ヨーロッパとアジアを結ぶ国際列車が行きかっていた戦前の鉄道黄金期に思いを馳せながら、ヨーロッパの駅舎を巡る旅。
パリの6つのターミナルを探訪。Nord, Est, Montparnasse, Saint-Lazare と巡ってきて残りは2つ。
- #1 ワルシャワ
- #2 ポズナン
- #3 ベルリン
- #4 ケルン
- #5 リエージュ/オーステンデ
- #6 ブリュッセル
- #7 パリ 前編
- 特別編 1939年 欧亜大陸鉄道の旅
1939年時点の鉄道の時刻表を元に作成した仮想旅行記 - 欧亜大陸鉄道
1939年時点の鉄道の時刻表を元に作成した仮想乗換案内サイト - Toboggar - パリ主要ターミナル
- ルートマップ(Google Maps)
Lyon
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(左下) 2つのホールをつなぐ通路
(右下) 通路に古い Lyon 駅の写真が貼られていた
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パリ・パリ Lyon 駅
セーヌ右岸、パリ中心部の東側の Lyon 駅に移動する。
その名の通り、フランス中部のリオンやスイス方面に向かう列車が発着している。
現在の駅舎はパリ万博に合わせて1900年に完成したものである。白のような荘厳なファサードの横にある大きな時計塔がシンボルとなっている。
22線のホームは全て盛り土の上にある頭端式。だが、ホームの頭が揃っておらず、セーヌ川に近い方と遠い方でかなり位置がずれている。そのためそれぞれのコンコースはHall1、Hall2と分かれていて、細長い通路でつながっている。
Hall1側のホームはホーム別の屋根で、Hall2はニ連の三角屋根のトレインシェードが掛かっていた。
ホールが2つに別れていることが原因なのか、駅構造がごちゃごちゃとして、慣れないと迷いそうに思えた。
駅舎の前の道を数分歩くとセーヌ川が流れている。
セーヌ川の橋の向こうに見える建物は Austerlitz 駅なので、橋を歩いて渡って Austerlitz 駅に向かう。
Austerlitz と Orsay
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DEPART (到着) の文字が残るが、かつて出発と到着の出入り口が分かれていた頃の名残と思われる
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地下鉄の駅は駅舎の中にある
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(下) 駅の隣の遠ろの下と駅舎の隣にホームの頭端がある
駅舎の隣はおそらくトレインシェードの工事中で足場で覆われていた
パリ・パリ Austerlitz 駅
Lyon 駅のセーヌ川の対岸、橋を挟んで斜向かいといった位置にあるのが Austerlitz 駅である。
1938年の時点の路線図では Orsay 駅がターミナルとなっていたが、駅の歴史は Austerlitz の方が古く、現在の駅舎が完成したのがパリ万博を控えた1867年である。
その当時この駅を運用していたパリ・オルレアン鉄道がパリ中心部に近い位置に駅を作ろうと1900年に路線を延伸し、Orsay 駅が作られた。しかしながら、Orsay 駅は手狭であり、1939年には長距離列車の起点はAusterlitzに戻された。その後Orsayは近郊路線のターミナルとして使われていたが徐々に使われなくなり、ついには廃駅となった。
その後、歴史的な駅舎を活用して、オープンしたのが印象派の殿堂であるオルセー美術館である。
Austerlitz 駅はセーヌ川にそってファサードが作られている。グレーの屋根と大きな窓ガラスがとても美しい駅舎なのだが、壁の一部がくり抜かれている。セーヌ川を堤防の高さで渡った地下鉄の線路はそのままの高さで進み、ファサードのぶち破るように駅舎の中に入っていくのである。
駅舎に入ってみたのだが、入ってすぐ工事のため立ち入り禁止となっていた。通常、ホームはファサードに垂直に並ぶもであり、どこから入るのか迷っていたが、どうやら線路は駅舎を正面から見て左手の方に伸びているようである。
ホームは頭上を走る道路の高架下の部分とトレインシェードのある駅舎裏の2箇所に別れていて、全部で21の線路がある。ただし、現在は絶賛工事中で、駅全体を見渡すことができなかった。
工事のため、列車の本数も減らされているらしく、利用客の姿もほとんど見ることがなかった。
現在行われている駅の改良工事が終わると Lyon, Montparnasse 発着の列車が一部振り向けられるようになる予定となっている。その頃にはかつての活気を取り戻しているはずである。
パリ・オルセー美術館
これにてパリの6つのターミナルの見学はおしまいである。が、やはり、かつて Orsay 駅であったオルセー美術館も見ておかなければなるまい。
前述のとおり、戦前の一時期、Austerlitz から Orsay まで線路が延長されていたのだが、現在はその路線を活用してRERのC線が運行されている。Austerlitz のRERのホームは地下にあるのだが、地下ホームに行ってみると当面列車が来ないことが判明する。この週、フランスでは年金制度改革に反対する大規模なストが慣行されており、おそらくそのせいで電車が間引きされていたようである。
30分ほどホームで待ち、ようやくやってきた2階建ての列車に乗り込む。Austerlitz から Gare du Musée d'Orsay (オルセー美術館駅)までは、2駅で 数分の距離。Gare du Musée d'Orsay のRERのホームもまた地下にあり、出口の階段を登るとオルセー美術館正面の広場に出る。
平日の夕方であるが、流石に大人気で入口にはちょっとした入場列ができていた。列に並んでいると、そこかしこから日本語が聞こえてくる。パリ全体で、そんなに多くの日本人は見かけなかったことを考えると、俺も含めてだが、日本人印象は好きすぎ説がある。
中に入り玄関を抜けると、美術館とは思えないとてつもなく大きな空間が目に飛び込んでくる。かつて列車が止まっていたであろう駅の空間がそのまま残っているのだ。
展示物は、1階部分だけでなく、2階以上のフロアに配置されているのだが、展示スペースは建物の端の部分に作られており、駅の大きな空間はそのまま生かされている。
印象派の展示は5階部分を中心に配置されており、ルノワールのムーランドギャロットの舞踏会、クロードモネのサンラザール駅など、圧巻のコレクションが所狭しと並べられている。おそらく部屋の一角の作品群だけでも日本で大規模な巡回展が開催できるのではないだろうかという印象派オールスターラインナップである。
また、5階には駅全体を見下ろすことができるスペースもあり、美しい構内を行き交ったであろう往時の列車の姿を思い浮かべることができる。
オルセー美術館、かねてより憧れていた場所なのだが、やはり行く価値のある美術館である。
パリ見物
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(右下)エッフェル塔の展望台からの長め
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パリ・凱旋門
翌日。相変わらずの曇り空だったのだが、風が強くとても寒い。だからといってじっとしているわけにはいかないので、パリの観光地をいろいろと回った。
これは外せないと凱旋門とエッフェル塔を回ったのだが、凱旋門は臨時休業で中を登ることができず(ストの影響なのか、定休日なのか、本当に臨時のやすみなのか不明)、エッフェル塔は長蛇の列で、1時間並ばされたりなかなか大変だった。
エッフェル塔は、その姿も美しいし、展望台からの眺めももちろん最高なのだが、一番の魅力は展望台に登るときに使用する斜めに登るエレベーターですな。斜めに登るので実質的にはほぼケーブルカー。たくさんの乗客を運ぶため箱が2階建てになっているのもとてもよい。展望台はよいので、できればあれで5往復ぐらいしたかった。
ちなみに、俺は凱旋門は思ったより遥かにデカいと思って、エッフェル塔は思ったよりちっちぇなと思ったんだけど、他の人はどう思ってるんだろうか??
パリ・オランジェリー美術館
パリ市内見学の最後に、オルセー美術館のセーヌ川の対岸にあるオランジェリー美術館に行った。
ここでも、やはり長蛇の入場列。寒い中、1時間以上待って、閉館間際にギリギリ滑り込むことができた。
オランジェリー美術館には、クロードモネが最晩年に描いたの巨大な8枚の睡蓮の連作が展示されている。全長は90メートルを超える大作を楕円形の2つの部屋配置し、モネの睡蓮に包まれるかのように作品を眺めることができるようになっている。ほぼこの作品があるだけと行っても良い美術館だが、これを見るためだけにいく価値はある。
ベルサイユ宮殿
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前方に見える白い空間は何かというとバカでかい池
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ベルサイユ・ベルサイユ宮殿
次の日はベルサイユ宮殿に向かった。あまりいい天気とは言えないが、時々晴れ間が見え、昨日よりはかなり暖かくなった。
ベルサイユ宮殿はパリの中心部から20キロほど離れた郊外にある。鉄道のルートは3つあるのだが、どのルートも最寄りの駅からヴェルサイユ宮殿まで2キロ前後の距離がある。駅からヴェルサイユ宮殿までトボトボ10-20分ぐらい歩く時間も含めて時間にして パリから1時間ちょいのちょっとした旅となる。
3つのルートの中でも歩く距離が一番短いのがサンラザール駅から SNCF (フランス国鉄) のL線に乗って、Versailles Rive Droite 駅に向かうルートなので、これをチョイスした。
Versailles Rive Droite 駅はL線の終点で、こじんまりとした可愛らしい駅である。こういう駅もとてもよい。
そこからGoogle Mapにしたがって歩いていったのだが、着いたところがベルサイユ宮殿の正面ではなく、従業員通用口のような裏門。係員に入っていいかと聞いたら入れてくれたのだが、まあ、どうせだったら正門から堂々と入りたかったものである。
ベルサイユ宮殿の感想だが、まあ、デカいに尽きる。宮殿がバカでかいのはもちろんだが、敷地が以上に広い。
デカすぎる宮殿でさんざん豪華な部屋を見せられた挙句に、果てしなく続く庭というか大地が現れる。
宮殿の前に大きな噴水があり、その向こうに遥か彼方地平線まで森が広がっているのだがそれが全て「庭」らしい。森の真ん中にまっすぐ伸びる白い空間がある。白い空間は人工の池なのだが、遠すぎて水面に見えない。
そりゃ、こんな庭作ってたら国が傾きますわな...。
しかも、敷地内には他にも大トリアノン、小トリアノンとよばれる宮殿もあり、まぁ、一日遊べるテーマパークみたいなところでしたな。
帰りは、今度こそは正門から出て駅に向かうことにした。
正門から出て、道を渡ったすぐ先に路線バスが止まっていた。調べてみると、Pont de Sèvres という地下鉄9号線の駅まで行くバスらしい。
バスは高頻度で運行しており、降りたら目の前に地下鉄駅がある。駅からとぼとぼ歩いた行きよりも明らかに楽である。各種ガイドではヴェルサイユ宮殿に行くときのアクセスは電車ルートが示されているが、どうもバスを使った方がよいっぽい。
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