2016-03-02

関東ローカル線の旅(#2 茨城編)

 関東ローカル線の旅、お次は千葉からさらに北上して茨城へ。
 茨城にも魅惑のローカル線がありました。  

鹿島神宮 → 水戸
(JR東日本 鹿島線 / 鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 56.2km) (上) 鹿島神宮駅で、JRの鹿島線の列車と対面乗換ができる
(左下) 立派な高架の上を走る
(右下) 通過はするけど、鹿島サッカースタジアム駅のきっぷは買える
鹿嶋・鹿島神宮駅

 まず最初に乗車するのは、鹿島臨海鉄道。鹿島臨海鉄道は、JR鹿島線の鹿島サッカースタジアム前駅と水戸駅を大洗海岸に沿ってショートカットするように結ばれた路線。
 ややこしいのが、起点の鹿島サッカースタジアム駅で、こいつが起点の癖に臨時駅となって、普段は通過する駅となっている。よって一駅手前の鹿島神宮駅から、あたかもそこが自分の家の玄関かのようにして鹿島臨海鉄道は出発する。
 通過するのじゃしゃーないので、車窓越しに起点駅・鹿島サッカースタジアム駅の勇士を目に焼き付けておくことにする。
 ちなみに、臨時駅とは言え起点駅には違いがないので、JRのきっぷを車内で乗り越し精算すると、「鹿島サッカースタジアム→水戸」というきっぷが発券される。

 車両は典型的なレールバスの2両編成のワンマン運転でいかにもローカル線なのだが、線路は全線高架で真っ直ぐ線路が敷かれた今どきの鉄道になっている。途中の河口近くの大きな川を橋も立派で、その中を通る車窓はなかなか見ごたえがある。ディーゼル2両編成の列車が走るにはもったいない路盤だが、まあ、場所が場所だけにいた仕方ない。
 単線なので、駅で行き違い待ちをしながらのんびりと水戸を目指す。最初は乗客はまばらだったが、水戸近くになるにつれ、乗客が増えていく。
 1時間半後、終点の水戸駅が見えてくる。ここもまた、JRの駅で、遠慮がちに一番端の8番ホームにひっそりと到着する。

勝田 → 阿字ヶ浦
(ひたちなか海浜鉄道 湊線 14.3km) (左上) あぜ道が線路を横断している
(右) 途中で、まさかの増結
(右下) ということで、途中から2両編成へ (上) 終点・阿字ヶ浦駅
(下) 人影まばらな、冬の阿字ヶ浦海岸
ひたちなか・勝田駅

 水戸駅から常磐線を1駅北上した勝田駅から、ひたちなか海浜鉄道が伸びている。路線名の湊線という名前の方が通りがよいのか、駅などでは”湊線”と案内されていることが多い。
 15キロほどの路線だが、なんでこんな方向に線路を伸ばしたんだろうという疑問のわく、人のいなさそうな海に向かって線路が伸びている。海水浴客でも当て込んだのだろうか?
 端から端まで往復するなら、一日乗車券の方がお得なので、一日乗車券を購入。一両編成のレールバスに乗り込む。
 出発すると、田んぼの中を線路が伸びる「案の定」といった景色が広がっている。田んぼの中のあぜ道に、遮断機も警報もない踏切が一定間隔で作られている。夏場には、列車が来ていないことを見極めたトラクターが横断していくのであろうか。
 出発して15分ほど過ぎた頃、那珂湊駅を目前にして列車が急に速度を緩める。都心の朝の通勤ラッシュなら前の電車がつかえているのだろうと思うところだが、ここでそれはないように思える。
 前方の窓から駅を覗いてみると、列車が侵入しようとしているホームに車両が止まっていた。運行ミスなのか?と、驚いたが列車はそのままホームに進入し、まさかの増結作業を開始した。
 もともと1ケタの乗客しかいない上に、那珂湊駅でその大半が下車したので、残りは3名。何故、ここで2両編成に増結したのかよくわからないが、ここから終点までは2両編成となって出発する。

 那珂湊駅からは10分足らずで、終点・阿字ヶ浦(あじがうら)駅に到着する。
 せっかくなのでと、折り返す列車を見送って、周囲を散策する。歩いて10分ほどで海水浴場に到着するが、まあ、何もない。冬なんだから仕方がないが、かといって夏場が賑わっていることを想像するのはちょっと難しい景色である。温泉もあるようだが、立ち寄るには時間が中途半端なので、泣く泣く見送ることにする。
 人里離れた山に向かって空気を運ぶローカル線は全国に多々あるが、海に向かって走っていくローカル線は意外と数少ない。その意味でなかなか貴重な路線である。

下館 → 茂木
(真岡鐵道 真岡線 41.9km) (上) すいかTRAIN 1 Day Pass と おまけにもらえるお守り
(左下) 真岡鐵道の車内
(右下) 茂木駅前で売っていたお団子 美味 SLもおか号
筑西・下館駅

 勝田から常磐線で友部へ戻り、そこから水戸線に乗り換えて40分。下館駅に到着。
 途中で先週に引き続いて、雨が降り出してきた。鉄道に乗っているだけなんだが、やはり晴れていた方がうれしい。
 下館駅からは、北に真岡(もおか)鉄道、南に関東鉄道が伸びている。まずは、真岡鉄道へ。
 真岡鉄道は山奥に向かって走っていくという、よくあるローカル線。概ね1時間に1本のペースで、列車が走っていて、終点までの所要時間は約1時間となっている。
 真岡鉄道もまた往復運賃より一日乗車券が安いので購入する。きっぷの名前は「すいかTRAIN 1 Day Pass」というのだが、なんことかと思えば、その答えが目の前に停車していた。列車がスイカ柄なのだ。なぜ、スイカ柄なのか後から調べたのだが、よくわからない。この辺がスイカの名産地というわけでもなさそうだし...。
 さらに、この切符には"お守り"のおまけが付いている。由来の説明とかがなかったのでよくわからなかったのだが、調べてみたら真岡駅の近くにある守鉄社さんのお守りみたい。"守鉄"って言うぐらいだから、鉄道の旅にはきっとご利益があるのだろうから、これから鉄道の旅に出るときは、持参して行くことにしよう。ありがとう、真岡鐵道。

 雨がやまないので、きっぷを買ったらあわてて列車に乗り込む。
 下館駅の段階で、お客さんは多くはなかったのだが列車が進むにつれ、一人、また一人と下車し、乗ってくる人はほとんどいなくなる。
 そんなことはお構いなしに線路はどんどん山奥に続いていき、終点の茂木(もてぎ)駅に到着する。
 ”茂木”という名前から唯一連想できるのが、オーバルコースのあるレース場ツインリンクもてぎである。実は、茂木駅から数キロしか離れていない場所にあるのだが、そんなものがあると思えない静かな駅である。というか、ホンダさんもよくまあ、こんな最果ての地にレース場を造ったものである。鈴鹿も大概の場所にあるが、ここよりはまだ、開けた場所にあるような気がする。

茂木・茂木駅

 真岡鉄道には、一つ名物がある。SLが走っているのだ。
 別途SL整理券(500円)を購入すると、SLに乗ることができる。帰りは、当然SLに乗車。
 重厚な汽笛音を響かせて、力強くSLが走り出す。ガシャッ、ガシャっと客車が機関車に引かれて動き出す感じが、電車とは違って情緒がある。
 SLとは言え、乗ってしまえばその雄姿が見れないのだが、それでも車窓を後ろへと流れていく蒸気と前方から聞こえる規則的な機械的な走行音が特別な列車に乗っているといくことを伝えてくる。
 やはり、SLには、山間を走る線路がよく似合う。その意味で、真岡鉄道はなかなかのロケーション。できることなら、降りて機関車の走る姿を見送りたいものである。
 せっかくのSLなのだが、立地のせいか、乗客はかなり少ない。3両編成で前方の車両はそれなりに席が埋まっていたのだが、2両目は空、3両目は10名ほどと、半分以上空席がある。終点の茂木駅の周りに何もないのがちょっと痛いよね。
 と、思っていたら、途中の駅から大量の乗客が乗り込んできて、数駅後に降りて行った。バスツアーかなんかのお客さんだと思うのだが、全員おそろいのブルーのウインドブレーカーという奇抜な衣装を着ていたのがちょっと気になった。

 そうそう、SL出発まで待っている間、真岡駅前で売っていた団子を買ったのだが、海苔と醤油の香ばしさがうまくマッチしていて、おいしかったです。

SL撤収

下館 → 水海道
(関東鉄道 常総線 36.6km) 水海道 → 取手
(関東鉄道 常総線 17.5km) 佐貫 → 龍ケ崎
(関東鉄道 龍ケ崎線 4.5km)
筑西・下館駅

 下館に戻った後は、今度は逆方向に進む、関東鉄道の常総線に乗り換える。ここでも、一日乗車券を購入したのだが、常総線の1日フリーきっぷは、なんと終点までの片道運賃よりも安いという、掟破りの破格値。(ただし、発売は土日祝のみ)
 1両編成のレールバスに乗り込み、終点取手駅へとむかう。
 下館駅を出発する頃、ちょうど、さっき乗っていたSL真岡号が車庫へ回送運行されていた。さっきは、力強く蒸気を吐き出して客車をけん引していたのだが、車庫に戻るときは機関車に引かれて撤収するらしい。なんだか、拉致されているようにも見えるところが物悲しい景色ではある。

 関東鉄道は、ローカル線というよりは、都市型鉄道のなり損ねといった位置づけの鉄道だ。住宅街を通って、JRの駅まで通勤・通学客を乗せる典型的な私鉄路線なのだが、いかんせん沿線住民の数が少ないので、1両編成のワンマン運転になってしまう。
 おいらが乗った列車は、側面の行先案内に「水海道乗換取手」と表示されていて、なんのことかと思ったのだが、単に水海道(みつかいどう)駅で、車両を乗り換える必要があるという意味らしい。しかし、なんでまた分岐しているわけでもない線路で車両を乗り換えないといけないのかというと、どうも、乗客がまばらな下館側が1両編成、そこそこ乗客のいる取手側を2両編成としたいため、途中で乗り換えが必要と思われる。
 普通の鉄道なら水海道駅で増解結をするのだろうが、コスト削減のためかお客さんを歩かせているらしい。
 まあ、ホームの向かいの列車に移るだけなので、さして面倒ではないはずだが、やはり、なんかちょっと面倒かも...。
 確かに水海道あたりを境に、それまでは田園地帯だったのが住宅街に景色が変わっていく。そして、お客さんもどんどん増えていき、終点の取手駅に着くころには座席が埋まる程度の客の入りとなってきた。

取手・取手駅

 1時間で、終点取手駅に到着。すっかり、夜になってしまったが、まだ雨が降り続いている。
 常総線を制覇したわけだが、これで関東鉄道を制覇したわけではない。
 関東鉄道にはもう一つ竜ヶ崎線という路線があるのだが、常総線とは離れた場所にあり、直接繋がっていない。取手駅からJR常磐線に乗り換え、二駅先の佐貫駅が竜ヶ崎線の起点。
 地上にあるにもかかわらず、なんだか地下っぽい関東鉄道の構内を通って、JRの改札へ向かう。

龍ケ崎・龍ケ崎駅

 常磐線に乗ったらすぐに佐貫駅に到着するのだが、そこから先の竜ヶ崎線も3駅しかないのであっという間に終点竜ヶ崎駅に到着する。
 周りは暗くてよく見えなかったが、住宅街の合間を縫って走り、最終的に市役所の近くが終点となっているところは、流鉄を彷彿とさせる。
 わずか、2駅間しかないので、うっかり確認しそこなったのだが、竜ヶ崎線にも”竜鉄コロッケ☆フリーきっぷ”なる一日乗車券があったらしい。このきっぷは往復だけでは元が取れないのだが、沿線で使えるコロッケ商品券が150円分ついていたらしい。(コロッケは竜ヶ崎の名物なんだってさ)
 ちょっと魅力的なのだが、まあ、後の祭りですわ。
 そんなわけで、竜ヶ崎駅で外に出たものの、雨に打たれただけですぐに帰りの列車に乗車して、佐貫駅に戻っていく。

秋葉原 → つくば
(首都圏新都市鉄道 常磐新線 58.3km)
龍ケ崎・佐貫駅

 佐貫から取手に戻り、再び常総線に乗車し、守谷駅に向かう。片道だけで元が取れる一日乗車券をここでも遠慮なく活用。
 なんだか立派でにぎやかな守谷駅からは、つくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道 常磐新線が正式名称らしい)に乗り換えて、東京に戻るとする。
 つくばエクスプレスは、首都圏新都市鉄道なる第3セクターが運営するの鉄道。JRが採算が合わないとあきらめた路線を地方自治体が建設するという、ありがちなパターンの路線だ。ただし、東京側の起点が秋葉原駅と最高の立地ということもあって、乗客はかなり多く、6両編成の電車が頻繁に往復する都市型鉄道となっている。
 つくばエクスプレスのホームに降りると、ホームドアのついた今どきのホームが姿をあらわす。開業してまだ10年なので、ホームも電車も目新しい。

 とりあえず、終点つくば駅に向かう。つくば駅は地下駅で筑波山に向かうときなんかはここで乗り換えることになる。
 ま、特に用もないので、次の快速で秋葉原へ向かう。
 秋葉原まではわずか45分。さすが、新しい電車だけあって静かで早い。あっという間に秋葉原に到着。秋葉原もまた地下駅で、なんの変哲もない島式の2面ホームである。
 まあ、今回はローカル線の旅ということで、つくばエクスプレスは乗っただけ終わりです。

 ということで、当ブログでは、ケーブルカーも含めて茨城県のJR以外の鉄道を完全制覇。
 明日は、群馬へ向かうことにする。

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