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2016/08/30

バースデイきっぷ 四国全鉄道 完全制覇(#5 香川編)

 四国の全鉄道路線を3日間で乗り潰す旅も、3日目の昼を迎えて、いよいよラストスパート。
 JR四国の全ての路線を制覇し、残りは香川県の私鉄のみ。
 香川の私鉄といえば琴電であるが、もう一つ、ケーブルカーを運行している四国ケープルさんを忘れるわけにはいかない。
 再び、瀬戸大橋で瀬戸内海を超え、うどん県へ。

さっき見たばかりの瀬戸内海の景色を逆走する
倉敷・児島駅

 JR四国全線を制覇し本州に凱旋したものの児島駅は静まり返っている。
 比較的新しくて巨大な構内のわりに人影がまばらなせいで、必要以上に閑散としてみえる。そんな児島駅での8分間の滞在の後、徳島行きのうずしお11号で、残りの鉄道路線を制覇するため、四国へ戻っていく。
 目的地は、琴電志度線の終点・志度駅。

 うずしお号は、宇多津駅までは高知行きの南風と併結されている。宇多津で分割され、うずしおは、後ろ向きで高松へ走りだす。高松駅はスイッチバック駅なので、高松から再び進行方向を変え、元の向きで徳島に向かって出発する。
 高松から10分少々で志度駅に到着。
 この列車が、今回の旅の最後のJRそして、グリーン車である。感謝の念を込めて、去りゆくうずしおを見送る。

(左・左下)琴電志度駅
駅員入魂の日付印が押された1日フリーきっぷ
さぬき・琴電志度駅

 志度駅から徒歩5分。なかなか味のある小さな木造駅舎が琴電の志度駅だ。
 琴電こと、高松琴平電気鉄道は高松の中心部から3方向に伸びる路線を持つ鉄道事業者である。まずは、東の端の志度駅から高松に攻め立てる作戦である。
 全線乗車するので、1日乗車券を買おうと駅舎内の窓口に向かうが、そこで待ち構えていたのは、私語を挟むと怒鳴られるラーメン屋にいそうな店主、いや駅員である。恐る恐る、1日乗車券を購入したいことを告げると、駅員は1日乗車券らしき紙を見せ、「これでいいのか?」と、問いてきた。
 「いいか?」と聞かれても、おいらにはそれが1日乗車券なのかわからないのだが、「はい」と答えるしか選択肢はなかった。
 「はい」と答えると駅員は小さく頷き、窓口の奥に消えていった。
 駅員が戻ってくるまでの数分間、おいらはなにかとんでもなく非合法なものを購入すると言ってしまったのではないかという不安に怯えながら、待ち続けた。
 で、再び窓口に戻ってきた駅員が手にしていた紙はさっきの紙。よく見ると、本日の日付の印鑑が押されている。
 んん?? この数分間の長い沈黙は、日付印を押すのに費やされたの????
 あるいは、駅員が納得するまで幾度と無く押し直されたのかもしれない日付印を得た紙には、しっかりと「1日フリーきっぷ」と記されていた。値段は、1230円也。
 なんだかよくわからないが、どうやら琴電はハードボイルドらしい。

さぬき・琴電志度駅

 さて、やってきた瓦町行きの電車に乗り込んで、琴電制覇開始。と、行きたいところだが、その前に、一つやることが残されている。
 琴電志度線の途中の八栗駅の近くに、四国唯一のケーブルカー、八栗ケーブルがある。こいつを制覇しなくては、四国全鉄道路線の制覇完了しない。よって、まずは八栗駅に向かう。

歩けど、歩けど、ケーブルカーは見えず (上)八栗登山口駅
(左下)往復乗車券
(右下)ケーブルカーの線路を眺める
(上)山上駅の正面には切り立った岩山が鎮座している
(左下)八栗山上駅
(右下)ケーブルカー山上ホームからの眺め ケーブルカーの帰り道 振り返ると良い眺め
高松・八栗駅

 八栗駅から八栗ケーブルの乗り場までは2キロ弱。ケーブルカーなんだから、山の中にあるのだろうと思っていたが、それらしき山は見えない。
 駅前の住宅地を抜け、しばらくすると、石の産地なのか、墓石屋さんが並ぶ緩やかな上り坂が始まる。
 この道を延々と進むとケーブルカーの乗り場に辿りつくはずである。
 ケーブルカーは、四国八十八ヶ所の札所である八栗寺に登るためのルートとなっているので、お遍路さんでもいらっしゃるかと思ったが、炎天下のせいなのか歩行者は見当たらない。
 坂を登り続け、山が近づいてきているのだが、ケーブルカー乗り場らしきものは見えず。うーむ...。

高松・八栗登山口駅

 歩き続けること20分。ケーブルカーが見えたのは、乗り場のほんの数百メートル手前。Googleマップが無かったら、道を間違えたのではないかと不安になったに違いない。全国のケープルカーを制覇してきたが、ここまで辺鄙な場所にあるのは、さすがに珍しい。
 で、さっそく往復乗車券930円を購入。ちなみに、このケーブルカー上り(\560)と下り(\460)で料金が違うという珍しい運賃体系をしている。お遍路さんの意地で、「下りぐらいは歩いて」という人が多いのだろうか?

高松・八栗登山口駅

 15分おきに出発するケーブルカーの発車時刻を、クーラーの効いた待合室で待つ。うんうん、天国。
 改札開始は出発時間ギリギリ。開札後、ケーブルカーに乗り込んだらすぐに出発。あいら以外の乗客は、5名のお遍路さん。
 約4分で八栗山上駅に到着。八栗ケーブルこと、四国ケーブルを制覇。
 あくまでも参拝目的のケーブルカーなので、駅周辺は特に眺望がよいわけではなさそう。
 乗客は、八栗寺の参道に向かって足早に歩いて行くのだが、おいらはこの時点で目的を果たしている。後は、次のケーブルカーで下るのみである。

 ケーブルカーを降りたら、元の道を30分トボトボ歩いて行くわけだが、帰り道で一つ気がついたことがある。
 そこそこの高さを登ってきたこの道、なかなか眺めが良い。


八栗ケーブル 前面展望
うどん本陣 山田屋
高松・うどん本陣 山田家

 ところで、八栗ケーブルまでの細い一本道、歩行者は全くいないのだが、車の往来はそこそこある。
 車はどこに向かっているのかというと、途中にある讃岐うどんの名店・うどん本陣 山田家さんのお客さんらしい。
 山田家さんはかつての酒屋の蔵元を利用した風情のある大きなうどん屋さん。建物は香川県の登録有形文化財である。
 残りの四国の鉄道は、琴電のみで時間に余裕もあるので、一杯うどんを頂くことにする。
 入口で受付を済ませると、敷地内の母屋か離れに案内される。おいらが案内されたのは離れで、旧酒蔵を改築した建物だそうな。
 注文したのはぶっかけうどんと本店限定のちらし寿司。
 コシのある讃岐うどんはやはり、濃いめのだしのぶっかけうどんがよく合う。完成度の高い、文句のないうどん。
 ごちそうさまでした!

高松・八栗駅

 讃岐うどんを堪能し、体力を回復したところで、足取り軽く八栗駅へ再出発。ぴったし2時間ぶりの八栗駅に到着。
 やってきた瓦町行きの電車に乗り込む。
 目抜き通りの裏を走るおいら的には、「ザ・私鉄沿線」という沿線風景の中、琴電3路線が集まるのターミナル駅・瓦町へ。
 瓦町駅の中でも、志度線のホームと長尾線・琴平線のホームは少し離れた位置にある。この両ホームが思いのほか遠く、通路の中には動く歩道も置かれているせいか、地方空港の制限区域の雰囲気がする。
 といっても、数分で長尾線のホームへ到着。

(上)高松築港駅
(下)ホームのすぐ真横がお堀!
高松・瓦町駅

 長尾線と琴平線が合流して両線の始発駅・高松築港駅に向かう瓦町駅は、大都市圏の私鉄並みの頻度で電車がやってくる。
 長尾行きの電車を待って、長尾へ出発。
 正直、3日目ということで、疲労もたまり、なんだかウトウトしている内に終点の長尾駅に到着。うーん、なんかね、瓦町駅出た直後の長尾線と琴平線に分岐する部分の配線がなんかかっこよかったね、ってことしか記憶が無いんだよね。うん。
 とりあえず、四国全鉄道路線の制覇も、残りはいよいよ琴平電鉄琴平線のみ。

さぬき・長尾駅

 長尾駅で乗ってきた電車で折り返し。乗り換え時間は僅か2分。すぐに出発。
 30分ちょいで、終点高松築港駅に到着。

高松・高松築港駅

 琴電の起点・高松築港駅は、JRの高松駅の西200メートルほどの位置にあり、互いの駅舎が見えない微妙な位置関係にある。かつての宇高連絡船の発着していた埠頭に近い位置にあるので、高松が四国の玄関口であったころは、連絡船からも乗り換えやすい位置だったのかもしれない。
 高松築港駅の特徴は、高松城の城内といってもよいぐらいの位置に立地していること。ホームのすぐ横はお堀で、石垣はすぐ目の前である。
 ホームの背後の堀を覗き込むと、餌付けされているのか、沢山のまるとまると太った魚が泳いでいる。ちょっと鯉とは違う魚に見えたのだが、設置されていた看板の説明書きによれば、高松城のお堀の水は海水で、海水魚らしい。なんか、ワイルド。
 しばらくすると、高松築港駅で折り返して琴電琴平駅に向かうツートンカラーの電車がやってくる。これに乗り込んでしまえば、あとは、運転手が急にストライキでも思い立たない限りは、ゴールにたどり着けるはずである。
 ツートンカラーの車両の先頭には、イルカらしきキャラクターがデベーンっと描かれている。なんか、微妙にかわいいので気になったのだが、琴電さんのキャラクターで、名前は「ことちゃん」というらしい。
 なんでイルカなのかが、一番気になることなのだが、それはわからず仕舞い。まあ、可愛いんだからしょうがない。
 電車は、定刻通り17時丁度に高松築港駅を発車。この旅、40本目にして最後の列車が動き出した。

琴電琴平駅
琴平・琴電琴平駅

 高松の中心街を出発した電車は、街を抜け住宅街を過ぎると、田園地帯に入っていく。景色を見ていて、ふと思い出したのが、昔、義務教育の日本地理で「降雨量の少ない四国にはため池が多い」という話。気のせいか、池が多いような気がする。(そもそも、ため池が多いという話すら、正確かどうか怪しいが...)
 たくさんいた乗客が減り、また少し増え始めた1時間後、琴電琴平駅に到着する。
 終点の琴電琴平駅は、終点らしい頭端型の行き止まり駅。
 電車を降りて、車止めに向かうと、その先が改札口である。改札で1日乗車券を見せ、無事、四国鉄道完全制覇を達成。
 おめでとう、おいら!

 琴電琴平駅は、金毘羅さんの玄関口。JRにも琴平駅はあるが、金毘羅さんには琴電の駅の方が近くにある。
 金毘羅さんをイメージしたのか、駅舎も瓦屋根の独特の和風デザインになっている。おいらは、社寺仏閣というよりは、竜宮城に見えたのだが、まあ、この世に竜宮城なんてものはないのだから、単なる言いがかりであろう。
 ゆっくり金毘羅さんを参拝したいところだが、本日中に名古屋に帰らねばならず、足早に帰路につく。
 JRの琴平駅までは徒歩、5分程。岡山まで行って、新幹線で名古屋に帰るわけだが、途中の児島までは「バースデイきっぷ」の効力範囲。
 最後の最後まで「バースデイきっぷ」さんに働いてもらって、アンパンマン列車の特急に乗って、本州へ。
 3日間ありがとう、四国。
 そして、定時運行をしていただいた、各鉄道事業者のみなさんにも感謝。

四国全鉄道 完全制覇まとめ
#乗車下車乗車路線
2016/7/16
9:59甲浦11:47奈半利(高知東部交通)(バス)
2016/7/17
伊予市郡中港(徒歩)
松山市松山市駅前(徒歩)
松山駅前松山(徒歩)
高知高知駅前(徒歩)
2016/7/18
伊野(とさでん交通)伊野(JR四国)(徒歩)
志度琴電志度(徒歩)
八栗八栗登山口(徒歩)
八栗登山口八栗(徒歩)
実施日:2016年7月16日 - 18日 (土・休日ダイヤ)
四国鉄道事業者 総延長:1102.5km
総乗車距離:1459.7km
総乗車本数:40本 + 高知東部交通(バス 甲浦→奈半利)
所要時間:30時間39分
運賃:バーステイきっぷ 10,280円 + 阿佐海岸鉄道 270円 + 高知東部交通 2,340円 + 伊予鉄道 電車・バス1日フリー乗車券 1,500円 + とさでん交通 860円 + 八栗ケーブル 930円 + 琴電 1日フリーきっぷ 1,230円 合計 17,410円

 というわけで、大きなトラブルなく四国鉄道完全制覇の旅は終了。
 3日間で完全制覇と言うと、以前、スルッとKANSAI で 関西私鉄の制覇をやったのだが、それと比べると同じ3日間乗りっぱなしでも随分違う。
 総乗車距離は、四国1500キロ弱に対して、関西私鉄1700キロ弱と大差ないが、乗車本数と乗車時間は、四国40本、30時間半、関西私鉄160本、66時間半とかなり差がある。関西の時は、それこそ寝る間を惜しんで分単位で電車を乗り換え続けたのだが、今回は乗り換えは基本一時間に1本か2本。しかも途中の特急はグリーン車で快適移動で、夜もしっかり睡眠時間を確保という殿様旅行。
 その分達成感は欠けたかもしれないが、のんびりと列車の旅を堪能することができた。これも、また、良しですな。
 ところで、実は次の鉄道完全制覇の旅は、「九州私鉄3日間完全制覇」と決めていて、なんとなく下調べをしていたのだが、先の熊本地震で、南阿蘇鉄道が不通となってしまい、計画が中断してしまった。
 ここは、気長に南阿蘇鉄道の復旧を待つとして、鉄道再開の暁には、その記念に乗車に行きたいと思っております。

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