香港の都市鉄道である香港MTR全線を一日で制覇する旅。
早朝6時からスタートして13時間。5つの路線と軽鉄(ライトレール)を制覇し、残りは6路線。
終電も近づいてきたので、巻きでいきましょう。
ランタオ島、チェクラップコックへ
九龍 深水埗区・南昌駅
西鉄線の南昌駅で、東涌線に乗り換える。
東涌線は、香港の中心部とディズニーランドのあるランタオ島の東涌までを結ぶ路線。途中の欣澳駅からは迪士尼(ディズニー)線が分岐している。さらに、東涌駅手前までは香港国際空港へ乗り入れる機場快線とも線路を共有している(ただし都心部は、東涌線と機場快線の複々線)。
南昌駅からしばらくすると巨大なつり橋を渡ってランタオ島に向かうのだが、車内からはその姿はほとんど見えない。
一応、見上げれば橋脚が見えるが、「あいつ、なんか辛いことがあったんかいな」と、周りに思われるぐらい首を傾けなくてはならない。
ランタオ島に上陸すると、すっかり夜。今日一日、どこへ行って高層マンションの姿が見えていたのだが、この辺りはまだ宅地開発されておらず、さすがに木々しか見えない。
途中の欣澳駅で、反対側のホームがディズニーランド帰りの客で溢れているのを確認しつつ、終点・東涌駅に到着。
新界 離島区・東涌駅
自然豊かなランタオ島だが、東涌駅の周りには、それなりにビルが立ち並んでいる。
すかっり夜になった東涌駅から折り返し、一駅戻って、迪士尼(ディズニー)線の制覇へ向かう。
新界 荃湾区・欣澳駅
東涌駅の隣の駅、欣澳駅に到着。ホームにはやはりディズニーランド帰りの乗客が待ち並んでいる。
跨線橋を渡って、迪士尼(ディズニー)線のホームへ。この時間からディズニーランドに向かう人はいないので、こちらのホームは静かなものである。
ここで気が付いたのだが、この南昌→東涌→ディズニーランドというルートはちょっと失敗だった。
東涌線の東涌行きのホームと迪士尼線は同一のホームで乗り換えることができる。ということは、東涌駅に行く前に、先に迪士尼線に乗るべきだった。そうしていたら、乗り換えが楽になるだけでなく、迪士尼線から戻ってきた後も、都心に戻るディズニーランド帰りの観光客とは逆方向の電車に乗ることになるので、混雑に巻き込まれることはなかった。
まあ、後の祭りなので、しかたなく地獄が待っている夢の国へ向かう電車に乗り込むこととする。
迪士尼(ディズニー)線の車両は、当然ディズニー仕様。東京ディズニーリゾートのディズニーリゾートラインのように、窓枠が例のネズミの形をしている。行きの車両に乗っているのは、おいらを含めて数名だが、帰りのことを考えるとすでに気が重くなる。
ところで、去年の夏に香港ディズニーランドに行ったのだが、日本と比べてむちゃくちゃ空いていて、快適。
大して並ばずに、いろいろなアトラクションを回れる。あえて難点を言えば、プーさんが広東語と英語のバイリンガルであることぐらい。
関東近辺以外の人は、香港ディズニーランドという選択肢も検討してみてはいかがだろうか?
名古屋に住んでいるおいらですら、東京より香港の方が交通費が安いのだから、悪くない選択肢だと思う。
新界 荃湾区・迪士尼駅
5分ほどで迪士尼駅に到着。日本の"舞浜"みたいに胡散臭い名前ではなく、そのものズバリ・迪士尼(ディズニー)である。
駅に到着すると、駅のアナウンスが"Have a magical trip!"と迎えてくれる。
そうは言うても、おいらは別のmagical tripの最中なので、さっさと折り返すとする。
予想はしていたが、帰りは満員電車。気のせいか、聞こえる声の過半が「ヤバい!」、「凄くない?」という、なんだか聞きなれた某国の単語。
ヤバい、ヤバい、マジ卍。
機場快線 エアポート・エクスプレス
(右)人っ子一人いないAsiaWorld–Expoへの通路
新界 荃湾区・欣澳駅
欣澳駅に戻ってくると、ガラガラとスーツケースを引きずる集団に紛れて跨線橋を渡って、都心に向かう東涌線のホームへ移動する。
いやぁ、電車乗る順番間違えたわ...。
さて、お次はランタオ島から空港のある隣の島・チョップラップコックへ向かう機場快線(Airport Express)に乗る。
機場快線は、ランタオ島では東涌線と線路を共有しているので、欣澳駅で電車を待っている間も、バンバン目の前の線路を通過していく。だが、しかし、乗換駅は10キロ近く手前の青衣駅。そこまで戻らないと機場快線に乗ることはできない。
この意味でも、おいらはルートのチョイスを間違っていた。東涌線の終点・東涌駅は空港のすぐ近くで、空港へ向かうシャトルバス・S1ルートが駅の目の前から頻発している。これに乗って機場快線の終点・博覧館駅に向かえば、もっと早く片付けられた気がする。
う~ん、調査不足だな...。
新界 葵青区・青衣駅
青衣駅で機場快線に乗り換える。
この機場快線ってのがクセモノで、その他のMTRの路線とは完全に別の料金体系になっていて、ホームはもちろん改札もコンコースも分かれている。
青衣駅でも2階のホームに到着後、1階の改札を一度出てから、4階の改札で入り直すという立体型の罰ゲームが待っている。いろいろと乗り換えが便利にできている香港MTRだが、今回、初めて構内で迷うことになった。
で、なんとかたどり着いた4階の改札の目の前が空港方面の機場快線のホーム。
他の路線と違い、10分に一度というちょっと長めの頻度で運行している機場快線。全席クッションの利いたクロスシートの快適な車両となっているのだが、いつ乗っても空席が割と目立つ。どうも高すぎる料金が裏目に出て、わりと市民に敬遠されているらしい。
前述の東涌線の東涌駅からバスというルートの方が時間は2倍かかるが料金が4分の1になる。おいらもよほど急いでいなければ、東涌駅ルートを取るなぁ。
青衣駅を出発して、右手の空港の方を見てると空港の手前に大きな人工島が造成されているのが見える。これが、今建設中のマカオへ向かう橋の香港側の出入り口である。
マカオまでの距離は約35キロ。これを橋と海底トンネルで結ぶというんだから尋常ではない。同じような構造の東京湾アクアラインの全長は約15キロ。あの倍なんだから、その長大さたるや絶句するしかない。
来年にもオープンするということで、今後は香港とマカオがバスで行き来できるようになるらしい。
おいらは香港、マカオ間のジェットフォイルが好きなんだけど、あれももう無くなるんだろうなぁ...。
そういえば、広州と香港を結ぶ新幹線も今年の秋に開通するらしいから、お気に入りの広九直通列車もなくなるかもしれない。時代の流れには逆らえないが、つらたん。
空港のあるチョップラップコックへ渡り、機場駅(香港国際空港)に到着。だが機場快線の終点は一駅先の博覧館駅なので、もう一駅乗車する。
機場快線では、各車両の前面に大きなモニターがあり、駅に着くたびに停車中の駅を教えてくれるのだが、これが駅周辺の風景の早回しになっていて、どれもかっこいい。
日本電車にもフルカラーモニターが増えてきたが、どの路線も到着駅の案内はパワーポイントっぽい動画なので、どこかの私鉄が機場快線を見習ってくれるとうれしいんだけどな。
新界 離島区・博覧館駅
空港駅から一駅、歩いて行けるぐらいのすぐお隣にある博覧館駅に到着。
博覧館とは、英語ではAsiaWorld–Expoと呼ばれる巨大な展示場。香港では大物アーティストのライブは、ココと相場が決まっていて、今回もMTRの駅中にKaty Perryのアルバムツアーのポスターが貼られていた。
どうでもいいが、Katy Perryといえば、Left Shark。Left Sharkが来るんなら、ぜひ見に行きたいんだけどね。
せっかくなので、ちょっと改札の外へ出てみたが、人の気配は全くなし。
まあ、時間も時間なので当然ですな。あるいは、AsiaWorld–Expoの中はすでに全てゾンビ化しているのかもしれないので、さっさと折り返すことにする。
香港島 中西区・香港駅
機場快線の終点・香港島の香港駅に到着。機場快線を制覇し、残りは荃湾線、港島線、南港島線と東涌線の香港-南昌間のみである。
思えば、朝、北角駅を出発して以来、久々の香港島である。(パスポートを取りにホテルに帰ったことなど、当然、記憶にない)
すぐさま東涌線で九龍半島へと折り返したいところだが、やはりここでも機場快線と東涌線の改札は別。一度、改札を出た後、エレベータで階下へ降りて、改めて改札を通りなおす必要がある。
で、空港からやってきた馬鹿デカイ荷物を持った西洋人に囲まれながらエレベータを降り、改札を通って、さらに階下の東涌線ホームへ向かう。
東涌線を終え、九龍最後の路線・荃湾線へ
新界 葵青区・茘景駅
東涌線で茘景駅まで向かうが、途中の南昌駅を通過した時点で、東涌線も終了。残りは3線。
南昌駅の隣の駅が茘景駅で、九龍最後の路線である荃湾線へ乗り換えることができる。荃湾線は、香港で初めてヴィクトリア湾で隔てられた九龍と香港島を海底トンネルで結んだ路線。香港島とへの足だけでなく、香港一の目抜き通り・彌敦道と九龍西側のニュータウンとを結ぶ路線として、多くの利用者でにぎわっている。
この時間でも乗客の途絶えない荃湾線に乗って、終点・荃湾駅へ向かう。
新界 荃湾区・荃湾駅
荃湾駅の改札から外へ出てみると、ちょっとした繁華街になっていて、まだまだ長い香港の夜を楽しむ人々が多数行き交っている。
香港のMTRに乗って思ったのは、やはり香港は大きな都市で、観光客によく知られた尖沙咀などの地域から離れても、大きな街が所々に点在しているということ。東京に住んでいる人なんかは珍しくもない景色だろうけど、街から電車に乗って、降りた場所にまた街があるってのは、まさに大都会ならではの景色である。
なんて言っている時間もないので、さっさと折り返して、香港島側の終点・中環駅へ向かう。
いよいよ残りは、香港島の2線のみ
#35 南港島線 海怡半島 → 金鐘(金鐘 行き) とてつもなく遠い南港島線から港島線への乗り換え #36 港島線 金鐘 → 柴湾(柴湾 行き)
香港島 中西区・中環駅
さっきビクトリア湾を渡ったばっかりな気がするが、あっという間に戻ってきて、中環駅に到着。
荃湾線が片付いたので、残りはいよいよ香港島で完結する港島線と南港島線の2線のみ。さらば九龍半島。
まずは港島線に乗り換えて、西の終点・堅尼地城(ケネディータウン)に向かう。
時間がさらに深まったが、港島線のホームでは、まだまだたくさんの人が電車を待っている。そして電車も昼間と変わらず、数分間隔でバンバンやって来る。このペースなら、終電までに全線乗車できることは確実っぽいね。
香港島 中西区・堅尼地城駅
堅尼地城駅に到着。このあたりも北角と同じく香港島の下町地域らしい。
駅の近くのビル群はマンションっぽくて、1階にはテナントが入っている。確かにこの感じは北角とよく似ている。
人通りはあまり多くはないが、飲食店は営業しているらしく、路地の両側に明るい光が漏れ出ている。
香港島 中西区・金鐘駅
で、もちろん、すぐに折り返しの電車に乗車。6駅先の金鐘駅へ移動。
金鐘駅から南へ伸びているのが、香港MTRで一番新しい、2016年にできたばかりの南港島線。わずか5駅、7キロの路線なので、サクッと往復してくるとする。
香港のMTRはどこの駅でも乗り換えがスムーズになるように設計されているのだが、どうもこの金鐘駅は勝手が違うようで、南港島線のホームがやたらと地下深くに設置されている。港島線東行のホームは地下2階なのだが、南港島線のホームは地下6階。
通路を歩いてはエスカレータで下り、また歩いては下りの繰り返し。心の中で「上下左右下上右左左右下上右左上」のコマンドを発行するが、一向にホームにはたどり着けない。
数年後には、東鉄線がこの駅まで延伸されるので、もしかしたらこの間のどこかに、そのホームが設置されるのかもしれない。
長い階段を下り、南港島線のホームにたどり着き、なんとか電車に乗り込む。
さすがに、乗客は全部で数十人といった程度に減ってきている。南港島線の途中には、香港海洋公園の最寄り駅である、その名も香港海洋公園駅がある。
香港海洋公園は、ディズニーランドと並ぶ香港の2大テーマパークの一つで、中には動物園、水族館、遊園地があり、特に動物園はパンダがいることで有名。
おそらく、閉園時間を過ぎているので、乗り降りする客はいなかったが、電車の窓からゲートの電飾を見ることができた。
香港島 南区・海怡半島駅
終点・海怡半島駅に到着。地図によれば、この駅は香港島にほど近い、鴨脷洲という離島にあるらしい。
どうやら、降りる人はそれなりにいるものの、乗ってくる人はほとんどいない模様。
駅の周りの様子は、今日何度も見てきた高層マンションの並ぶニュータウン。週末とは言え、さすがに家路を急ぐ時間になってきた。
ところで、この駅のトイレ、香港では珍しい我らがTOTOの便器が設置されていた。香港旅行中に日本が恋しくなったときは、ぜひ、海怡半島駅に用を足しに来てほしい。
で、用を足したところで、金鐘駅へに戻るとする。
香港島 中西区・金鐘駅
数えるほどしか乗客のいない電車で、金鐘駅に帰還。またしても何度もエスカレーターを乗り換えながら港島線のホームに戻っていく。
先ほどより数は減ってきたもの、港島線のほうはまだまだ賑わっている。
そして、やってきた柴湾行きの電車に乗り込む。この電車が、本日38本目(深圳地下鉄を合わせると40本目)にして最後の電車となるはずである。
今日一日、臀部を痛めつけてくれた金属製のベンチシートに座りながら、終点の柴湾駅に到着するのを待つとする。
運転手が急にストライキでも起こさない限りは、ゴールするはずである。
ゴール柴湾駅に到着!
香港島 東区・柴湾駅
20分後、何事もなく無事に終点の柴湾駅に到着。
なんとか終電前にゴールすることができた。
改札を出てみると、そこはなんだか古そうな住宅街。北角や堅尼地城なんかとよく似た風景なので、香港島の古い町としては、スタンダードな景色なのだろう。
終電前の住宅街ということで、もはや人通りも車の通りも少なめ。目の前を通り過ぎたバスの乗客も多くはない。
のんびりしているとホテルに戻れなくなってしまうので、ゴールの余韻を味わう間もなく、駅に戻っていく。
香港島 東区・北角
本来はもう1時間程早く終了する予定だったので、最後に香港島の名物の2階建てトラム(トラムの経営は香港MTRではないので全線制覇の対象外)の端から端まで乗って締めとしようと思っていた。しかしながら、もはや日付も変わってしまい全線乗車を断念せざる得ない時間になってしまった。
「少しだけでも」と、ホテルの近くで終電直前のトラムを捕まえ、ほんの数区間だけ乗車してみた。
町の中心部では深夜でも賑やかな香港だが、北角あたりは、さすがに人の気配がなくなっている。
普段なかなか見ることのない、人のいない香港の街並みを眺めながら、今回の旅は終了。
深夜の香港トラム
無事1日で香港MTR全線制覇は成功。
乗車列車は36本(+ 深圳地下鉄2本)。所要時間は17時間半。
料金は HK$ 483.2 (250[Airport Express Travel Pass] + 24*2[上水以北料金] + 65[青衣 → 博覧館] + 110[博覧館 → 香港] + 10.2[東鉄線一等車料金]) と、深圳地下鉄の4元。
483ドルといったら、日本円で6,500円ぐらい。交通費、意外と高く付きましたな。
(Airport Express Passは、1回分の機場快線の乗車料金が含まれているが、これは香港到着時にホテルに行くまでに使用している。その分の費用110ドルを差し引くと、363ドルが正味の料金となる)
それにしても、今回は段取りが悪かった。
パスポート事件もそうだが、中国との入出境、最後のランタオ島での乗り換えなど、事前に準備ができていればもう2時間は終了時間を縮めることができるはず。
ところで、現在、香港MTRは馬鞍山線と東鉄線の延伸工事をしている。馬鞍山線は紅磡まで伸びて西鉄線と一体運用され、東鉄線は香港MTR第4の海底トンネルを通って香港島の金鐘駅まで延長する。
今回の経験を踏まえると、これらの延伸工事完了後も、香港MTRは1日で全線制覇することはできそう。(おいらはもうやりませんが...)
さて、今回、初の海外鉄道全線制覇を達成したわけだが、こうなると他の国へも行ってみたくなる。ただ、アジア界隈を見渡すと、意外と適切なサイズの地下鉄ってないんだよね。北京、上海は一日で回れそうな気がしないし、台北は逆に楽勝そう。ソウル、広州あたりが、サイズ的には適切なのかなぁ??
まあ、LCCのおかげで海外にも遠征しやすくなったので、そのうちどこかへ遠征にでかけましょう。
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