観をしている。
日本郵船の企業博物館なので、基本的には日本郵船の歴史が描かれているのだが、日本郵船の歴史は日本海運史そのものと言っても過言ではなく、文明開化後の近代の日本の海洋国家の歩みを俯瞰することができる。
ここで分かったのは、実は氷川丸というのは必ずしも豪華客船と言う位置づけではなかったということ。同時期に作られた浅間丸等の方が豪華で船体も大きかったようだ。
戦争が無ければ、今頃横浜港に飾られていたのは浅間丸の方だったかもしれない。できることなら、ぜひその姿も見てみたかったものである。
横浜・馬車道十番館
横浜の旅、最後は馬車道十番館でお昼ご飯を食べることにした。明治の洋館を模して建てられた老舗の洋食屋さんで、レストランやバー、そして洋菓子ビスカウトで知られる売店も併設している。
昼食として食べたクロックムシューもおいしかったのだが、オレンジマーマーマレード入りのオレンジプリンがとてもよかった。プリンもマーマレードも美味しいのだが、何がいいって付いてきカラメルソース。追いカラメルができるなんて、ドリームズカムトゥルー以外の何物でもないでしょう!。ありがとう、馬車道十番館!
さて、横浜港をぐるぐると散策して陸海空の乗り物を制覇することができた。
バラエティ豊かな乗り物ももちろんだけど、さまざまな散策ポイントのある港町っていいね。横浜うらやましいぞ。
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