2015-07-29

新・近鉄全線501.2km 1日制覇(#6 完結編)

 一日で近鉄全線に乗車する「近鉄全線1日制覇」。
 5月の挑戦ではJRの信号故障に行く手を阻まれ失敗。1ヶ月後新たなルートで再チャレンジを敢行。午前5時のスタートから13時間が経過し、日没の時間が近づいてきた。
 途中最大の山場だった信貴山を駆け下りる信貴山ダッシュも成功させ、ここまでは至って順調。しかも、ここから先は乗り換えもかなり楽。
 正直なところ成功はほぼ手中に収めていると思っている。だがしかし、前回もそう思っていた。ゴールまで2時間半、あと5本電車を乗り継げばゴールという瞬間まで、成功を確信していた。
 それを考えると、ゴールまで5時間半、12本も電車を残している段階では勝利の美酒に酔うわけにはいかない。今一度気を引き締めて先へすすむ。

28. 生駒 18:29発 近鉄奈良行 → 近鉄奈良 18:49着
(奈良線 12.5km)
29. 近鉄奈良 19:00発 特急 京都行 → 京都 19:35着
(奈良線・京都線 39.0km)
30. 京都 19:45発 特急 橿原神宮前行 → 大和八木 20:34着
(京都線・橿原線 55.1km)
すっかり夜 31. 大和八木 20:39発 特急 大阪難波行 → 大阪難波 21:08着
(大阪線・難波線 36.8km)
生駒・生駒駅

 生駒ケーブルの往復を終え生駒駅に戻ってきたところ、待ち受けていたのは激しい黄色でラッピングされたド派手な”阪神タイガーストレイン”。近鉄奈良線は阪神と相互乗り入れをしているので、阪神の車両も乗り込んでくる。
 いや、別に阪神の車両だって問題はない、例えそれがすさまじいデザインでラッピングされていたとしてもだ。理性ではそうわかっているもののやはりどこか躊躇せざるを得ないすさまじい威圧感を感じる。
 思えば昼間に乗った長野線で「河内の阪神おじさん」を見たばかりだ。どうも気が進ままない。
 しかもこの電車、本日の全39本の電車のうち、数少ない「1本見逃して次の電車に乗っても間に合う」電車なのである。
 乗るべきか乗らざるべきか散々迷ったが、前回の失敗のことを考えれば先を急ぐに越したことはない。ここは勇気をもって黄色い電車に乗ることにしよう。

奈良・近鉄奈良駅

 息を殺して、なんとか黄色いタイガーストレインを耐えきり、終点・近鉄奈良駅にたどり着いた。
 ここからは近鉄特急3連発。しかも、うち2つは乗り過ごしの心配のない終点乗車。全席指定、リクライニングシート、おまけに黄色いラッピング電車に出くわすおそれもない。まさにパラダイス・タイム!
 意気揚々と京都行きの近鉄電車に乗り込む。英気を補給するため買い込んだレッドブルを片手に、リクライニングシートに体をうずめる。

京都・京都駅

 ボーっとしていたら、あっというまに終点京都に到着。京都線終了。そして残りの電車があと10本になる。
 折り返しの近鉄特急に乗るとおいらの指定席に乗客が…。その方はどうやら間違って明日の日付の指定券を買ってしまっていた模様。おいらが正しくてホッとすると同時に、なんか追い出したみたいで悪い気もする。和服のお姉さん、えろうすんまへんでした。

橿原・大和八木駅

 京都から1時間、またしても、いつの間にか下車駅・大和八木駅に到着。ここから先は寝過ごしだけが不安要因。シャキッとしとかないといかんね。とにかく橿原線も完了。
 朝、名古屋からの特急に乗って大和八木に着いたのが11時過ぎ。あれから9時間が過ぎて辺りはすっかり闇。
 ここから午前の続きの電車に乗るかのように、名古屋発大阪難波行きの特急に乗り換える。
 やってきた特急は、近鉄を代表する名阪特急の看板列車・アーバンライナー。本日最後の特急だが、トリを取るのに不足のない相手。心して乗車するとする。と言いつつ、終点まで乗るので寝てしまおう...。

32. 大阪難波 21:11発 準急 大和西大寺行 → 生駒 21:37着
(難波線・大阪線・奈良線 20.3km)
33. 生駒 21:49発 学研奈良登美ケ丘行 → 学研奈良登美ケ丘 21:59着
(けいはんな線 8.6km)
34. 学研奈良登美ケ丘 22:01発 コスモスクエア行 → 長田 22:23着
(けいはんな線 18.8km)
35. 長田 22:26発 学研奈良登美ケ丘行 → 生駒 22:39着
(けいはんな線 10.2km)
大阪・大阪難波駅

 南の端・賢島からスタートし、北と東の端・名古屋、そして、吉野、大阪阿部野橋、近鉄奈良、京都といったターミナルを経て、西の端、大阪難波駅に到着。まさに”たどり着いた”感がある。
 これで近鉄最長の大阪線、それに難波線も終了。残りは奈良線(布施-生駒)、けいはんな線、生駒線(信貴山下-王寺)、田原本線、天理線とかなり絞られてきた。本数も残り8本、ゴールまで3時間ちょっと。いよいよ本当にゴールが見えてきた。

 大阪難波駅からは、奈良線の残課題解消のため準急で生駒駅に戻る。
 土曜日の夜ということで、買い物帰りやら、デートの帰りやら、仕事の帰りやら様々な種類の人々が電車に乗っている。でも朝からずーっと近鉄に乗ってますという人は、運転手と車掌とおいらぐらいのもんだろうね。というか、きっと運転手よりも長い時間乗ってるし。

生駒・生駒駅

 関西東側を2時間かけて周遊し、生駒に帰還。(と、このフレーズ何回このブログに書いたことか...)
 次のけいはんな線へ取り掛かる。けいはんな線は大阪市営地下鉄中央線から直通する線路で、電車もなんか地下鉄っぽいし駅名看板も他の近鉄とは別仕様になってるし、線名がひらがなだし、おまけに生駒駅では中間改札があって、なんだか近鉄とは思えない路線。
 なんなら近鉄じゃないことにしてシカトしてやってもいいような気もしてきたが、いじめが社会問題化する昨今、そういう態度は良くないと律儀に乗ることにする。
 まずは生駒から東へ10分、終点の学研奈良登美ケ丘駅に到着。ここで折り返して、大阪市営地下鉄との境界駅・長田駅に向かう。
 ここでちょっと気合を入れ直さねばならない。今回の計画を立てた時から、もし寝過ごすことがあるとしたらこの電車だと思っていた。
 スタートから16時間、そうとう疲れているときの20分強という微妙な時間の各駅停車。寝過ごす必要条件は完全に満たしている。
 「あと何駅」と路線図を見て駅を数えながら長田駅を目指す。一瞬ウトウトしかけたが、なんとか下車に成功。これで、けいはんな線も終了しあと5本。
 折り返して生駒に戻るが、こいつもまた微妙な13分という乗車時間。なんとか13分を耐え切って生駒に帰ってきた。あと4本。

36. 生駒 22:47発 王寺行 → 王寺 23:12着
(生駒線 12.4km)
(右上)王寺駅から(右下)新王寺駅へ 37. 新王寺 23:29発 西田原本行 → 西田原本 23:48着
(田原本線 10.1km)
(上)西田原本駅から(下)田原本駅へ 38. 田原本 23:53発 新田辺行 → 平端 0:01着
(橿原線 6.0km)
生駒・生駒駅

 中途半端に1駅間だけ乗り残している生駒線を潰すために、生駒から王寺駅へ向かう。王寺駅は終点なので寝過ごす心配は無用。いやまあ、あまりに爆睡すれば折り返して生駒に強制送還されるわけだが...。

 25分後、定刻通り終点・王寺駅に到着。生駒線も終了。残りは田原本線と天理線の2線のみ。あと3本、そしてたった1時間でゴール!

王寺・王寺駅

 前回無念のリタイアの地となった王寺駅だが、本日は実に静かに夜を迎えている。
 少し離れた新王寺駅へ改札外乗り換えをするが、乗り換え時間は17分。五体投地をしながらでも十分に間に合う。次の西田原本行きの電車は、新王寺駅の終電。駅の周りに飲み屋や、24時間営業のスーパーもあるのだが、ほとんど人の気配がない。

 10分以上も早く新王寺駅に着いたが、電車は既にホームで待機していて、終電で帰宅する乗客が席を確保していた。発車時間が近づくに連れ、乗客はどんどん増え、席が埋まる程度の乗客にはなった。
 そして定刻通り電車が発車した。

田原本・西田原本駅

 途中の駅で反対方向の電車の行き違いの為えらく長く停車したためか、2分ほど遅れて終点・西田原本駅に到着した。次の橿原線に乗るために改札外乗り換えをしなくてはならないが、乗り換え時間は3分ほど残ったので全く問題なし。田原本線も踏破し、残りは天理線のみ。あと2本!

 田原本線の西田原本駅から橿原線の田原本駅までは100メートル程。どれだけゆっくり歩いても2分はかからない。
 ホームについて一息ついた頃に電車がやってきた。この電車もまた田原本駅の終電。
 4駅先の天理線の乗換駅・平端駅を目指す。

39. 平端 0:05発 天理行 → 天理 0:11着
(天理線 4.5km)
終点天理へ到着!
大和郡山・平端駅

 日付が変わった直後、平端駅に到着。
 いよいよ、ここから近鉄全線1日制覇、最後の電車に乗り換える。
 この平端駅は完全なる乗り換えの為の駅で、ここで降りる乗客はあまり多くはない。よって橿原線を降りた人々のほぼ全てが連絡通路を通って、天理線のホームへ移動する。ざっと数十人が移動し、着いたホームに止まっている6両編成の電車にもそこそこの人数が乗っている。なかなかの賑わいである。
 ここ2本の電車は終電だったが、この電車は終電から数えて3本目の電車であり、なんだか時間が遡ったような気になる。
 気持ち的には終電に乗ってフィナーレを迎えたいところだが、なんかトラブルがあってはいけないので、素直に止まっている電車に乗り込む。
 しばらくして電車が発車する。
これで近鉄のおっさんが急にストライキでも始めない限りは、全線制覇完了となる。

天理・天理駅

 平端からわずか3駅、時間にして6分で終点・天理駅に到着。天理線を制覇したことで、近鉄の全ての路線を乗りつぶしゴール!
 1度の挫折を経た後、19時間、39本の近鉄電車を乗り継いで、なんとか公共交通機関だけを利用して近鉄全線を1日で制覇するというチャレンジを完遂した。毎度、毎度、同じ感想だけど、疲れましたわ...。
 天理の駅を出てみると、終電まであと2本を残しているもののJRがとっくに終電を終えていることもあって、駅前は完全に闇。
 数キロ離れた健康センターで、夜明けを待つことにする。

新・近鉄全線1日制覇(リベンジ版)まとめ
#乗車下車乗車路線
15:17賢島6:12宇治山田志摩線・鳥羽線
26:16宇治山田6:40伊勢中川山田線
36:44伊勢中川7:12伊勢若松名古屋線
47:14伊勢若松7:25平田町鈴鹿線
57:30平田町7:40伊勢若松鈴鹿線
67:42伊勢若松7:55近鉄四日市名古屋線
77:57近鉄四日市8:25湯の山温泉湯の山線
88:29湯の山温泉8:55近鉄四日市湯の山線
98:58近鉄四日市9:28近鉄名古屋名古屋線
109:30近鉄名古屋11:17大和八木名古屋線・大阪線
1111:20大和八木11:25橿原神宮前橿原線
1211:30橿原神宮前12:22吉野吉野線
1312:34吉野13:22尺土吉野線・南大阪線
1413:27尺土13:35近鉄御所御所線
1513:39近鉄御所13:48尺土御所線
1613:52尺土14:21大阪阿部野橋南大阪線
1714:34大阪阿部野橋15:13河内長野南大阪線・長野線
1815:17河内長野15:38道明寺長野線・南大阪線
1915:44道明寺15:48柏原道明寺線
柏原堅下(徒歩)
2016:03堅下16:11河内山本大阪線
2116:15河内山本16:20信貴山口信貴線
2216:30信貴山口16:37高安山西信貴鋼索線
16:42高安山16:49信貴山門(近鉄バス)
信貴山門信貴山下(信貴山ダッシュ)
2317:11信貴山下17:34生駒生駒線
生駒鳥居前(徒歩)
2417:40鳥居前17:45宝山寺生駒鋼索線
2517:49宝山寺17:56生駒山上生駒鋼索線
2618:09生駒山上18:16宝山寺生駒鋼索線
2718:20宝山寺18:25鳥居前生駒鋼索線
鳥居前生駒(徒歩)
2818:29生駒18:49近鉄奈良奈良線
2919:00近鉄奈良19:35京都奈良線・京都線
3019:45京都20:34大和八木京都線・橿原線
3120:39大和八木21:08大阪難波大阪線・難波線
3221:11大阪難波21:37生駒難波線・大阪線・奈良線
3321:49生駒21:59学研奈良登美ケ丘けいはんな線
3422:01学研奈良登美ケ丘22:23長田けいはんな線
3522:26長田22:39生駒けいはんな線
3622:47生駒23:12王寺生駒線
王寺新王寺(徒歩)
3723:29新王寺23:48西田原本田原本線
西田原本田原本(徒歩)
3823:53田原本0:01平端橿原線
390:05平端0:11天理天理線
実施日:2015年6月13日 (土・休日ダイヤ)
近鉄 鉄道総延長:501.2km (伊勢中川駅付近の短絡線は非短絡線と同一路線として計上)
総乗車距離:754.7km
総乗車本数:39本 + 近鉄バス(高安山→信貴山門)
所要時間:18時間54分
運賃:週末フリーパス 4,100円 + 特急券 5,060円 + 近鉄バス 250円

 過去3回の中で、特急料金が一番お高いです。7回も乗ってるからね。
 難易度で言えば、圧倒的に前回失敗したルートの方が楽です。不慮の事故で失敗しただけなので、もう一度挑戦すれば多分成功します。
 その他、いくつかルートは考えられるけど、基本的に賢島スタート、吉野ゴール、生駒山あるいは信貴山あるいは両方での下山ダッシュは必須だね。


 なんだか、最後はあっさりゴールとなりました。
 なんつーか、信貴山ダッシュで燃え尽きて疲れ果てたので、あとは惰性でゴールしたって感じですな。
 今日一日定時運行に努めていただいた近畿日本鉄道の皆様、ありがとうございました。前回身にしみたけど、結局このチャレンジって他力本願で、鉄道会社の努力があってこその成功ですよ、ホント。

 さて、近鉄全線を一日で全て乗車することに成功したわけですが、これで改めて日本の三大私鉄近鉄・東武・名鉄を、電車・バスのみで、それぞれ一日で全線乗ることに成功したわけだ。
 偉いぞ! おいら! スゲーぞ! おいら! おめでとう! おいら!!
 これで一段落したので、次の乗りつぶしのネタを考えないといけませんな。

9 件のコメント:

  1. 大和八木~新ノ口の直通線は別途乘るべし

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    1. そういう意味では、伊勢中川‐川合高岡間の非短絡線も乗ってませんけどね

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  2. 2020年のダイヤでも1日での完乗は可能ですかね?

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    1. どうでしょうね?
      この頃より名古屋線系統の乗り継ぎが悪くなったイメージがありますのでちょっと厳しくなっているかもしれませんね。

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    2. ご返信ありがとうございます。
      実際に調べてみましたが、近鉄名古屋09:30発の特急に間に合わなくなっています。
      こうなると、JRなど他社線を利用しても1日での難しいですかね?

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    3. 9:30の名阪特急に乗れないとすると、このルートでは厳しいと思います。
      この時のルートだと、確か終電まで15分程度余裕があったはずなので、30分遅れの10時のアーバンライナーで近鉄難波に向かってから、終電までに15分縮めるルートがあるかどうかですね。
      正直かなり厳しい気がします。

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  3. 重ねてすいません。
    名古屋から難波に向かうとして、難波到着後はどういったルートで関西エリアの近鉄路線を乗りつぶしていくのが効率的なのでしょうか...。

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    1. 一つのモデルコースとしては、古いですけどこのときのルートですかね?
      https://travel.it-penguin.com/2013/07/5081km-4.html
      この時は、西信貴鋼索線と生駒索道線の間を自家用車でショートカットしていますが、応用できるかもしれません。
      基本的な考え方としては、難波→生駒→京都→奈良→橿原神宮→吉野→阿倍野 を回りながらいかに効率よく枝線(王寺、天理、御所、河内長野、橿原、長田、奈良登美ヶ丘、高安山)を潰すかだと思います。

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  4. なるほど!ありがとうございます!

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