スルっとKANSAIは、関西一円の私鉄、市営交通、バスの共通プリペイド・カードである。
そのスルっとKANSAIには、1枚5,000円で3日間乗り放題となる”スルっとKANSAI 3dayチケット”というのがある。
で、その乗り放題エリアの路線図をみてみると、5つのケーブルカーが含まれており、さらに、2つのケーブルカーに割引料金で乗車することができる。
他にエリア内に3つのケーブルカーがあるのだが、隣接駅までは乗り放題エリアに含まれている。
全国にケーブルカーは23あるのだが、その内、10がこのエリアにあり、しかも、3日あれば、丁度回り切ることができそうな位置関係となっている。
こりゃ、行くしかないですな!

っつーか、複数形の"s"がいるんじゃないの?? 3days!
(京阪 石山坂本線 12.5km)
滋賀・京阪石山駅
東海道線を使って、東からスルっとkANSAIエリアに向かうと、最初に乗り換え可能となる駅が、石山駅である。
ここから京阪石山坂本線に乗り換えて、ケーブルカー10本を巡る旅を始める。
京阪石山駅の窓口で、3dayチケットを購入し、早速隣の自動改札機に通したのだが、思いっきりエラー!
聞いてみたら、石山坂本線では、改札機が3dayチケットに対応しておらず、この区間では、駅員にカードを見せることで乗車できるルールになっているそうな。
カードを見せたら、駅員が乗車日付をペンで書き込むというプリミティブな運用をするはずなのだが、石山駅のおっさんは、油性ペンを見つけることができない。あせった駅員さんはボールペンでカードに書き込もうとするのだが、全く写らない。
で、おっさんが、最後にとった驚愕の手段が、近くに転がっていたホワイトボードのマーカーで日付を書き込むという暴挙。金属製のカードにマーカーで記入した所で、書いているそばから字が消えていく...。
「はいどうぞ」と、おいらに手渡された段階で、8割方字が消えかかっていた...
まあ、おいらは、電車に乗れれば、文句はないので...
(一番 坂本ケーブル 2.0km)
(下)生憎の雨模様
(比叡山ドライブバス)
(左下)すごい霧で視界が悪かった
(右下)ガーデンミュージアム比叡
滋賀・坂本駅
途中で電車が道路の上を走る路面電車になるという度肝を抜く演出の末、無事終点坂本駅に到着。
ここから最初のケーブルカーである坂本ケーブルのケーブル坂本駅までは、徒歩10分。あるいは、連絡バスで数分の距離。(連絡バスは、3dayチケット対象外)
京阪の駅から坂道をしばらく登って行くと、森に佇む洋館という風情のケーブル坂本駅の現れる。
坂本ケーブルには、スルッとKANSAI用のカードリーダーが用意してあるので、今度こそ、しっかりと日付が印字された。(というか、このころには、すっかりホワイトボードマーカーの文字は消え失せていた...)
比叡山延暦寺への鉄道とルートとなる坂本ケーブルは、長さ日本一のケーブルカー。ケーブルカーというものは、ケーブルに巻き上げられてまっすぐ坂を登っていくものだと思っていたのだが、このケーブルカーは、ゆるやかなカーブをくねくねと曲がりながら11分かけて2キロの距離を登っていく。
滋賀・比叡山延暦寺
もともと天気は悪かったのだが、ケーブル延暦寺駅についた時には、小雨がぱらつき、霧が出てきた。
駅から歩いて10分ほどで、延暦寺の入り口にたどり着く。延暦寺は、比叡山山中の3つの地域に分かれているのだが、国宝根本中堂など、最も見どころが多いのがここ東塔地区である。
が、まあ、おいらには、何が見どころなのかよくわからないので、とりあえずお参りをして、昼飯にそばを食って、次のケーブルカーを目指す。
滋賀・比叡山バスセンター
比叡山へは滋賀側だけでなく、京都側にもケーブルカーが敷設されている。
その京都側のケーブルカーである叡山ケーブルで下山するため、まずは、バスで比叡山頂に向かう。
バスの道中が一番霧が濃い時間で、「よー運転できるもんだ」と、恐ろしくなるぐらいの視界の悪さになっていた。
そんな濃霧ももろともせず、ほぼ定刻に比叡山頂に到着。
で、バス停の正面にどーんと門を構えているのが、ガーデンミュージアム比叡である。この庭園を迂回して、先へ進んでもいいのだが、そうはさせじという威圧感に負け、入園。入園料1,000円也。
中は、印象派の絵画を模した庭園が並んでおり、まあ、綺麗なのだが、本来のもう一つの魅力である高所からの眺めが、霧のためナッシング。下界どころか、目の前も見えないありさま...。
それにしても視界が悪くて、せっかく高いところに登ったのに何も見えない...
(京福 叡山ロープウェイ)
スルっとKANSAI対象外
(二番 京福 叡山ケーブル 1.3km)
スルっとKANSAI対象外
京都・叡山ロープウェイ比叡山頂駅
失意のまま、ガーデンミュージアム比叡を後にすると、目の前に現れるのが廃墟としか思えない小さな建物。
これが、叡山ロープウェイの乗り場で、今日2つ目のケーブルカー・叡山ケーブルに接続している。(ロープウェイもケーブルカーも、スルッとKANSAI対象外)
ロープウェイはおいらお一人様の貸切状態で、霧の中をゆっくりと下山して行く。それに接続するケーブルカーも当然、貸切。
坂本ケーブルは、長さが日本一だったのだが、こちらは、高低差が日本一。確かに、坂本ケーブルとは比べ物にならない急角度で山道を下っているように見える。
(叡山電鉄 叡山本線 1.8km)
(叡山電鉄 鞍馬線 8.8km)
京都・八瀬駅
ケーブルカーを降りると、高度が下がったこともあって、霧はなくなっていた。
ケーブルカーの駅から5分ほど歩いたところにある叡山電鉄の八瀬駅に移動し、3つ目のケーブルカーのある鞍馬寺を目指す。
八瀬から数分の宝ヶ池駅で、鞍馬に向かう鞍馬線に乗り換える。
鞍馬線では、偶然、展望列車・きららのタイミングにあたり、真新しい車両に乗車することができた。
きららは、大きな窓のある展望列車で、座席の一部は窓に向いた横向きに設置されている。横向きの座席は、確かに眺めはいいのだが、外から見ると、なんだか晒し者にされているような気がするのが難点か??
(三番 鞍馬寺 鞍馬山鋼索鉄道 0.2km)
スルっとKANSAI対象外
(右)鞍馬寺から下界を見下す
(叡山電鉄 鞍馬線・叡山本線 12.6km)
京都・鞍馬
3つ目のケーブルカーは、鞍馬寺という寺の境内にある。
当然、鞍馬寺の参拝客用のケーブルカーなのだが、鞍馬寺鋼索鉄道として鉄道事業者の免許を受けたれっきとした”鉄道”である。長さは、わずか0.2kmで、日本一短い鉄道となる。
ケーブルカーは、普通2台の車両が山頂の滑車を介して吊り下げられていて、つるべ式に交互に巻き上げられるのだが、この鞍馬寺のケーブルカーは、エレベーターのように1台のみが巻き上げられる形式となっている。
ちなみに、運賃なのだ”寄付金”という名目で、百円徴収される。おそらくは、坊主丸儲け方式の脱税対策で、”賽銭”扱いで料金を徴収しようとする魂胆だと思われる。百円払うと、”お礼にケーブルカーを利用できます”という恩着せがましい文言の書かれた”片道乗車票”なるものを渡され、これを見せるとケーブルカーに乗ることができるという仕組みである。
しかし、この国は、いつまでも、このような宗教法人の脱税を許していいものだか、消費税増税の時には、考えなおして欲しいね。というか、坊主たちも、こんな悪どい商売を続けてたら、いつか罰があたるぞ、ほんと。
で、宗教商法に腹を立てながら、小さなケーブルカーに乗り込むと、あっという間に終点に到着する。
そこが本堂かと思いきや、ここから本堂までが結構遠くて、さんざん階段を登ることになる。結局、ケーブルカーで登ることができるのは、全体の半分ぐらいで、残りは、自分の力で登り切ることになる。
まあ、バリアフリー的にはアレだけど、そのくらいしないと有り難さがないのも事実だよね。
(京阪 鴨東線・京阪本線 19.8km)
男山山上 17:45発 八幡市行 → 八幡市 17:47着
(四番 京阪 男山ケーブル 0.4km)
(右上)石清水八幡宮
(下)男山山頂から桂川、宇治川、木津川を眺める
葛葉 18:12発 特急 淀屋橋行 → 淀屋橋 18:44着
(京阪 京阪本線 31.8km)
京都・鞍馬駅
鞍馬寺のケーブルカーには腹がたったので、帰りは徒歩で下山し、叡山鉄道鞍馬駅に戻ってきた。
次は、本日最後のケーブルカー・男山ケーブルに向かう。
叡山鉄道で終点・出町柳へ、そこから京阪に乗り換え、八幡市駅に向かう。
八幡市駅から男山山頂向かって伸びているのが、京阪・男山ケーブルだ。
京都・男山
男山というからどんだけむさ苦しい山なのかと身構えていたおいらに、まずは一発ジャブが浴びせられる。
ケーブルカーの八幡市駅の入り口には、”大日本居合道全国大会”という、なんとも勇ましい横断幕が掲げられていたのだ。
そんな勇ましい男山の山上にあるのは、石清水八幡宮。
時間が遅かったせいもあり、人の気配があまりなく、厳かな雰囲気の神社である。
境内に入ると、巫女さんがなんらかの舞の練習をしていて、スゲーかわいい。とはいえ、あんまりジロジロ見るわけにも行かず、チラチラと遠目で巫女さんを拝見しながら、不謹慎極まりなく参拝。
帰りに、すこし遠回りをして展望台を経由して、ケーブルカーの駅に戻る。
桂川、宇治川、木津川の三川が合流する雄大な景色を眺めることができた。
京都・八幡市駅
男山ケーブルで、本日のケーブルカーは終了。
京阪本線で終点・淀屋橋へ向かう。
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