2014-03-22

網走・知床 流氷探訪記(後編)

 流氷を追いかけて網走から知床半島へ向かった道東の旅。
 3日目は、スノーシューイングで断崖絶壁から海に流れ落ちる滝を見に行ったり、流氷の上を歩く流氷ウォークに挑戦したりしてみた。

スノーシューを履いてフレペの滝を目指す
(下)振り返ると、知床連山 (右)なんとか、フレペの滝に辿り着く
(左)一面の流氷

フレペの滝周辺の景色

斜里・知床自然センター

 翌朝、スノーシューを履いて、知床の自然を散策するアクティビティに参加。
 スノーシューというのは、靴の上から履く大きな雪上歩行器具で、西洋版”かんじき”。これを履けば、雪深い道も比較的容易に歩くことができる。
 世界遺産に指定されている知床の自然散策基地である知床自然センターから1キロほど歩いて、フレペの滝を目指す。
 スタート地点の知床自然センターは森の中にあり、しばらくは、動物の足跡やキツツキの巣穴跡などを眺めながら散策路をのっしのっしと歩いて行く。
 30分ほどすると、森を抜けて雪原が現れる。そこで振り返ると晴れ渡った空の下に、真っ白な知床連山が見えている。遠くから見ると、きれいな白い山だけど、登ってみたら恐ろしい雪山なんだろうね。
 で、こまで来たら、フレペの滝がある断崖絶壁まであと少し。

斜里・フレペの滝

 ついに辿り着いたフレペの滝。
 まずは、滝よりも先に目に入るのが眼下に見える流氷の海。足元から水平線まで全て流氷に覆い尽くされ、その上に真っ白な雪が降り積もっている。この世のものとは思えない異次元の景色。
 で、その断崖絶壁を流れ落ちる滝がフレペの滝。実は、正面に回れるわけではないので、滝の姿はよく見えない。が、まあ「なんかすごそう」ってのは、よくわかる。
 ちなみに、この断崖絶壁、雪が降り積もっていてよくわからないが、下から見ると雪の分少しせり出しているらしく、ぎりぎりまで近づくと、トムとジェリーの様に空中を舞うことになるらしい。
 たしかに、柵らしきものが雪の中から頭を出しているが、その場所は、崖っぷちよりはかなり手前。
 冬に行かれる際は、くれぐれも、お気をつけて。

(左)ドライスーツを着用し流氷ウォークに向かう (右下)雪ノ下の流氷は青く光っている ドライスーツがあれば、流氷の海に浸かることもできる
斜里・幌別橋

 スノーシューのウォーキングが終わったら、次は、いよいよお待ちかねの”流氷ウォーク”。流氷の上を歩きます!
 まずは、ドライスーツに着替えるのだが、このドライスーツがすぐれもの。流氷に覆われた海に入っても全く寒くないし、その上浮いてくれる。というか、この日は摂氏10度という季節外れの陽気で、歩いていると暑くてしょうがない。
 なんか中途半端で短小なウルトラ怪獣のようにも見えるドライスーツで、砂浜であった思われる雪原を歩いて行く。
 どこからはわからないのだが、そのまま海の上を歩きだす。いや、もう、流氷がびっしりと岸まで押し寄せていて、さらに、その上に雪が降り積もっているので、どこまでが砂浜でどこからが流氷なのか、氷の下は深いのか、浅いのか、さっぱりわからない。
 積雪量がハンパないので、フカフカの雪を踏みしめながら、沖へと進んでいくことになる。最初は、もし、この下に氷がなかったらどうしよう、と、おっかなびっくり歩くのだが、そのうち別に普通に歩いても、流氷を踏み外すことはないとわかり、ズンズン歩けるようになる。時々、水たまりのように水面が覗いている箇所があるのだが、それさえ避ければ、地面は安定していて、流氷の上ということを忘れてしまう。
 海面を覗き込むと、抜群の透明度で流氷からの光が青く反射して輝いている。
 ちなみに、流氷というのは、海の上に浮かんでいるものの成分はほぼ真水(塩水は、真水よりも融点が低いため)。なので、流氷が溶け始めた海の水は、塩辛くないらしい。おそるおそるちょろっと舐めてみたけど、確かに塩辛くはなかった。
 あと、印象的だったのが、流氷は青いということ。基本的には、流氷の上に行きが降り積もっているので真っ白なのだが、ときどき、流氷が突き出ているところがあって、その氷はきれいな青色をしていた。
 潜って、海の中から流氷を見上げたらキレイなんだろうけど、ちょっと、それはできませんでした。
 (流氷の上を歩くってのは、本当は結構危険らしいです。隙間に挟まれたり、海に打ちたり、流氷ごと流されたりするので、体験するときは必ずインストラクターと同道してくださいませ)

(左)昼間のオシンコシンの滝
(右)知床半島は人の数よりも鹿の数の方が多そう うっすらと見えるのは知床半島の先端 プユニ岬からの夕陽
斜里・オシンコシンの滝

 流氷ウォークを終えると、昼の様子も見に行こうと、再びオシンコシンの滝に向かう。
 ポカポカ陽気のせいか、昨日よりも滝の周りの氷が溶けているようにも見える。
 振り返ると、海が広がっていて、さっきまで歩いていた流氷が見える。せっかくだから、流氷の上でゴロゴロしているアザラシとかいないかと、双眼鏡を覗きこんだのだが、発見できず。

斜里・プユニ岬

 オシンコシンの滝見学の後は、車でウトロを北上する。冬季は、ウトロから先の知床半島へは行けないのだが(そもそも夏でも車では行けない)、ぎりぎり先端が見える場所から先端を覗きこむ。なんか、かろうじて先端が見えたような、見えていないような...。
 で、続いて、ウトロ全体が見下ろせるプユニ岬で、夕陽を眺める。
 流氷もすごいんだけど、ウトロの漁港全体が凍りついているっていう景色も壮絶。ちなみに、冬の間、漁船は陸に上げてしまうのだそうです。なんか、すごい世界ですな。

 プユニ岬で、背後に鹿を発見する。実は、前日、ウトロに向かうバスから鹿が見えた時、物凄く興奮して「鹿だ! 鹿だ!」と騒いでいたのだが、ウトロに来て気づいたことは、この辺りでは野良猫のよう鹿がたくさんいるということ。
 たぶん、ウトロを歩いていると、人よりも鹿の数の方が多く目にする。
 そんなわけで、せっかくわりと近くまで来てくれたけど、大したリアクションができなくてごめんな、このときの鹿一家のみなさん。

 これで、3日目が終了。翌日は、名古屋に帰るのだが、これがまたほぼ一日仕事なので、ウトロを堪能するのはこの日が最後。ありがとう、流氷と鹿の街、ウトロ。

SL冬の湿原号

SL冬の湿原号連結シーン

車窓に映るのは釧路湿原 SL冬の湿原号乗車証明書
標茶・標茶駅

 さて、道東の旅も本日で終了。帰りは、釧路空港から千歳で乗り継いで空路で名古屋に帰るというルート。
 ウトロから釧路までは、バスと鉄道を乗り継ぐのだが、途中の標茶(しべちゃ)‐釧路間は、”SL冬の湿原号”に乗車する。
 SLの走る釧網線は、釧路湿原のど真ん中に線路がひかれていて、湿原が広がる車窓とSLの重低音を同時に堪能することができる。
 標茶駅を出発してしばらくは、雪深い森の中をSLは走行する。釧路に近づくにつれ、木々の高さが低くなり、やがて大湿原に突入する。
 芦とそこを流れる釧路川、そして降り積もった雪。流氷とは違う北国の景色が広がっている。
 運が良ければ特別天然記念物・タンチョウを見ることができるのらしいが、車窓から見えるのは、鹿ばかりでした...。いや、別に鹿は悪くないんだが...

 そういえば、このSL冬の湿原号の車内にもやはりストーブがあり、当然、売店でスルメを販売している。
 当然、車内は数日前に乗車した流氷ノロッコ号と同じく、スルメの匂いが染み付いている。
 オイラの中では、JR北海道の列車の匂い=スルメ臭という間違った刷り込みが定着した模様。
 ちなみに、SL冬の湿原号、標茶から乗るなら、進行方向に向かって右側のほうが釧路湿原がよく見えます。

釧路・釧路駅

 釧路湿原を抜けたら、あっという間に釧路の市街地。
 標茶から1時間ほどで釧路駅に到着。

釧路名物”ザンギ”
釧路・大ちゃん本舗

 飛行機の時間もあるので釧路でのんびりしているわけにもいかないのだが、”ザンギ”だけは、どうしても押さえておきたかったので、駅前の有名店”大ちゃん本舗”に行く。ここは、本来は、お持ち帰り専門店なのだが店内に小さなカウンタースペースがあり、そこで食べる場合は揚げたてをを用意してもらえる。
 そもそもザンギとは何かというと、ずばり単に”唐揚げ”のことらしい。おいらは、釧路あたりの道東風の唐揚げのことをザンギと言うとおもっていたのだが、どうも、そうではなく、ただ単に”唐揚げ”のことをここいらでは”ザンギ”と呼んでいるのだけなのだそうな。ものの本には、”ザンギ”とは「ニンニクや生姜を入れた醤油ダレの中に鶏肉を漬け込んだものに、小麦粉や片栗粉をまぶして揚げたも」(参考:北海道ザンギ愛好会)と書かれているのだが、いや、それって普通じゃん...。
 で、大ちゃんの唐揚げですが、すげー旨い”ふつー”の唐揚げです。いや、味に関して言えば、本当に旨いんっだて。

 アツアツのザンギを完食したら、空港までバスで移動する。
 4日間の道東の旅もこれで終了。

 ということで、当ブログ初登場の道東地区の旅でした。
 名古屋に住んでいるおいらにとって北海道はなかなか遠い場所で、そうそう簡単に行くことはできず、このブログでも2回しか登場していない。北海道には、まだまだ魅力的な場所があるし、2桁国道の旅も全く手付かず。
 また、行かねばなりませんな。

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