2011-04-30

国道58号線(沖縄編) 沖縄本島縦断(1日目)

 ご無沙汰は毎度のことですが、2011年は、もう4月も終わりだというのに、やっと一発目の投稿ですな。
 今回の旅は、沖縄本島を縦断する国道58号線の旅です。(ただし、沖縄本島部分のみ)
 海開き直前の沖縄をレポートします。

 本題に入る前に、ちょっと国道58号線の話。
 かつて、まだ日本に高速道路が無かったころ、国道には1級、2級の区別があった。1級国道には、”幹線道路網の枢要部分”とされ、1~57までの2桁の数字が付与され、2級国道には、101以降の3桁の番号が付与された。
 その後、日本初の都市間高速道路である名神高速道路が完成した1965年に、1級、2級の区分が廃止されて、どちらも一般国道として統合されたが、58番以降の2桁の番号は欠番とされた。よって、その後に追加された国道は、その重要性とかは、関係なく、単純に3桁の番号が順番に付与されてきた。
 しかし、1級国道廃止後、一度だけ、永久欠番であったはずの2桁番号が追加されたことがある。それが、今回走破する国道58号線だ。

 1972年5月15日、戦後米軍占領下にあった沖縄が日本に復帰した。
 その日、鹿児島から、種子島、奄美大島を経由して沖縄を南北に結ぶ、やたらと長い1本の道が国道として指定され、2桁の番号である58号が採用された。
 海を渡る国道というのは、関門海峡を渡る国道2号線や、東京湾を横断する国道16号線など、国内にけっこうたくさんある。
 それらの海上区間は、原則として、その区間に橋やトンネルを整備することを見込んで(政治的配慮として)国道として指定されている。
 しかし、この国道58号線の海上区間は、少しわけが違う。鹿児島から沖縄という857キロにも及ぶ海に、橋を通そうとは、どれだけ頭の悪い政治家でも考えていない(と、思うけどなぁ...)。
 本土と沖縄を橋ではなく、心で結ぶという希望を込めて、鹿児島から那覇が1本の国道として指定されているのだ。

 おいらの国道の旅のポリシーは、”国道の端から端まで走破する”であるが、この国道58号線だけは、種子島と奄美大島という離島を含んでいるため、貧乏サラリーマンとしては、予算的にも時間的にも一気に走破するのは非常に厳しぃ!
 なので、やむなく、国道58号線は、鹿児島、種子島、奄美大島、沖縄本島の4つの区間に分割して走破することにした。
 で、今回の旅は、その”沖縄編”。沖縄本島の北の端・奥港から那覇市内の明治橋まで125キロまでの区間を南下してみた。
 (ちなみに、鹿児島市内区間は、国道10号線の旅のときに、ちょいちょいと走破しました)

慶佐次湾のヒルギ林
(マングローブの森) マングローブの木の根っこ
東・慶佐次湾

 今回は、一度、最北端まで向かい、そこから、ゆっくり南下しようという作戦なので、那覇空港に降り立ってレンタカーを借りたら、さっそく高速道路で、島の中ほど名護市へ向かった。
 名護から北の沖縄本島北部は、ヤンバル(”山原”って書くんだって)とよばれる自然が多く残された地域で、人口も少なく高速道路も走っていないため、ここからは、一般道を通って北上する。
 沖縄本島区間の国道58号線は、島の西端に沿って走っているので、反対側の東側の道路を通って、58号線の起点・奥港を目指すことにした。

 北上する途中、慶佐次湾(げさしわん)河口に広がるヒルギ林に立ち寄った。ヒルギとは、汽水域(川の水と海の水が混ざるところ)に生息する珍しい木・マングローブのこと。
 沖縄の川の河口にはよくマングローブの林があるのだが、ここ慶佐次湾のヒルギ林の面積は、縄本島最大
 河口近くの公園から、ヒルギ林に向かって遊歩道が整備されていて、マングローブを間近に観測することができる。
 亜熱帯特有の植物・マングローブの特徴は、なんといっても根元。海水を被っても生き延びることができるためなのか、根が地上に這い上がってきたような奇妙な形をしている。本州ではちょっと見かけない風貌のマングローブを見ていると、南国にやってきた度合いが上がってきた!

国頭・安波

 慶佐次湾のヒルギ林あたりから、民家の姿が消え、すれ違う車も少なくなる。
地図を見ても、あるのは、森と米軍基地のみ。景色も、森と時折視界に広がる海の繰り返しで、ちょっと眠くなってきた...。  あ、でも、ときどきすれ違う巨大な米軍の軍用車両を見ると、なんだか目が覚めるね。

国道58号 沖縄起点 起点の脇に建つ石碑
国道58号線が本土と沖縄をつなぐ国道であることが記されている
国頭・奥港

 那覇空港を出発して4時間。沖縄本島の一番北にある港・奥港に到着。
 鹿児島、種子島、奄美大島と続いてきた国道58号線は、ここで沖縄上陸を果たす。
 とは言え、奥港は小さな漁港で、奄美大島からこの港に航路があるわけでもない。国道の起点なんか知らねぇといわんばかりのひっそりとした道の小さな橋の上に、起点のキロポストが置いてあった。キロポストには、鹿児島からの通算キロではなく、奥港からの距離0が刻まれていた。
道の脇に建てられいた、国道58号線を記念する碑には、この道が鹿児島から続く道であることが刻まれていた。

ヤンバルクイナ飛び出し注意!
国頭・奥港近く

 ところで、このあたりのヤンバル地域のシンボルは、ヤンバルクイナ。
 いたるところにヤンバルクイナのオブジェがあり、ヤンバルクイナ型の展望台まである。
 動物注意の標識も、もちろんヤンバルクイナ

辺戸岬
かつてこの岬より南は米軍占領下にあった 辺戸岬より与論島を望む
国頭・辺戸岬

 奥港から10分ほどで、沖縄本島最北端の辺戸岬に到着。
 沖縄本島最北端の辺戸岬の先にある海は、米軍占領時、日本と琉球政府を分ける国境線となっていた。
 当時、日本復帰を願った沖縄の人々は、ここからのろしを上げたのだという。
 写真には写っていないけど、肉眼では、うすっらと与論島らしき島が見えていた。二つの島を行き来するために、パスポートがいったり、いらなかったり。人間の社会ってなんだろう?

奥間ビーチの入り口
本日の旅はここまで
国頭・奥間ビーチ

 さて、沖縄最北端・辺戸岬からは、国道58号線は、終点那覇まで、ひたすら南下をつづける。
 本日の旅は、辺戸岬から1時間ほど進んだ、奥間ビーチの入り口、キロポストにして28キロ少々の地点で終了。

奥間ビーチの白い砂浜 奥間ビーチの夕陽
国頭・奥間ビーチ

 奥間ビーチのすぐ隣は、米軍の保養地で、立ち入り禁止となっている。
 米軍が保養地にガメているぐらいだから、さぞかし綺麗な場所だろうと思ったのだが、この浜辺は本当に美しいですたい!
 白い砂浜が奇麗なのはもちろん、海の透明度も半端ない。
 おまけに、夕陽の時間とどんぴしゃ! 奥間の海に沈む夕陽を目に焼きつけたところで、1日目は終了。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    辺戸岬について沖縄県最北端と書かれていますが、それは誤りで、島尻郡久米島町の硫黄鳥島が沖縄県最北端です。鹿児島県最南端の与論島よりも北にあります。有人島でも島尻郡伊平屋村にある伊平屋島が最北端で与論島の横にあります。

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  2. 長持 さん

    はじめまして
    辺戸岬の件、完全な誤記なので訂正させていただきました。
    ご指摘ありがとうございます。

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