戦前の世界の鉄道時刻表を収集し、鉄道でユーラシア大陸を横断していた時代の旅行を再現する仮想旅行。
東京からロンドンまでの13日間の旅を追ってきたが、その途中から枝分かれして各国へ向かうルートを紹介している。
今回はベルリンからデンマークの首都・コペンハーゲンへ向かう。
- #1 プロローグ
- #2 Day 1/東京 - 下関
- #3 Day 2/下関 - 釜山
- #4 Day 2/釜山 - 安東
- #5 Day 3/安東 - 新京 - ハルビン
- #6 Day 4/ハルビン - 満州里
- #7 Day 5/満州里 - チタⅡ
- #8 Day 6, 7, 8/チタⅡ - ノヴォシビルスク
- #9 Day 9, 10, 11/ノヴォシビルスク - モスクワ ヤロスラフスキー
- #10 Day 11/モスクワ ベラルースキー - ストルブツィ
- #11 Day 12/ストルブツィ - ワルシャワ
- #12 Day 12/ワルシャワ - ズボンシン
- #13 Day 12/ズボンシン - ベルリン - ハノーバー
- #18 まとめ
- ルートマップ(Google Maps)
ベルリン-コペンハーゲン間のルート
デンマークの首都・コペンハーゲンは、バルト海に浮かぶシェラン島の東の端にある。そのイメージで島国なのかと思いきや、実は国土の大半はヨーロッパ大陸のユトランド半島にあり、ドイツと国境を接している。
現在ではシェラン島と西側のユトランド半島はフェン島を介して橋とトンネルで線路が繋がっており、また東側もいくつかの島を介してスウェーデンと繋がっている。
さて、今日ではコペンハーゲンとドイツを結ぶ鉄道ルートは、ユトランド半島、フェン島を介した大回りのルートで繋がっているのだが、このルートは何回かの変遷を経て今に至っている。
去年までは、通称・渡り鳥コースとよばれるルートで連絡されていた。ユトランド半島の付け根のドイツのプットガルテンとデンマークのロービュの間の海峡を鉄道車両をフェリーに載せて運搬していたのである。
渡り鳥コースが開通したのは1963年で、それ以前は両国間の港を結ぶ連絡船が何路線か併存していた。
1939年当時、ベルリンとコペンハーゲンを結ぶルートは、ベルリンの北方にあるヴァーネミュンデ港とその40キロほど先にあるゲッサー港をフェリーで連絡するルートが最短ルートだった。よって今回はこのルートの時刻表を辿ってみることにする。
東京からロンドンまでの旅程では途中ワルシャワからパリ行きの北急行に乗車したのだが、夜21時18分にベルリンにて北急行を降りたところから旅を始める。(#13 Day 12/ズボンシン - ベルリン - ハノーバー参照)
ちなみに、現在ドイツとデンマーク両国間では、旧渡り鳥コースに相当するルートで海底トンネルの建設が進んでおり、完成後は両国間の連絡輸送はこの海底トンネルが使用される見込みである。
ヴァーネミュンデへ
#10 ベルリン シュテッティン - ヴァーネミュンデ
dep: arr: 急行 D11列車 ヴァーネミュンデ 行き
北急行をベルリンのフリードリヒ通り駅を降りたのは、夜9時過ぎ。デンマークへ向かうフェリーの出航するヴァーネミュンデへ向かう急行は、Sバーンで2駅北方のシュテッティン駅から出発する。
この時間からだとヴァーネミュン発のフェリーを捕まえることができないので、一晩ベルリンで夜を明かし、明日の朝にシュテッティンを出発することにする。
シュテッティン駅のあった場所は、現在はベルリン北駅と呼ばれている。今では小さなSバーンの停車駅となっているが、この時代はヴァーネミュンデ方面などのバルト方面への列車が発着する巨大なターミナル駅だったようだ。
東京を出発してから数えると13日目の朝、ヴァーネミュンデ行きのD11列車は、朝8時42分である。
ヴァーネミュンデまでの停車駅はわずか5駅、200キロ強を3時間弱で結ぶのだから、さすがドイツの鉄道は高速である。
午前11時49分、ドイツ北部・バルト海に面した港湾都市・ロストクに到着する。ロストクの駅ははヴァルノウ川河口の入り江近くに造られ、バルト海に面した港までは数キロほど距離がある。ロストクから10分ほど入り江に沿って北上した場所が終点のヴァーネミュンデ駅。もちろんホームのすぐ脇には岸壁があり、デンマークのゲッサーに向かう連絡船に歩いて乗り換えることができる。
急行 D11列車の通過時刻表は、欧亜大陸鉄道の時刻表のページでも確認可能です。
#11 ヴァーネミュンデ - ゲッサー
dep: arr: 連絡船 ゲッサー 行き
12時6分に列車が到着してから30分、12時40分にフェリーは出航する。
ヴァーネミュンデとゲッサーを結ぶフェリーは、午前と午後、そして深夜未明の1日3本出航しているようだ。
船の性能なのか気合の問題なのか、3本とも微妙に航行時間が違う。この時間の船が一番速くてジャスト2時間でゲッサーに到着する。
コペンハーゲンへ
#12 ゲッサー - コペンハーゲン中央
dep: arr: 急行 132列車 コペンハーゲン中央 行き
デンマークに入国するので、デンマークの時刻表を見てみよう。
手に入れた時刻表は1985年に復刻された1938年夏の時刻表である。ドイツの1939年の時刻表と1年差があるため、ドイツ側の時刻が若干異なっている。(それにしても、この時代の時刻表の復刻版というのは世界各国で作られているらしく、改めて、鉄道黄金期として注目度の高い時代なのだなと実感する。)
大きさはコミックサイズでページは170ページほどだが、この復刻版がどの程度正確に復刻しているのかはわからない。
当時のデンマークはこの時刻表では収まり切れないほどの路線網を有していたのか、掲載されている文字は小さめで、時々冊子の方向を90度ずらして時刻表がレイアウトされていたりしており、ともかく「詰め込んでいる」という印象がある。
巻頭の方はコペンハーゲンを中心とする首都近郊の路線の時刻表が書かれており、ゲッサー方面の時刻表が出てくるのは60ページ目辺り。長距離列車の先頭として掲載されているので、やはり重要な幹線であったのであろう。
14時40分、ゲッサーの港に到着。ゲッサーからコペンハーゲンに向かう特急132列車の出発は15時2分。ドイツ側もデンマーク側もなかなかタイトなスケジュールで乗り換えをしなくてはならない。
ゲッサーもまた港の岸壁のすぐ先に鉄道のホームがあり、乗り換えはスムーズであったはずだ。
ゲッサーには現在鉄道の駅は無く、駅舎があった場所は鉄道博物館があり、その周りに当時を偲ばせるレールが申し訳程度に残されているだけになってしまっている。ただ、港自体は運用されており、フェリーも到着するので車での海峡の往来は今でも絶えないはずだ。
ゲッサーからコペンハーゲンまでの距離は178キロ。これを2時間半で結んでおり、停車駅はわずか3駅。ウトウトしているうちに終点のコペンハーゲン中央駅に到着してしまいそうだ。
17時3分、終点のコペンハーゲン中央駅に到着する。
現在も残るコペンハーゲンの駅舎は1911年の終わりに完成。1939年だと築30年弱、ぼちぼち建造物として味が出てくるころであったであろうか?
コペンハーゲンは貫通型の駅で南北方面に線路が駅を通過して言える。ゲッサーからの列車は南から侵入してくる。北へ向かうとオスターポート港へ向かうことが出来、ここからフェリーを介してスウェーデンのストックホルムへ向かうこともできた。
ちなみに、現在はスウェーデンへつながる橋の位置の関係上、ドイツ方面もスウェーデン方面も南に向かって出発している。
ベルリンからコペンハーゲンまでの移動時間は9時間弱だった。今回の旅のルートだが、現在は鉄道のルートとしては存続していないものの、バスならばほぼ同じルートを辿る長距離バスが運行されている。時間もちょうど同じぐらいなので、この時代の移動を追体験するために、高速列車よりもバス旅行を選んでみてもよいかもしれない。
急行 132列車の通過時刻表は、欧亜大陸鉄道の時刻表のページでも確認可能です。
# | 乗車 | 下車 | 列車 | 記事 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8/3 15:00(GMT+9) | 東京 | 8/4 9:25(GMT+9) | 下関 | 特別急行ふじ 下関行き | #2 |
2 | 8/4 10:30(GMT+9) | 下関 | 8/4 18:00(GMT+9) | 釜山 | 関釜連絡船 | #3 |
3 | 8/4 19:00(GMT+9) | 釜山 | 8/5 21:45(GMT+9) | 新京 | 急行 ひかり 新京 行き | #4 #5 |
4 | 8/5 22:35(GMT+9) | 新京 | 8/6 6:20(GMT+9) | ハルビン | 603列車 三果樹 行き | #6 |
5 | 8/6 10:30(GMT+9) | ハルビン | 8/7 10:55(GMT+9) | 満州里 | 701列車 満州里 行き | #6 |
6 | 8/7 14:34 (GMT+9) | 満州里 | 8/13 13:30(GMT+3) | モスクワ ヤロスラフスキー | 1列車 ストルブツィ 行き | #7 #8 #9 |
7 | 8/13 17:10(GMT+3) | モスクワ ベラルースキー | 8/14 6:27(GMT+1) | ストルブツィ | 3列車 ストルブツィ 行き | #10 |
8 | 8/14 7:23(GMT+1) | ストルブツィ | 8/14 13:13(GMT+1) | ワルシャワ中央 | 702列車 ワルシャワ西 行き | #11 |
9 | 8/14 13:23(GMT+1) | ワルシャワ中央 | 8/14 21:18(GMT+1) | ベルリン フリードリヒ通り | L1301/L12列車 北急行 パリ/オーステンデ 行き | #12 #13 |
10 | 8/15 8:42(GMT+1) | ベルリン シュテッティン | 8/15 12:06(GMT+1) | ヴァーネミュンデ | 急行 D11列車 ヴァーネミュンデ 行き | |
11 | 8/15 12:40(GMT+1) | ヴァーネミュンデ | 8/15 14:40(GMT+1) | ゲッサー | ゲッサー 行き | |
12 | 8/15 15:02(GMT+1) | ゲッサー | 8/15 17:35(GMT+1) | コペンハーゲン中央 | 急行 132列車 コペンハーゲン中央 行き | |
総乗車距離:13,021km 総乗車本数:13本 所要時間:12日10時間35分 |
- DEUTSCHES KURSBUCH SOMMER 1939(1939年) DEUTSCHE REICHSBAHN / 復刻版 (1976/1991年) RITZAU KG - Verlag Zeit und Eisenbahn
- COOKS CONTINENTAL TIMETABLE AUGUST 1939 (1939年) Thomas Cook / 復刻版 (1987年) J H Price
- Denmarks Jernbaner KØREPLAN De danske Statsbaner Gyldig 15. Maj - 19. September 1938 (1938年) / 復刻版 (1985年) Bane bøger
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