2025-06-01

北陸私鉄・三セク鉄道制覇 777.9キロ (#1 富山編)

北陸私鉄・三セク鉄道制覇 777.9キロ 2025/5/24-25

 全国の私鉄を制覇する旅、空白区の北陸を一気に片づけていきます。
 直江津から敦賀まで旧北陸本線を西へ進みながら、富山、石川、福井の私鉄、三セク鉄道を乗りつぶす。
 富山の富山地方鉄道に関しては、かつて関西電力黒部ルート 黒部峡谷地下の旅立山黒部アルペンルート立山砂防工事専用軌道と富山地方鉄道で乗っているので、除外。それ以外の8つの鉄道とえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインを制覇する。
 ついでに、接続するJR西日本の孤立路線、城端線、氷見線、七尾線にも乗っておく。旧北陸本線にぶら下がる孤立路線はもう一つ越美北線があるのだが、こちらは越美北線・越美南線 自転車連絡大作戦で乗っているので今回は通過する。

日本海ひすいライン

直江津駅からスタート #1 直江津 05:13発 泊行 → 泊06:31着
(えちごトキめき鉄道 日本海ひすいライン/あいの風とやま鉄道線 68.7km) #2 泊 06:47発 金沢行 → 高岡07:58着
(あいの風とやま鉄道線 67.9km)
上越・直江津駅

 まずは、早朝直江津駅からスタート。
 直江津駅は、旧北陸本線と旧信越本線の結節点で、交通の要所である。そのため、私も何度か駅を訪れているのだが、いつも乗換ばかりで、ちゃんと降り立ったのは今回が初めてである。宿泊した駅前のホテルからは直江津港が見え、港が意外と近いことに初めて気が付いた。元々は港町なので当然と言えば、当然ではある。
 直江津から、えちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインで富山方面に向かう。えちごトキめき鉄道は、直江津を起点に旧北陸本線の「日本海ひすいライン」と、旧信越本線の「妙高はねうまライン」の2路線があるのだが、「妙高はねうまライン」は昨年休日パス 東日本10私鉄制覇の旅で乗りつぶしているので、今回、「日本海ひすいライン」を乗りつぶすことで全線制覇となる。
 乗った始発列車は泊行き。日本海ひすいラインとの境界駅・市振駅を飛び越えて、あいの風とやま鉄道線へ直通する。両線の運行は基本、県境の駅ではなく泊駅を境に分断されている。直江津と泊間は途中で交流と直流が切り替わるためか、あえて気動車が投入されている。交直切り替え可能な電車よりもコストが安いということなのだろう。

朝日町・泊駅

 ディーゼル車に揺られること1時間半。終点・泊駅に到着。途中、市振駅を通過した時点で、日本海ひすいライン、並びに、えちごトキめき鉄道を制覇である。
 時間がまだ早いということもあり、すぐに富山方面の接続があるわけではなく、15分ほど待たされる。
 しばらくして富山方面からやってきた列車は4両編成の電車。直江津方面が1両編成のレールバスであったのに対し、ずいぶんと豪華である。車両はJR西日本の521系、よって、内装は完全にJR西日本。転換クロスシートに座って快適に富山方面に向かう。

高岡・高岡駅

 今回、富山駅には用がないので、富山を通過し、4駅先の高岡で降りる。
 高岡駅からは3つの路線が伸びている。JR西日本の城端線と氷見線、そして路面電車の万葉線である。それぞれ、順番に乗っていくことにする。

城端線

#3 高岡 08:02発 城端行 → 城端08:59着
(JR西日本 城端線 29.9km)
#4 城端 09:35発 高岡行 → 高岡10:29着
(JR西日本 城端線 29.9km) 転車台の跡らしきものが残されている城端駅
高岡・高岡駅

 まずは、高岡から南へ延びる城端(じょうはな)線に乗る。
 城端線と氷見線は在来線としては他の路線と繋がっていないJR西日本の孤立線であるが、城端線の新高岡駅は北陸新幹線の乗換駅になっているので、JR西日本全体としては完全に孤立しているわけではない。そのため、高岡から隣の新高岡まではとても乗客が多い。高岡駅から国鉄謹製のキハ47系2両に乗客が詰め込まれ、城端方面に出発する。しかしながら新高岡でかなりの乗客が降りてしまうと、そこから終点・城端までは静かなローカル線となる。
 城端線は全長約30キロ。1時間かけて途中列車交換をしながらのんびり進んでいく。

 ところで、今回の旅はJR西日本のTabiwa サービスから購入できる「北陸おでかけtabiwaパス」というチケットを使用している。直江津から敦賀までの範囲の旧北陸本線の三セク鉄道やそこから延びるJR西日本の路線が乗り放題で、2,900円となっている。tabiwaアプリから購入でき、スマホの画面を見せるだけで切符代わりとなり便利である。
 ただ、一つ難点があって自動改札が通過できず有人改札を通過する必要があるため、有人改札が精算などの客で混雑しているときは改札を通過するまで結構待たされる。また、無人駅は無人駅で、多くの乗客が自動改札を通過する中、こっそり誰もいない有人改札ゲートを通る必要があり、ぱっと見、どうみても無賃乗車にしか見えない...。

南砺・城端駅

 沿線は田園地帯、田んぼを眺めて、チューリップ祭りで有名な砺波を通過し、約1時間で終点・城端に到着した。
 ホームから山の稜線がくっきりと見え、平野が終わりに近づいていることがわかる。大抵のローカル線は、山を越えられずに線路が途切れるものである。
 明治からある駅ということで、構内には転車台の跡らしき穴が開いていた。
 駅舎は木造ではあるが、新しそうに見える。30分ほど休憩し、乗ってきた列車で高岡に帰るとする。

万葉線

#5 高岡駅 10:45発 越ノ潟行 → 越ノ潟11:34着
(万葉線 12.9km) (上) 新湊大橋
(下) 越ノ潟から連絡する富山県営渡船 #6 越ノ潟 11:37発 高岡行 → 新能町12:03着
(万葉線 8.8km)

鉄道から軌道への切り替わる万葉線

高岡・高岡駅

 高岡に戻ってきて、続いては万葉線に乗車する。
 万葉線の線路は他の鉄道路線と同じ地上レベルにあるのだが、JR西日本、あいの風とやま鉄道が橋上駅になっているのに対し、万葉線の駅は地上にある。といっても、駅と言えるような設備はほぼなく、バスターミナルの横に路面電車のホームがあるだけである。
 列車に乗り込むと、小さな車両がほぼ満員。車内のスピーカーからは、聞き覚えのある声が聞こえる。声の主は立川志の輔師匠。なんでも、万葉線の沿線の出身とのことで、車内アナウンスに起用されたようである。走行中、その地域にまつわるいろいろな案内をしてくれるのだが、いかんせん車両が製造50年を超える古式ゆかしい路面電車車両。とてもうるさいのでアナウンスは全く聞き取れない。恐らく、アナウンスは最新の低床トラム用なのだろうと割り切り、歴史の重みを感じるモーター音を聞きながら終点を目指すとする。

 万葉線は高岡市街地では路面電車だが、途中から専用軌道の鉄道になる。道路から斜めに車線変更して専用線に入る車窓はちょっとアガる。
 終点が近づくと、頭上に新湊大橋が見えてくる。塔高127m、橋桁47mと巨大な斜張橋。大きく開いた富山新港の入り口をこの橋が結んでいる。かつてはここに大きな港はなく、砂州で囲まれた潟湖があった。万葉線の前身である富山地方鉄道の射水線は、砂州を渡って富山まで繋がっていた。港の建設と共に線路は分断され、しばらくは両線とも運行されていたのだが、現在は高岡側の万葉線だけが残っている。
 橋が見えたら終点・越ノ潟はすぐそこ。海のすぐそばで線路は途切れる。
 新湊大橋が結ぶ両岸は、富山県営の渡船でも結ばれており、万葉線と連絡している。この渡船にも乗りたかったのだが、時間がないので、今回は素通りする。ここは、いつか乗りたい。
 ところで、この週末は雨の予報で、朝からあと数十分で雨が降り出すぞという天気が続いていたのだが、万葉線に乗っているうちに、ついに雨が降り始めた。この後、駅間を歩く予定があるので、気が滅入ってくる。

高岡・新能町

 万葉線の次は氷見線に乗車するのだが、高岡の手前、能町で徒歩連絡ができるので、新能町電停で下車する。

氷見線

#7 能町 12:18発 氷見行 → 氷見12:38着
(JR西日本 氷見線 12.4km)

どんよりとした富山湾

氷見駅 #8 氷見 12:46発 高岡行 → 高岡13:16着
(JR西日本 氷見線 16.5km)
高岡・能町駅

 雨の中早歩きで移動すること5分ほど。氷見線の踏切を超えると能町駅の駅舎が見えてきた。
旧国鉄のローカル駅にありがちだが、駅の敷地はだだっ広いものの駅舎もホームも小さく、その向こうにかつては何かに使われていたのであろう空間が広がっている。
 駅舎から踏切を渡ってホームに移動する。しばらくして、だだっぴろい原野に列車の到着を告げる自動放送が響き渡った。

 能町からしばらく走ると海が見えてくる。線路は海のすぐ脇に敷設され、車窓いっぱいに海が広がる。
 氷見線は富山湾越しに立山連峰を望むことができる絶景の路線として著名だが、本日はあいにくの空模様。海もどんより灰色である。
 立山連峰どころか、海の向こうに陸が全く見えない。一応、梅雨時を避けてこの日を選んだつもりだったが、完全に失敗である。天気には勝てないので、仕方がない...。

氷見・氷見駅

 20分ほどで終点の氷見駅に到着。海岸から少し離れた場所、住宅の隙間に小さな駅がある。
 二つホームがある駅だが、実質1面1線しか使われていないようである。駅舎は最近改築されたのか、外観は新しい。
 雨が降ってきたので、列車から降りた人を迎えに来た車が駅前ロータリーに何台か停まっていた。
 8分後に発車する折り返しの列車で今度は高岡に向かう。

高岡・高岡駅

 ぴったり30分で終点・高岡駅に到着し、氷見線の制覇完了。
 当然のことながら、帰りも車窓から見えるのは鼠色の海であった。
 高岡起点の3路線に乗車したので、あいの風とやま鉄道線に戻り、旧北陸本線の旅を再開する。

あいの風とやま鉄道

#9 高岡 14:08発 金沢行 → 津幡14:35着
(あいの風とやま鉄道線/IRいしかわ鉄道線 29.1km) 雨の津幡駅
津幡町・津幡駅

 列車の接続が悪く、1時間近く高岡で時間を潰して、金沢行の列車を捕まえた。
 あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道との境界駅は、倶利伽羅駅。しかしながら、列車は何事もなかったかのように境界を越え、IRいしかわ鉄道に乗り入れる。いつの間にか、あいの風とやま鉄道も制覇完了していた。
 乗車した列車の終点は金沢駅だが、その3駅手前、倶利伽羅駅の次の駅・津幡駅で下車する。ここから分岐するJR西日本の七尾線に乗車するためである。
 乗り換え時間は10分余り。駅舎を出てちょっと散歩でもしてみたいところだが、雨脚が強まってきてそれどころではない。気温も下がってきた。
 降り続く雨に凍えながら、ホームの屋根の下で七尾行きの電車を待つことにする。

#2 石川編に続く (coming soon....)

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