2026-03-30

名古屋市営地下鉄一日制覇 (後編)

 名古屋市営地下鉄全線とリニモ、ゆとりーとラインをゆるーく一日で乗車する旅。
 鶴舞線の上小田井駅から上飯田線の上飯田へ、名鉄で犬山経由で移動するが、犬山にて、現存十二天守、そして国宝五天守の一つ、犬山城へ寄り道することにする。

犬山城

廃線となったモノレールの橋脚が残る犬山遊園駅
国宝犬山城天守 犬山城天守閣内 犬山城最上層からの眺め
(上) 名古屋方面 名古屋駅のビル群がうっすらと見える
(下) 犬山城の北側を流れる木曽川 歩道橋から犬山城を眺める
犬山・犬山遊園駅

 終点・新鵜沼の手前、犬山遊園に到着。ここから犬山城まで歩いていくことにする。
 犬山遊園は愛知と岐阜の県境である木曽川のすぐ手前の駅、かつては木曽川を渡る橋が鉄道道路併用橋で、パノラマカーが路面電車のように走行することで有名であった。また、かつてはモンキーパークに向かうモノレールもこの駅から出発しており、今でも橋脚の一部が残されている。
 犬山遊園から犬山城までは徒歩20分ほど。犬山駅より近いのだが、観光客用のルートが整備されておらず、住宅街の合間を縫って城に向かうことになる。

犬山・犬山城

 犬山遊園駅からとぼとぼ歩いて、現存十二天守の一つ、犬山城の麓へ到着。山城なので、階段を上らないと本丸にたどり着けない。
 城の麓には二つの神社があり、本丸へはその神社の境内を通る二つのルートと神社の外を通るルートがある。どのルートを通っても途中で合流し、10分かからずにチケット売り場に到着する。
 実は、1年ほど前にも犬山城に来たのだが、そのときは入城まで80分待ちとなっていて、さすがに断念した。
 今回は時間もあるので、じっくり並ぶ覚悟でやってきたのだが、待ち時間わずか20分。どういうことかと調べたら、今月から入場料が値上がりしたらしい。ニッポン、貧しいです...。

 たっぷり20分待って、いよいよ天守閣に足を踏み入れる。
 犬山城は現存天守の中で最古であり、近年まで個人が所有していたということでも有名な城。小ぶりの城ではあるが、小高い山の上にある城なので、 天守最上層からの眺めは抜群。
 快晴の今日は、濃尾平野の先、名古屋の街並みまで見通すことができた。反対側は、眼下に流れる木曽川、さらには岐阜方面の山々が見える。江戸時代、城主はタワマン最上階に住む気分だったのだろうね。
 城を後にし、今度は犬山駅まで歩いていくことにする。観光客で賑わう城下町を通らずに、斜めにショートカットしたのだが、その途中、薮下交差点に架かる歩道橋から眺める犬山城が非常に絵になることを発見した。ここからの犬山城はイケメンである。

犬山・犬山駅

 犬山からは名鉄小牧線で、上飯田線の起点・上飯田駅に向かう。

上飯田線

犬山線で上飯田へ (上) 旧名鉄上飯田駅
(下) かつてビルからホームへとつながっていた通路は塞がれている (左) かつての高架ホーム線路跡は駐車場となっている (右) ビルに名鉄関連の施設の看板が残されている #6 上飯田 13:59発 → 平安通 14:01着
(名古屋市営地下鉄 上飯田線 0.8km)
名古屋・上飯田駅

 名鉄犬山線と地下鉄上飯田線は一体運用されており、すべての列車が両線を直通する。なので、犬山線の電車にそのまま乗っていれば、上飯田線を制覇可能なのだが、赤池と同じく一日乗車券の都合もあり、上飯田で降りてみることにする。

 上飯田に行くときにでいつか見に行きたいと思っていた場所が一つある。旧上飯田駅である。上飯田線が開通する前まで、犬山線は上飯田止まりであった。上飯田は地下鉄とは接続しておらず、名古屋市内にありながらも陸の孤島のような駅であった。当時は高架駅であり、現在どうなっているのか確認したかったのだ。
 地下鉄の1番出口を出たすぐ横に、「名鉄上飯田ビル」という古いビルが建っている。これが旧上飯田駅の駅ビルである。駅の機能は失われたが、低層部のテナント、上層部のUR住宅は現役である。
 かつて駅の改札につながっていた大きな階段は今も残されていて、外から直接2階に繋がっている。階段を上って、左手に改札があったはずだが、今はシャッターが閉められ、かつてビルの外のホームに繋がっていたはずの場所には壁が作られていた。
 駅の痕跡は階段の上に掲げられた名鉄の運営する観光地の看板のみ。明治村、リトルワールド、南知多ビーチランドとすべて現役の施設なので、看板としてはおそらく今でも現役なのだろうが、駅があった時代から取り換えられておらず、すっかり文字が薄れている。
 ビルを出て外側に回ってみる。
 かつて高架のホームのあった場所は駐車場になっていて、何も痕跡は残されていない。ビルに繋がっていたはずの場所は外から見てもやはり壁になっている。今となってはここに駅があったことは想像しにくくなっている。

 現上飯田駅に戻って、上飯田線に乗車することにする。といっても、上飯田線はわずか一駅、800メートルの路線である。乗車時間は2分たらず。あっという間に終点・平安通駅に到着する。

名古屋・平安通駅

 次は、ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」に乗るため大曽根に移動する。平安通と大曽根は名城線でつながった、すぐ隣同士の駅である。
 が、ここは律儀に一筆書きルールを守るため、市バスで移動することにする。地下鉄の出口のすぐ目の前のバス停から大曽根行のバスが出発することが分かったので、乗車する。
 乗ってわかったのだが、このバス。少し遠回りして大曽根に向かい、大曽根駅からかなり離れたところの降車用のバス停で終点となる。歩いて大曽根に行った方が早かったのではないかという疑問を抱えながら、ゆとりーとラインの乗り場に向かった。

ゆとりーとライン

平安通から大曽根までバスで移動 ゆとりーとライン大曽根駅 #7 大曽根 14:50発 → 小幡緑地 15:03着
(名古屋ガイドウェイバス 志段味線 - ゆとりーとライン 6.5km) ゆとりーとラインから名古屋の街並みを見下ろす 高蔵寺までバスで移動

ゆとりーとラインのガイドウェイ

小幡緑地駅
名古屋・大曽根駅

 ゆとりーとラインは、ガイドウェイバスという日本唯一の乗り物である。見た目はバスで、実際のところ、ほぼほぼバスなのだが車体の横に誘導輪がついており、これがガイドウェイに沿うことで、ハンドル操作なしで誘導路を走行できるという仕組みである。
 といっても、バスはバスであるので、ガイドウェイ以外の道路も普通に走行できる。大曽根から小幡緑地までは高架のガイドウェイがあり、そこから地上に降りて普通のバスとして運行されている。
 ガイドウェイ区間は、法規上はトロリーバスと同様に「鉄道」という扱いなので、私の私鉄制覇の対象としている。

 大曽根駅の高架上のガイドウェイバス乗り場に向かう。一応鉄道という自覚があるのか法規上の問題なのか、「駅」を自認しており、ところどころで「駅」という表記がある。
 ホーム状のバス乗り場の奥には転回用兼駐車場の大きな空間が設けられている。
 本日は近くのバンテリンドームでマラソンが開催されていたせいか、むちゃくちゃ乗客が多く、大曽根を出発した段階から満員となっていた。
 高架のガイドウェイ区間は信号もないので、鉄道並みの速度で走行する。高架の両端には高い柵がなく、かなり眺めが良い。犬山城で北からの濃尾平野を見てきたが、今度は東の端から濃尾平野を眺めることができた。
 ゆとりーとラインは、大曽根から名古屋ドーム前矢田まではよく乗るのだが、そこから先を乗車することはあまりなく、こんなに眺めがよいとは知らなかった。夜景もきれいそうなので、今度は夜に乗ってみたい。

名古屋・小幡緑地駅

 高架区間の終点、小幡緑地に到着。約15分の高架の旅であった。途中それなりに乗客は降りたのだが、乗ってくる乗客も多く、まだまだ満員である。
 ゆとりーとラインは、名古屋市交通局の「ドニチエコきっぷ」の対象外なのだが、小幡緑地から先の地上区間は、(市外の高蔵寺に行くにもかかわらず)市バス扱いとなり、「ドニチエコきっぷ」の対象となる。
 ということで、ここでも一度精算がてら、降りてみることにする。

 小幡緑地駅は高架上の駅なのだが、そこから地上にスロープが伸びている。
 地上の道路につながる直前にゲートがあり、そこで誘導輪をしまうようである。
 ゆとりーとラインも制覇したので、本日残すは地下鉄桜通線のみとなった。一旦、バスで高蔵寺駅に向かい、高蔵寺からはJR中央線で名古屋に移動、そして桜通線の終点・太閤通駅に向かうことにする。
 次のバスが高蔵寺行きなので、高架の上に戻り、バスに乗り込む。バスは地上に降り、そこからは正真正銘のただの路線バスとなって高蔵寺駅に向かう。
 ところで、小幡緑地の駅はなぜ高架の上に作ったんだろうね? 地上にあれば、階段を上らずに済んだと思うのだが...。

春日井・高蔵寺駅

 志段味の山を越え、庄内川を渡ると、名古屋市から隣の春日井市に入る。
 川を越えたらすぐ高蔵寺駅である。
 名古屋行の中央線に乗車し、名古屋に帰るとする。

桜通線

中央線で名古屋駅まで移動 太閤通駅 #8 太閤通 17:02発 → 徳重 17:39着
(名古屋市営地下鉄 桜通線 19.1km)
徳重駅でゴール
名古屋・名古屋駅

 高蔵寺から30分で名古屋駅に到着。名古屋駅から桜通線の起点・太閤通駅までは1キロあまり。バスが走っていないわけではないが、バス停に移動するより歩いて行った方が早そうなので、歩いていくことにする。
 太閤通駅は、名古屋駅の西側にある。名古屋駅の西側は、駅から至近でありながら、開発から取り残され「昭和」が色濃く残っているエリアである。
 そんなエリアにも、リニアの工事を契機にいよいよ再開発が始まりつつある。工事エリアの広大な土地の建物が取り壊され、今、まさにリニアの工事が続いている。リニアの開通がいつになるのかさっぱり不明だが、街が変わりつつあるようである。

名古屋・太閤通駅

 15分ほどで、太閤通駅に到着。
 桜通線は、東山線の混雑解消を目的に、バブルの真っただ中名古屋駅のコンコースの地価をぶち抜くという難工事の末に開通した路線である。
 しかしながら乗客数は伸び悩み、鶴舞線と同じ規格で作られているにも関わらず、現状は5両編成の10分間隔。鶴舞線以上に設備を持て余している。
 太閤通の次の名古屋駅で乗客がそれなりに乗ってくるが、それ以降乗客は降りるばかり、あまり乗ってこない。近年人口が増えている地域を通っているはずなのだが、なかなかに苦しい現状が垣間見える。

名古屋・徳重駅

 太閤通を出発して40分弱、当然のごとく全線地下区間なので、車窓を確認することもなく終点の徳重に到着した。
 徳重駅は2011年開通の名古屋市営地下鉄で最も新しい駅の一つ。吹き抜けのコンコースがあり、名古屋の地下鉄らしからぬモダンで開放的な駅である。地上にはショッピングセンター、公共施設、バスターミナル、地下には地下鉄の駅と地下鉄の車庫が立体的に開発されていて、地域の拠点になっているようだ。
 地上に出てみると、まだ明るくぎりぎり日没に間に合ったようである。
 これにて、名古屋市営地下鉄全6路線とリニモ、ゆとりーとラインの制覇が完了した。

 名古屋に半世紀住んでいるので、いまさら目新しいものは特にない旅だったのだが、唯一の発見はゆとりーとラインからの眺望。
 市街地がまっ平らな平野にあり、東部の丘陵地帯も緩やかなので、夜景スポットというのがあまりない名古屋において、意外なスポットを発見したことが、本日の収穫である。
 ところで、これで地下鉄全線制覇の未踏破路線は、九州のほぼ全ての路線と、大阪で近年延伸した路線のみとなった。また、訪れていない現存十二天守は彦根城のみである。そこで、次回は大阪に向かい、大阪地区の積み残しを回収してくる。

0 件のコメント: