2016-08-14

バースデイきっぷ 四国全鉄道 完全制覇 (#1 徳島編)

 JR四国には、「バースデーきっぷ」という企画切符がある。
 JR四国全線が3日間乗り降り自由で、お値段なんと10,280円。特急にも乗車可で、グリーン車の指定席券も無制限で発行してくれるという、超破格値なきっぷ。
 このきっぷを使ってJR四国全線を制覇することはできないかと考えたのだが、なんのことはない、JR四国全線は1日半で制覇出来てしまう。
 となればJRと言わず、ケーブルカーも含めた四国の全鉄道事業者の全路線を制覇することはできないのか?
 時刻表を眺めてみると、思いのほか容易に制覇することができることが分かった。
 ならばと、おいらの誕生月である7月を待って、いざ、四国へ!

 まずは、3日間の乗車ルートを動画で確認

バースデイきっぷ 四国全鉄道 完全制覇 ルート

(上)徳島駅前
(左下)ポストの上で阿波踊り
(右下)徳島駅前から見える眉山(多分...) 1. 徳島 6:47発 海部行 → 海部 9:09着
(JR四国 牟岐線 79.3km)
2. 海部 9:12発 甲浦行 → 甲浦 9:23着
(阿佐海岸鉄道 阿佐東線 8.5km)
(左)笹の葉に願い事を込める
(右)トンネルに入ると天の川風(?)の謎の電飾ショーが始まる
(左上)甲浦駅の駅舎
(右上)甲浦駅バス停 ちなみに、左が今回乗車する高知東部交通のもの
(左下)高知東部交通バス
(右下)奈半利駅に到着
徳島・徳島駅

 名古屋から深夜バスに揺られること6時間。となりに妙齢のお姉さまが座っていたせいで一睡もできぬまま、早朝の徳島に到着。
 まずは、徳島から牟岐線を南下することから始める。
 始発は5時47分なのだが、この列車に乗ってもその先で接続がなく待ちぼうけを食らうので、6時47分の電車まで待つことにする。
 フリーきっぷを使った地域の鉄道制覇という企画は、スルッとKANSAI 3day 1192.5km 完全制覇東京フリーきっぷ 444.3km 完全制覇に続いて3度目となるが、今回の旅は少し勝手が違う。
 関西や東京の鉄道制覇の時は、1日で50本以上の電車を分単位で、始発から終電まで休むことなく乗り継いだのだが、今回乗る列車は3日間でわずかに40本。乗り継ぎ時間にも余裕があるし、2時間以上列車に乗ることも度々ある。
 余裕がある分、のんびり車窓を眺めながら旅をしたいものである。

徳島・徳島駅

 出発まで時間があるので、徳島駅の周りをぐるりと散歩し、眉山を眺めてみたのだが、早朝、人通りもなく、やることがなくなり、駅に戻ってきた。
 ホームに入り、駅構内を見物しているとホームの向こうに転車台があり、ちょうど列車が回っていた。幸先良く、珍しい物に遭遇したものである。
 6時半を回って、ようやく最初の海部行きの列車が到着し、四国鉄道完全制覇の旅のスタート。

海陽・海部駅

 いきなりの2時間を超える、普通列車としては今回最長の乗車時間だったのだが、深夜バスの疲れのせいで、ほぼ爆睡したまま終点、海部郡駅に到着。
 JRの牟岐線としてはここで終了だが線路はまだ続いていて、ここから先は阿佐海岸鉄道の阿佐東線となる。
 向かいのホームに止まっている気動車に乗り換えて、徳島をさらに南下。
 この列車「天の川」のヘッドマークを掲げているのだが、車内の天井には「天の川」らしき電飾で飾られていて、前方には笹の葉があり短冊に願い事を書くこともできる。
 ...のだが、阿佐東線はわずか9キロ。10分で終点・甲浦駅に到着。阿佐海岸鉄道は安佐東線しかないので、四国の鉄道事業者7社の内、まずは、最初の1社を制覇した。残りは6社。

東洋・甲浦駅

 徳島を南下し続けて終点にたどり着いたらそこは、高知県。しかしながら、ここで線路はぷっつりと途切れてしまう。甲浦駅は徳島にしか行けない高知県の飛び地駅なのである。
 で、おいらはこれからどうするのかというと、路線バスに乗って室戸岬を超え、土佐くろしお鉄道・ごめん・なはり線(阿佐線)の奈半利駅に移動する。
 バスが出発するまでの30分間、真夏の日差しを避け、駅舎の中で待機する。なんだか手作り感のある駅舎で、ベンチには座布団も置かれている。深夜バス明けのお尻にはこれほどありがたいものはない。
 ところで、次の路線バスの乗車時間は2時間弱。乗る前からお尻の心配ばかりが先立ってしまう...。

東洋・甲浦駅

 ほぼ定刻通りに高知東部交通のバスが到着。
 出発するとすぐに、白浜海水浴場の綺麗な砂浜が見える。
 これ以降、バスは海岸線に沿った国道55号線を延々と西に走り続ける。ちなみに、国道55号線の旅は、こちらを参照。

3. 奈半利 12:05発 しんたろう1号 後免行 → 安芸 12:32着
(土佐くろしお鉄道 阿佐線 15.0km)
しんたろう号のデッキ トンネル内では爆風が吹き荒れる 4. 安芸 12:35発 快速 高知行 → 後免 13:07着
(土佐くろしお鉄道 阿佐線 27.7km)
奈半利・奈半利駅

 どこまでも広がる太平洋を眺め、室戸岬を超え、路線バスに揺られること2時間、ようやく奈半利駅に到着。
 しかし、同じ乗り物でも、バスのお尻への負担は鉄道の比ではない。深夜バスで弱った尻に、路線バスはまさにトドメの一撃。尻をさすりながら、なんとか高架の上に建つ奈半利駅に辿り着く。
 奈半利駅は土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線(阿佐線)の終点。実質的には、こちらが高知の最東端。
 ここからごめん・なはり線、土讃線、徳島線を乗り継いで、時計回りに徳島へ戻っていく。  ちなみに、バースデイきっぷはJR四国の企画きっぷだが、特急の乗り入れをしている関係か、土佐くろしお鉄道にも乗車することができる。もちろん特急のグリーン車も乗り放題である。

奈半利・奈半利駅

 奈半利駅から乗車する列車は、「しんたろう1号」。各駅停車だが、特殊な車両で運行されるので名前がついているようだ。
 車両後部にオープンデッキがあったり、前面オープンのトロッコ列車は時々みるが、この「しんたろう号」は、側面がオープンデッキとなっている変わり種。
 運行中、自由に室内とオープンデッキを出入りすることができるので、出発早々外に出てみる。夏も本番となった7月の中旬だが、この日は比較的気温が上がらず、なかなか気持ちいい。海からは少し離れているのだが、広々とした海もよく見える。
 で、しばらくしたら、「間もなくトンネルに入ります。デッキの方はお気をつけください」のアナウンスが流れる。
 気をつけるったって、何に気をつけるんだろうと思ったのだが、トンネルに入ってすぐわかった。トンネルに入ると、デッキには、目を開けていられないほどのものすごい突風が吹き込んでくるのだ。ごめん・なはり線は、トンネルが多く、突風に耐えられなくなり、早々に室内に退散する。トンネルって怖い...。

安芸・安芸駅

 しんたろう号は、御免行きで最後まで乗っていたいのはやまやまなのだが、観光列車ということで通常の普通列車よりもゆっくりとしたダイヤで運行されている。のんびりしていては、四国鉄道制覇が終わらないので、安芸駅で快速列車に乗り換え、後免駅を目指す。

後免駅のホームにあるやなせたかし氏の詩「ごめん駅でごめん」 5. 後免 13:21発 特急 南風16号 岡山行 → 阿波池田 14:23着
(JR四国 土讃線 72.3km)
大歩危・小歩危渓谷 6. 阿波池田 14:29発 徳島行 → 徳島 16:23着
(JR四国 土讃線・徳島線 74.0km)
南国・後免駅

 南国市というなんだかトロピカルな名前の街にある後免駅が、ごめん・なはり線の終点。
 ホームには、高知縁のやなせたかし氏デザインの後免駅のキャラクターと、「ごめん、ごめん」を連呼する氏のファンキーな詩の石碑が設置されている。
 後免駅はJRの土讃線との接続駅で、ここから先はお待ちかねの特急列車・南風で阿波池田駅まで移動する。
 南風にはグリーン車が併設されているので、もちろんグリーン車に乗車する。
 広々3列シートのグリーン車は、快適の極み。オットマン付きで足は伸ばせるし、長旅に悲鳴をあげつつあった、おいらのお尻にも優しい。しかも、この車両、気動車なのに電源コンセントまである。
 なにここ? 天国なの??

 朝から海岸線沿いを旅してきてのだが、土讃線に入ると完全な山岳地帯。何もない山奥を、黙々とディーゼルカーが登っていく。
 そういえば、今から9年前、青春18きっぷ使いきり 西日本周遊1910.3kmで、土讃線の普通列車に乗った時は、途中のスイッチバック駅で大雨の中、特急列車に追い越されるのを待っていたのだが、特急側から見ると、どこにそのスイッチバック駅があったのかさっぱりわからなかった。

 そして、高知県から徳島県に入ったあたりから、沿線随一の名勝、大歩危(おおぼけ)渓谷・小歩危(こぼけ)渓谷が車窓の向かうに見え始める。
 吉野川の激流が作り上げた渓谷が最初は左手に見え、途中橋を渡ってからは、右手に広がっている。
 ラフティングなどのアクティビティも盛んで、山の中にも関わらず、なかなかの賑わい。

三好・阿波池田駅

 一時間ほどの極楽小旅行を終え、阿波池田駅で徳島線に直通する普通列車に乗り換える。
 グリーン車と見比べると普通列車は、随分見劣りするが、座席に座れるんだから文句は言えない。普通列車は、普通列車なりになかなか快適です。

7. 徳島 16:30発 鳴門行 → 鳴門 17:11着
(JR四国 高徳線・鳴門線 18.8km)
8. 鳴門 17:17発 徳島行 → 池谷 17:34着
(JR四国 鳴門線 8.5km)
徳島・徳島駅

 吉野川の清流を眺めながら約2時間で、徳島駅に凱旋。徳島線終了。
 10時間前と比べると徳島駅のホームも、かなり賑やかになってきている。
 お次は、鳴門線に直通する。普通列車にへ乗り換え。鳴門線は、高徳線の池谷駅から鳴門海峡の近くの鳴門駅まで伸びる8キロほどの路線。今回の旅では数少ない末端の盲腸線である。
 なんとなく、お年寄り数人しか乗車していないローカル線のイメージだったのだが、2両の車両の座席がうまるほどのなかなかの乗客数。
 終点の鳴門駅に着いてみてわかったのだが、鳴門駅周辺は結構都会。路線図じゃ景色は見えないものですな。そして、鳴門線も制覇。

撫養・鳴門駅

 渦潮が見える鳴門海峡まで目と鼻の先の鳴門駅だが6分で折り返して、池田駅へ戻る。
 池田駅は、高徳線と鳴門線の分岐駅なので、周りに何もない駅でが、ちゃんと特急が停まる。
 ここからは、特急うずしお24号で快適に高松へ。
 と、思ったのだが甘かった。うずしおは、2両編成の全席自由席特急。3連休初日ということで、座席は満席。
 高松までの1時間弱、デッキで立ち尽くしたまま旅することになる。バースデーきっぷの神通力も、自由席の前には無力で、この旅最大の試練到来。

9. 池谷 17:37発 特急 うずしお24号 高松行 → 高松 18:32着
(JR四国 高徳線 64.2km)
(上)高松駅
(下)めりけんや 高松駅前店
高松・高松駅

 なにやらテンションの高い中国人観光客の横に立ち続けている内に高徳線を制覇し、高松駅に到着。ここで、徳島県内のJR四国路線をほぼ制覇。厳密には、土讃線の佃以北の10キロほどが残っているが、ここは3日目に先延ばしし、愛媛方面に向かうことにする。
 高松駅は、スイッチバック式の頭端駅で、徳島に向かう高徳線も、松山に向かう予讃線も同じ方向に向かって出発する。瀬戸大橋ができる前までは、ここから宇高連絡船が出港していて、本州と四国を結ぶメインルートであったことの名残である。

 うどん県の首都・高松に着いたからには讃岐うどんを食わねばと、26分の乗り換え時間を利用してうどん屋を物色する。
 入ったお店は、高松駅の正面を出て右手、高速バスターミナルの正面にあるめりけんやさん。セルフさぬきうどんスタイルのなかなか大きなお店。
 夏のイチオシという「すだちぶっかけうどん」を注文。濃い目のつゆに浸った、讃岐うどんらしいコシのある麺を、すだち風味であっさりいただく。これぞ、讃岐うどん、実に美味しい。
 本日、初めてまともな食事にありつけた充実感に浸りながら、高松駅に戻り、四国全鉄道制覇の旅を再開。

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