2025-01-15

西関東私鉄制覇の旅 428.1キロ (#5 完結編)

 関東西部の未制覇私鉄を乗りつぶす旅もいよいよ大詰め。
 2日かけて、京急、横浜市営地下鉄、小田急とその周りの路線を乗りつぶしてきた。残りは京王井の頭線と相鉄の二俣川駅以東。
それに加えてもう一つ、2016年に東急は全線制覇したのだが、その後時が流れてあらたに新横浜線が開業したので、ここも押さえておく。
 さらに、西関東というくくりから大きく外れるが、昨年開業した宇都宮の宇都宮芳賀ライトレールも乗車しておく。

井の頭線

#26 新宿 19:17発 橋本行 → 明大前 19:27着
(京王 京王新線 区間急行 5.2km) #27 明大前 19:34発 吉祥寺行 → 吉祥寺 19:45着
(京王 井の頭線 急行 7.8km) #28 吉祥寺 19:56発 渋谷行 → 渋谷 20:15着
(京王 井の頭線 急行 12.7km)
新宿・新宿駅

 かれこれ11時間以上ぶりの新宿帰還である。案の定、やたら人が多いので、さっさと次に進む。地方在住者にとって、新宿とか渋谷の人込みは未知のウイルス並みに恐ろしい。
 続いては京王井の頭線乗車のために明大前に行きたいのだが、朝は京王線ホームから乗車したので、今度は地下深くにある都営新宿線と直通する京王新線のホームから乗車することにする。
 橋本行の区間急行に乗車し、10分ほどで明大前駅に到着した。

世田谷・明大前駅

 京王線のホームから1階下の地下にあたる部分が井の頭線のホーム。相対式の2面ホームで多くの乗客が次の列車を待っている。11月下旬ということで、外のホームが寒々しくなってきた。
 明大前は井の頭線の真ん中あたりだが、まずは北方の吉祥寺に向かい、そこで折り返して渋谷に向かうことにする。
 ところで、「めいだい」というと我らが名古屋では「名古屋大学」を指す。だから、なんとなく駅名に対して「チッ」と舌打ちしたくなる気持ちが沸き上がってくる。ふーん、「めいだい」ねぇ...。

武蔵野・吉祥寺駅

 明大前で急行を捕まえたので、10分で吉祥寺に到着した。この駅もまた、頭端式ホームで改札の目の前に電車が止まる構造である。思えば本日は、たくさんの頭端式ホーム駅を見ることができ、とても良い日であった。
 改札の目の前を通過して、反対側のホームに止まっていた急行に乗り、渋谷を目指す。渋谷までは約20分である。

東急新横浜線

一日乗車券範囲外から飛び乗るために購入したきっぷ #29 渋谷 20:38発 湘南台行 → 二俣川 21:23着
(東急 東横線/新横浜線 / 相鉄 新横浜線/本線 急行 29.3km) 相鉄はJR、東急、さらにはその向こうのメトロ南北線、副都心線、都営三田線へと多数の路線に乗り入れる
渋谷・渋谷駅

 あっという間に渋谷に到着。吉祥寺ではまばらだった車内が渋谷に着くころには満員になっていた。
 さて、次は東急新横浜線に乗車するため、新横浜線へ直通する東急東横線のホームに移動する。井の頭線のホームは渋谷マークシティの2階、東横線のホームはJRを挟んだ向こう側の地下5階である。水平方向にも絶妙に距離があるのだが、垂直方向の距離が半端ない。何度もエスカレーターと階段を下り、ようやく奈落の底にあるホームに到着する。
 東急の新横浜線だけでなく、さらにその先の相鉄の新横浜線と本線の西谷から二俣川も一気に片づけたいので、20分ほどホームのベンチで電車をやり過ごし、湘南台行きの電車を捕まえることにする。
 土曜の夜とはいえ、ここは首都圏。やってくるのは当然、満員電車。人をかき分け、中年のおっさん一人が立つことができる安らぎの空間を確保し、吊革につかまる。

 渋谷から二俣川までは45分、まあまあの長旅である。途中田園調布から日吉までは目黒線が合流するので、日吉行の列車と抜きつ抜かれつしながら進んでいき、日吉から先は東横線を離れて、東急新横浜線に乗り入れる。
 私は名古屋に住んでいるのだが、この新横浜線ができてから、新幹線で東京方面に向かう時、新横浜で乗り換えることが多くなった。東京駅も品川駅も東京メトロ各線との接続が悪いので、最終目的地が東京メトロの駅の場合はだいたい新横浜駅で乗り換えている。新横浜では高架の新幹線から地下深い東急線まで上下の移動がながいのだが、今のところ乗客がそう多くは無いので、大きな荷物を持っていても快適に移動できる。首都圏の鉄道の開業が地方に恩恵をもたらすことはあまりないのだが、東急新横浜線は大変ありがたい新規路線である。
 そして、そうこう言っているうちに新横浜駅を通過したので、東急新横浜線を制覇して、再び東急線全制覇完了となった。

相鉄線新横浜線・本線

#30 二俣川 21:31発 横浜行 → 横浜 21:45着
(相鉄 相鉄本線 10.5km) 横浜のローカルカレーチェーン カレーハウスリオのカレー
横浜・二俣川駅

 新横浜から相鉄新横浜線へ、さらに西谷から相鉄本線に乗り入れ、6時間ぶりに二俣川駅に帰還。夜も更けてきたせいか、昼よりも閑散としているように見える。
 昼間にいずみ野線と本線の二俣川以西、そして今、新横浜線制覇してきたので、残すは西谷以東の本線のみである。
 橋上駅の駅舎に登り、反対側のホームで横浜行きの本線の列車を捕まえる。

横浜・横浜駅

 14分で横浜駅に到着。本日最後の締めとなる相鉄の横浜駅も見事な頭端式ホームである。
 列車が到着し扉が開くと、全員が一斉に先頭方向の改札に歩いていく。列車に乗る乗客は反対に改札から列車へ進む。この人々のきれいな交差が鉄道ターミナルの本来の姿だよなと、しみじみ思いながら一日乗車券を改札に通し、本日の全工程を終了。
 地下2階のカレーハウスリオでカレーを食べて帰るとする。横浜に2店舗のみ展開しているカレーハウスリオ。若干、テイストが京王の誇るカレーショップC&Cに被るのだが、どちらもおいしいよね。

宇都宮ライトレール

#1 宇都宮駅東口 13:24発 芳賀・高根沢工業団地行 → 芳賀・高根沢工業団地 14:12着
(宇都宮ライトレール 宇都宮芳賀ライトレール線 14.6km)
#2 芳賀・高根沢工業団地 14:18発 宇都宮駅東口行 → 宇都宮駅東口 15:06着
(宇都宮ライトレール 宇都宮芳賀ライトレール線 14.6km) (左) やたらかっこいい車内
(右) 高架に上り、鬼怒川を渡る 終点の芳賀・高根沢工業団地電停
宇都宮・宇都宮駅東口

 翌日、上野東京ラインで宇都宮線の車窓を眺めながら、宇都宮にやってきた。さすご首都圏、並行するいくつもの在来線や貨物線、線路の離合をみているだけでも全く飽きない。
 宇都宮にやってきた目的はもちろん餃子でも餃子の像でもなく、宇都宮に新しくできた路面電車、ライトラインこと宇都宮ライトレールの乗車である。JR宇都宮駅の西側には少し離れたところに東武の宇都宮駅があるが、東側には鉄道がなく、新たに新世代のLRTとして宇都宮ライトレールが建設された。
 JRの宇都宮駅の東口からペデストリアンデッキで繋がる停車場に向かう。

 休日の昼間は12分ヘッドのパターンダイヤとなっていて、次の列車までは10分弱。それにも関わらず、ホームから溢れんばかりの人が次の列車をまっている。
 やってきた列車は黄色を基調とした斬新なデザインの低床車両。むっちゃかっこいい。乗ってみると、車内は広々としていて、路面電車の概念を覆す乗車空間となっている。
 宇都宮東口から一ブロックはビルの合間の専用軌道を走り、その後、T字路の先にある大きな道の真ん中に敷かれた併用軌道に入る。駅の西側と比べると、東側は道もビルもまだ新しく、「最近できた街」という雰囲気がする。
 だが、10分ほど走ると街を離れ、線路は高架の上を走るよになる。路面電車をイメージしていたので、大規模な構造物があるとは思わなかった。電車はそのまま真新しい橋を渡って鬼怒川を超えていく。いや、宇都宮ライトレールむっちゃ金かかってるじゃん。と、車窓を眺めていたのだが、気が付いたら、みんな列車を降りており、乗客は数えるほどになっていた。
 鬼怒川を越えた後、再び併用軌道に戻り、工業団地を抜け、郊外型の路面店が並ぶ「いかにも郊外幹線道路」という道路の真ん中を走るようになる。郊外に延びる大きな車道の真ん中を走る路面電車はなかなか見ない光景である。

芳賀・芳賀・高根沢工業団地

 宇都宮ライトレールの総延長は14.6キロ、乗車時間は48分に及ぶ。予想外に長い距離と時間をかけ、降り立った終点は工業団地のど真ん中だった。電停の名前は芳賀・高根沢工業団地。完全に名は体を表している。
 電停の目の前にあるのはホンダの工場で、その向こう側には大きなテストコースもあるらしい。ただ、それ以外は目立った工場は無く、切り開かれた土地が目の前に広がっている。
 今日が日曜日だからということなのか、見渡す限り人っ子一人いない。

 とりあえず乗ってみて思ったのは、むちゃくちゃ金がかかってるなという印象。
 新規の鉄道路線を作ることができないこのご時世に建設したのだから、道路のインフラを利用した簡易的な路面電車なのだろうと勝手に想像していたのだが、実際は新規の構造物が多く、併用軌道部もしっかり車道と分離されている。これだけの長大距離の鉄道を建設して、採算が取れているとするならば、LRTの未来は明るいと思うのだが、本当に大丈夫なのかいね? 終点の景色をみているとちょっと心配になるが、平日は賑わっていると信じて健闘を祈りたい。

 都合3日間で、京急、京王、小田急、相鉄他、関東の未踏破鉄道を全て片付けた。
 これで、非JR路線全制覇はかなり前進し、残りは秋田の3セク二つと北陸の3セク、私鉄群、九州全域と最近延伸した北大阪急行の千里中央以北となった。
 かれこれ10年以上かけてのんびりやっているが、なんとか残りが1行で説明できる程度になってきた。九州はくま川鉄道の復旧を待ちたいので後回しにして、来年は北陸と秋田を片づけたいですな。
 では、また来年。

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