2025-06-03

北陸私鉄・三セク鉄道制覇 777.9キロ (#3 福井編)

 直江津から敦賀まで、旧北陸本線沿いの私鉄を乗り継ぐ旅の2日目。
 早朝残っていた北陸鉄道の石川線を片付けて、IRいしかわ鉄道で福井に向かう。
 福井では、えちぜん鉄道、福井鉄道、ハピラインふくいの3鉄道を制覇し、ゴールの敦賀に向かう。

えちぜん鉄道

えちぜん鉄道福井駅 #21 福井 09:25発 勝山行 → 勝山10:19着
(えちぜん鉄道 勝山永平寺線 27.8km) (左) えちぜん鉄道勝山駅
(右上) 途中駅で謎の恐竜軍団に襲われた
(右下) 勝山駅に保存してある戦前の電気機関車 1920年製 #22 勝山 10:49発 福井行 → 福井口11:38着
(えちぜん鉄道 勝山永平寺線 26.3km) #23 福井口 11:43発 三国港行 → 三国港12:28着
(えちぜん鉄道 三国芦原線 25.2km) (左) えちぜん鉄道三国港駅
(右) 三国港駅の手前に架かる1913年築のレンガ橋 #24 三国港 12:39発 福井行 → 田原町13:21着
(えちぜん鉄道 三国芦原線 23.1km)
福井・福井駅

 福井に到着。福井では、ハピラインふくい以外に、えちぜん鉄道と福井鉄道に乗車する。
 まずは、北陸新幹線のすぐ横に高架駅を構える、えちぜん鉄道に移動する。
 えちぜん鉄道はかつては嵐電の京福電鉄が運営していた路線である。経営不振と2度の正面衝突事故を契機に一度廃止されたものの、新たに第三セクター・えちぜん鉄道として存続されることが決まったという歴史を持つ。
 路線は永平寺方面の勝山永平寺線と東尋坊方面の三国芦原線の2路線。どちらも福井駅を起点に運行されており、途中の福井口駅から二手に分かれていく。
まずは、勝山永平寺線に乗車する。乗って驚いたことに2両編成列車は満員。あとでわかったのだが乗客の大半は終点の勝山まで乗車し、そこからバスに乗り換えて福井県立恐竜博物館に行く乗客らしい。
 必然的に子供連れの乗客が多く、車内はとても賑やか。今まで乗ってきた列車たちとは一味違う雰囲気である。よくはわからなかったが、途中の駅のホームはカラフルな恐竜(の着ぐるみ)で占拠されていたりして、とにかく恐竜推しがすごかった。かつて一度恐竜博物館に訪れたことがあるが、確かに楽しい博物館である。

勝山・勝山駅

 乗車時間は約1時間。途中永平寺駅で客が降りるのかと思ったがそんなことはなく、恐竜への期待にハイテンションな子供たちを乗せたまま、終点の勝山にたどり着いた。この駅でも、やはり恐竜がたくさん待ち構えていた。しかし、恐竜の中の人、ボランティアなのだろうか??
 折り返しの列車まで、待ち時間は30分ほど。駅に併設されたカフェで朝食を食べながら、列車を待つ。
 なお、えちぜん鉄道と福井鉄道は共通の一日乗車券を発行している。2鉄道合わせて1,700円也。Tabiwaアプリからも購入できる。

福井・福井口駅

 観光客が帰る時間にはまだ早いということで、行きとはうって変わってまばらな乗客を乗せて、勝山から三国芦原線との分岐駅である福井口駅まで戻ってきた。
 えちぜん鉄道は単線ということもあり、行き違いの関係で、到着後すぐに三国港行きの列車がやってきた。三国港行きは1両編成のようである。三国芦原線は、東尋坊や芦原温泉の足となっていて、私も何度か観光で乗ったことがあり、勝山永平寺線より賑わっているのかと思っていたのだが、そうではなかったようだ。恐竜の集客力恐るべしである。
 1両編成の座席が半分埋まる程度の乗客なのだが、列車にはアテンダントが乗り込んでいて車内でアナウンスや切符の販売を行っていた。思えば、今回の旅、この列車以外の全ての列車はワンマン運転だったと思うので、運転士以外の乗員を見るのは初めてかもしれない。
 勝山永平寺線は山に向かって進む路線だったが、こちらは海に向かって進む路線。終点に近づけば近づくほど、田園が広がっていく。
 朝から降り続いていた雨もようやく止み、空から薄日が差すようになってきた。

坂井・三国港駅

 東尋坊に行くであろう乗客も地元の学生も終点の一駅手前、三国駅で降りてしまい、終点の三国港まで乗っていたのは2名の乗客のみだった。
 三国港駅はかつては国鉄の貨物駅として開設された駅らしいが、確かに、港はすぐ目の前である。
 小さな駅舎とホームがあるだけの小さな駅である。駅の直前、線路の上を道路橋がまたいでいるのだが、この橋は歴史ある有形文化財とのこと。レンガ積みの橋であるが、線路と道路が直行していないため斜めにアーチを作るねじりまんぼの技法で作られている。
 ちなみに、ねじりまんぼは琵琶湖疏水のアーチ橋が有名だが、それ以外の現存するものの多くは鉄道関連のトンネルとして作られている。

 10分後、乗ってきた列車にもう一度乗り込み福井方面に折り返すとする。
 もちろん、行きに乗っていたアテンダントさんともまたご一緒することになる。

福井鉄道

福井鉄道 田原駅 #25 田原町 13:44発 たけふ新行 → たけふ新14:56着
(福井鉄道 福武線 22.1km) 福井鉄道の駅前後のポイントはスノーシェッドで覆われている 福井鉄道たけふ新駅 素晴らしきかな、頭端式ホームの哀愁
福井・田原町駅

 えちぜん鉄道と福井鉄道の乗換駅は、福井口の3駅手前の田原町駅。両線の線路は繋がっており、相互に乗り入れている。
 えちぜん鉄道を降りると、すぐ隣に福井鉄道のホームがあるのだが、福井鉄道が直前までホームを開放しないので、駅前でしばらく待つことにする。
 定刻前にやってきた車両は、元名鉄の880形。岐阜市内電車があるころから走っていたというのだから、かなりの年季物だ。今どきの超低床トラムとは違い、高さがあるので、「よっこらしょ」とステップを登らないといけない。(この列車もかつては低床式と呼ばれていたはずだが、時の流れは速いものである)

 田原町から4停留所先は福井駅である。この福井駅への乗り入れ方法が少し変わっている。本線から少し分岐する形で福井駅への支線が伸びていて、スイッチバックで入線する。ただし、線路はデルタ線の形状になっていないので、一度手前の駅・福井城址大名町に戻ってからもう一度先に進むことになる。つまり、福井城址大名町 → 福井駅 → 福井城址大名町 と福井城址大名町電停に2回停車することになる。反対方向行きも同じルートをとる。
 この福井駅への往復に結構な時間を要し、都合15分ぐらいかかる。そのためか、一部の列車は福井駅に乗り入れずに通過していく。せめてデルタ線があれば、もう少しスムーズだと思うのだが、難しいのだろうか?

 福井鉄道は全長20km余り、福井市、鯖江市、越前市の旧武生市街を結んでいる。田原町から2kmほどの区間は軌道線、すなわち路面電車なのだが、そこから先は専用軌道による鉄道区間となる。
 専用軌道区間は市街地からちょっとだけ離れたところを走っているのだが、周りを木に囲まれており、ぱっと見かなりの山の中に入ってきたかのように見える。
 専用軌道区間の特徴が、駅前後の分岐器を覆うドーム状のスノーシェッド。さすが、雪国である。
 そして、鯖江駅の手前あたりから、また雨が降り始めた。運転席のワイパー越しに、スノーシェッドの姿を眺めながら、先に進む。

越前・たけふ新駅

 1時間10分ほどで、終点・たけふ新駅に到着する。福井鉄道も制覇完了。
 この「たけふ新」というちょっと変わった駅名だが、一度「越前武生」という普通の駅名に変更されたものの、10年ほどで元の名前に戻された。(昔は、漢字で「武生新」だった)。
 なんだか変な名前には妙に愛着が湧くというのは、ちょっとわかる気がする。名古屋にも駅前に「大名古屋ビルヂング」という変な名前のビルがあり、近年建て替えられたのだが、名前は引き継がれた。ちなみに、このビルの所有者は三菱地所。同社が所有する丸ビルもかつては「丸ノ内ビルヂング」だったが、建て替えを機に、普通の名前の「丸ノ内ビルディング」に変わった。名古屋が未だに「ビルヂング」なのは、ビル名の愛着を考慮したということらしいが、名古屋がナメられているような気もしなくはない。

 話は戻って、たけふ新駅。2面3線の駅だが、2番線以外の線路には多数の列車が留置されている。頭端式ホームの先頭に改札があり、出口の目の前には、大きなショッピングセンターがある。
 ハピラインふくいの武生駅はショッピングセンターを挟んだ向こう側なので、歩いて移動する。それにしても、まだ雨がぱらついている。この2日間、ずーっと雨でしたな。

ハピラインふくい

ハピラインふくい武生駅 #26 武生 15:14発 福井行 → 福井15:35着
(ハピラインふくい線 18.9km) #27 福井 16:05発 敦賀行 → 敦賀16:57着
(ハピラインふくい線 54.0km) 敦賀駅 駅舎越しに新幹線ホームの巨大な壁が見える
越前・武生駅

 たけふ新から徒歩5分、武生駅に到着した。
 残すはハピラインふくいの福井-敦賀間のみ。敦賀に向かってフィニッシュと行きたいところだが、福井-武生間は、まだ乗っていないので、一度福井に戻る。
 にしても、旧北陸本線の三セクの会社名、ハピラインふくい、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道となんでこうもキラキラしてるのか...。IRいしかわ鉄道を見習って、落ち着いた名前にしてくれないものだろうか。

福井・福井駅

 そして、武生から20分で福井駅に到着した。
 ところで、私は20年ほど前、仕事の関係でよく名古屋から福井に「しらさぎ」に乗って移動していた。基本的にはそのころとあまり景色が変わっていないのだが、唯一の大きな違いは北陸新幹線の高架である。越前花堂の駅なんか、何もないところにぽつんと越美北線のホームがあったはずだが、今では新幹線の高架の直下にある。左の車窓は変わっていないのに、新幹線の高架のある右側の車窓は変貌を遂げていて、とても不思議な気分になる。
 福井で20分ほど待ち合わせで、敦賀行の列車を捕まえる。
 いよいよ、この列車が無事に終点にたどり着けば、今回の旅は終わりとなる。

敦賀・敦賀駅

 50分ほどで敦賀に到着した。これにてハピラインふくいも全線制覇完了、そして、北陸地方の私鉄・三セク鉄道を全て乗り潰したので、今回の旅も無事にゴールである。
 噂には聞いていたが、敦賀のホームに降り立って背後を見上げると、敦賀駅がとんでもない姿になっていた。新しく設置された新幹線のホームは地上20メートル以上、旧来からある在来線のホームの西側に巨大な壁が出来上がっていた。
 改札を出て全体を見渡すと、さらにその壁の巨大さが際立つ。太平洋側からの何かしらの進行を阻止する防御壁のようだ。
 北陸新幹線開業にともない、サンダーバード、しらさぎは敦賀止まりになったのだが、両特急は新たに新幹線のホームの直下に作られた地上ホームに到着するようになり、旧来からのホームは普通列車専用のホームとなった。
 さて、新たに作られたしらさぎ用の34番ホームからしらさぎに乗って名古屋に帰ることにする。

 全国の私鉄、三セク鉄道の乗りつぶしを進めているが、北陸を片づけたので、本州の残りは秋田の2つの鉄道、由利高原鉄道と秋田内陸縦貫鉄道のみである。
 秋田遠いなぁ...。
 あと、本州以外は九州が残っている。九州は現在一部運休中のくま川鉄道の全線復旧を待ってから乗りつぶしたい。

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