かつて九州には多数の炭鉱があり、多くの石炭を産出していた。
全ての鉱山は戦後、海外石炭に押され閉山していったのだが最後まで採掘を続けていた鉱山が長崎県の西彼杵(にしそのぎ)半島の沖合7キロに浮かぶ小さな島、池島炭鉱である。
池島炭鉱が閉山したのは2001年、わずかな期間ではあるが21世紀にも採掘を続けていた。
閉山からわずか十数年ということで比較的設備の保存状態の良い池島炭鉱を見学できるツアーがあるということで、遠路はるばる長崎に向かった。
鳥栖・永吉交差点
名古屋から飛行機で福岡へ(LCCのおかげで、格安で九州に行けるようになりました)、そこからレンタカーで長崎に向かう。
せっかく長崎まで行くのだから、当然、2桁国道の旅も押さえておきたいので、まずは、佐賀県鳥栖から長崎につながる国道34号線の制覇に着手する。
日本の高速では唯一の完全クローバー型ジャンクションである鳥栖ジャンクションのすぐ近くの国道3号線から分岐する形で、国道34号線が始まる。
郊外の雑草の生い茂る永吉交差点が起点なのだが、特に起点標識はない。あえて言えば、”佐賀市方面に向かう国道34号線”という看板が、唯一それっぽい雰囲気を出していた。
嬉野・轟の滝
34号線を走り始めてすぐ、弥生時代の遺跡としては最大規模を誇る吉野ヶ里遺跡がある。
ある種、テーマパークのような作りになっていて結構面白く、あなどれない遺跡なのだが、連日の暑さの為、見学を断念。
どうでもいい話だが、文科省の天下り先もとい外郭団体が定めた”日本100名城”というのがあるのだが、この中になぜか吉野ヶ里遺跡が含まれている。「役人の考えることはよくわからない」ということがよくわかる、好例やね。(吉野ヶ里遺跡側もよい迷惑と思っているのか、この事実にはあまり積極的には触れていないように見える)
で、帰省のせいなのか普段からなのか渋滞する道路をのんびりと進んでいると”轟の滝”なる案内標識を発見。
滝があるとは思えない比較的開けた場所だったので、興味がわいてきた。
駐車場からわずか数十秒の距離で、轟いてはいないが、まぎれもない滝を発見。山肌を流れるタイプの滝ではなく、川の途中に大きな段差が滝になっているタイプの滝で、規模はかなり違うがナイアガラのような感じになっている。
二つの川の合流地点が滝となっているので、水の流量があればそれなりの迫力がありそうなのだが、渇水のせいか、もとからこんなものなのかチョロチョロと水が流れている感じで、完全に名前負けしている。
まあ、それでも滝の下流と上流それぞれに駐車場があり、歩いて簡単に見学にいけるので、34号線を通る際は、一度は見ておきたいスポット。
佐賀・長崎県境
佐賀と長崎の間の俵坂峠を越え、長崎県に突入。
大村・水主町
スタートから西方向に進んでいた34号線だが、長崎に入って大村湾にぶち当たると南下を始める。
大村湾に面した大村市の中心地で100キロポストを発見。国道34号線は、130キロあまりの為3ケタのキリ番ポストは、これが唯一。
長崎・ペンギン水族館
大村湾に沿って南下していた34号線が天草灘にぶつかり、西進を始める場所に、日本におけるペンギンのサンクチュアリ・長崎ペンギン水族館がある。
比較的極地に近い場所に住むペンギンから亜熱帯に住むペンギンまで8種類のペンギンを飼育しており、国内最多を誇っている。
ペンギンマニアであるおいらのお勧めとしては、野外にあるフンボルト、マゼラン、ケープ3種類のペンギンが並んで展示されているプール。
パッと見よく似ている3種だが、首もとの縞の数(2本なのがマゼラン)、顔周りの白の領域の過多(白い部分が多いのがケープ、黒い部分が多いのがフンボルト)など、慣れれば比較的簡単に区別ができる。ぜひ、じっくり観察していただきたい。
長崎・長崎県庁前
ペンギン水族館を過ぎたら、34号線の終点まで数キロ。
県庁の正面玄関にぶち当たったところが国道34号線の終点。
県庁の壁に埋もれるように、長崎市道路元標も安置されていた。(なんかの墓と思って合掌するヤツが本当にいるんじゃないのか??)
長崎・出島
国道を1本片づけたので、続いては長崎市内見物。
長崎県庁の裏手には、あの出島がある。
周囲の埋め立てによって出島は”島”ではなくているのだが、周辺の道路によってかろうじて扇形の原型をとどめている。
出島の内部は発掘と復元作業が続けられており、エリアによって異なる時代に復元するという面白い試みが進んでいる。
外人が閉じ込められ、外部との接触を厳しく規制されていた出島だが、遊女だけは出入りができたのだそうな。なんというか、人間、それだけはいつの時代も変わらないんだね。
長崎・新地中華街
出島のすぐ近くに中華街がある。
長崎といえばちゃんぽんということで、江山楼でちゃんぽんを頂いた。
某チェーン店のあれと違い、あっさりとした上品なお味のちゃんぽんを堪能いたしました。
佐世保・ハウステンボス
で、翌日は、いよいよ本題の池島炭鉱跡見学に出発!
と思っていたのだが、早朝、池島より電話があり「今日、フェリーのエンジンが故障したみたいで見学はできないとよ」との連絡。
やたら明るい池島のおじさんが言うには、「詳しくは、(主催者の)長崎(国際観光)コンベンション(協会)から連絡があるから」とのことだが、待てど暮らせど連絡はない。
しょうがないので、こちらから連絡をすると「本日の営業は終了いたしました」とつれない録音ボイスがLTEの高い通話料を貪りながら流れてくる...。
途方に暮れていてもしょうがないので、とりあえず、長崎観光の目玉、ハウステンボスへ向かう。
ハウステンボスは、言わずと知れたオランダをテーマとした巨大テーマパークで、その面積はディズニーランドとディズニーシーを足したよりも広く、文句なしの日本一の規模。で、料金もディズニーランド並みの1Day 5,900円也。
いや、暑い中丸一日楽しみました。こう言っちゃなんだけど、予想していたより全然楽しかった。近くにあれば、また行きたいと思う。
ただ、どうしても気になってしまうのが、アトラクションのチープさ。オランダの街並みを再現するためにかなり贅を尽くして施設を作ったのだろうが、その後の経営難で施設が老朽化し、改修がままならない状況が見て取れる。劇場型アトラクションの座席のシートなんか、みんな破れているんだよね。
さらに、リニューアルしたアトラクションは、徹底してコスト削減が図られていてとにかくチープ。例えば、The Castle of the Dead というアトラクションは、なんらかの劇場跡を利用したアトラクションらしく、劇場の席に誘導されると座席横に置いてあるヘッドフォンをつけさせられる。で、ヘッドフォンから流れてくる音を聞くというアトラクション。ぶっちゃけ、公民館でも同じアトラクションができちゃう。
ところが、このThe Castle of the Dead ってのが、むちゃくちゃ面白いんだよ。僕個人としては、ディズニーリゾートやUSJのどのアトラクションよりも楽しめた。考えてみれば当たり前で、製作費を費やした映画が必ずしも面白いとは限らず、低予算の映画の方が面白かったりもするんだから、チープでも面白いものは面白い。
ただね、入場料が安くはないので、「面白くなくてもいいから、豪勢なものを見せてくれ」という思いもあって、終始もやもやした気持ちを抱えながら、一日を過ごしたなぁ。まあ、間違えなく、楽しんだんだけどね。
で、池島観光の方だが、その後、何度か電話をすると営業時間になったようで、コンベンションセンターのお姉さんと繋がった。
おそらくは、池島のおじさんとは言い分が異なり、コンベンションセンターからは連絡する意志はなかったようで「ああ、あの件ね」ぐらいの軽い対応で善後策を提示してくれた。
お姉さん曰く「明日に振り替えるか、見学料の返金ができる」とのこと。明日予定していたハウステンボス見学を繰り上げたので、明日への振り替えは渡りに船。
しかし、なんつーか、池に落とした斧を拾ってくれた神様かのように「金の斧、銀の斧どっちにする?」って感じで聞かれたんだけど、「いや、俺が斧を落としたわけではないんだけど....」てな気分ですわ...。
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