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2016/02/13

東急・西武全線274.1km 1日制覇(#1 東急編)

  かつて、近鉄、東武、名鉄と営業路線が長い私鉄ベスト3の各路線をそれぞれ1日で全線制覇してきた。
 では、4位以下はというと、4位は東京メトロでこれは、「東京フリーきっぷ1日制覇」のときに全線制覇している。
 じゃあ、次の5位は西武鉄道。こいつを制覇してやろうかとは考えていたのだが、5位とは言え、総営業距離は200キロに満たないので、半日ちょっとで乗車できる距離であえて挑戦ほどでもない。一日乗車券があれば、乗ってもいいかと考えたが販売していないので、特に気に留めていなかった。
 だが、東急に「東急西武線まるごときっぷ」なる切符が販売されていることに気がついた。この切符は、東急の各駅から渋谷駅の往復と、渋谷から小竹向原間の東京メトロ副都心線と西武全線の乗り放題切符がセットになっている。ようするに、やや割高な西武一日乗車券でもあるということである。
 フリー切符があるなら、挑戦しない手はないということで、普通に一日乗車券が販売されている東急と合わせて全線一日制覇を試みることにした。
 ちなみに私鉄の営業距離ランキングだが、6位以下は南海、阪急、小田急、西鉄、京成と続く。

夜明け前の大井町駅
品川区・大井町駅

 別にこんな早朝から開始しなくても普通に一日で回りきれる距離なのだが、いつもの癖(?)で、日が昇らないうちから、東急の全線制覇スタート。
 東急全線の1日乗車券”東急ワンデーオープンチケット”は660円で自販機で購入することができる。当然、裏が黒い磁気乗車券なのだが、ICカードの普及の著しい昨今、磁気乗車券ってのはすごく肩身が狭い。IC専用の自動改札機が増え、通ることのできる改札が減ったのはもちろんだが、その改札を避けて磁気カードが使える改札に入ろうとすると、「なんで、あっちの改札が空いてるのに、わざわざ私と同じ改札を使おうとするのよ!」という、おばさま、並びのギャルどもの凍てついた視線を今日これから幾度と無く浴びることになる。
 身の引き締まる思いで、磁気カードを手にし、まずは最初の改札・東急大井町線の改札を通過する。

 早朝とはいえ始発から1時間ほど過ぎ、少なくはない乗客が電車の中で発車を待っていて、それなりに朝の雰囲気がしてきている。
 手始めに乗るのは大井町線。大井町ってのは、来たこともない場所なので風景もよくわからないのだが、日の出を待って景色を確かめるわけにはいかないので、さっそく出発。

 大井町から出発して15分ほどで二子玉川に到着する。ここから大井町線は専用の複線(田園都市線と合わせて複々線)を通って溝の口駅まで進む。
 二子玉川と溝の口の間にある二子新地、高津駅には大井町線からやってくる電車は原則止まらないらしく、駅に着くたびに「この電車は、二子新地、高津駅にはとまりません」というアナウンスが流れる。
 「”各停”だから全てにとまると思ったら、人生それほど甘くはないぞ」という東急さんからのありがたい教訓だと思って、何度も流れるアナウンスをありがたく拝聴することとする。

川崎・溝の口駅

 溝の口に着いたら、同じホームで田園都市線に乗り換える。この同じホームで乗り換えることのできる”方向別ホーム”というのはありがたい。東急さんは、この辺徹底してお金をかけているみたいで、なかなか良心的な鉄道会社である。
 ところで、次はこどもの国線が分岐する長津田駅に向かうのだが、全く下調べをせずに来てしまったので、どの種別の電車が長津田駅に停車するのかさっぱりわからない。駅の案内板で、急行も長津田駅に停車することを確認して、やってきた次の急行電車に乗車する。
 もうひと押しで太陽が顔を出しそうな空になってきた。

長津田駅のこどもの国線のホーム
横浜・長津田駅

 すっかり日が昇ったところで、長津田駅に到着。ここから、こどもの国線に乗り換える。
 駅の乗り換えの案内表示に従って、こどもの国線のホームに向かおうとすると、改札口に出てしまった。
 「ふむふむ、こどもの国線は田園都市線から分岐した短い盲腸線だから、名鉄の築港線や東武の大師線みたいに、末端側の駅にしか改札のないあのタイプだな」と、納得し改札を潜るのだが、そこはどう見ても駅の改札外構内。
 「なるほど。京成の金町線みたいに、改札が完全に分かれてるタイプだな。別の場所に、こどもの国線の改札があるわけやね。なるほど、なるほど...」と、さらに案内に従い、階段を下りていくと、改札外の道路に出てしまった。
 「むむ??? あれか、近鉄の王子駅と新王子駅みたいに、駅自体が離れた場所にあるタイプか??」と、周囲を見渡すが、それらしきものが見つからない。
 で、振り返ると、なにやら改札もなくホームに繋がっている業務用通路のような怪しげな入り口が開かれている。
 いざという時のために、「いや、うっかり間違って立ち入り禁止区域に入っちゃたんですよ」という体を装い、さりげなく、ホームに進入してみると、どうやらそこがこどもの国線用の「7番ホーム」らしい。
 結論としては、「こどもの国線は改札の外にあり、道路に向かって無用心に開放されている」ということであった。
 簡易改札すらないので、並みのローカル線よりも殺風景な景色で、駅名看板も他の東急とは違ったデザインの駅名標が掲げられていた。施設保有者(横浜高速鉄道)と運行者(東急)が違うという鉄道は結構多いのだが、この場合、普通は運行者の駅名標が掲げられる。ところが、ここは珍しく「横浜高速鉄道」のロゴが入った駅名標が設置されており、結果として他の東急の路線とは違うデザインになっているようだ。

 しばらくして、電車が2両編成の電車がホームにやってくる。改札がなかったので、車内にワンマン運転用の料金収受機があるのかと思ったらそうでもない。恐らく、下車時に切符を確認すると思われ、とりあえず切符がなくても一文無しでも電車に乗ることはできるらしい。
 長津田駅を出発すると、民家の合間の狭い空間に敷かれたレールの上を、ゆっくりと走行する。なんとなく、広々とした車窓を想像していたので、少し意外である。
 まあ、わずか3.4キロの路線なので、あっという間に終点・こどもの国駅に到着する。
 「こどもの国」に、おっさんは用はないので、乗ってきた電車で折り返して長津田に戻る。

横浜・長津田駅

 長津田駅で、田園都市線のホームに戻ると、すぐに中央林間行きの急行がやってきた。
 あわたた飛び乗って、終点・中央林間駅へ向かう。で、10分ほどで到着。しかし、「中央林間」って、なんか、「幾何学的に整然と木が立ち並ぶ空間の中心原点座標」を想像する駅名だが、実際のところ、ホームから見る限りは、大き目の新興住宅地の駅前ですな。


世田谷区・三軒茶屋駅

 中央林間から急行で渋谷方面に折り返し、30分で三軒茶屋駅に到着。ここで、世田谷線に乗り換える。
 と、簡単に言うが、世田谷線へは改札外の乗り換えで、結構遠い。しかも、案内が途中で途切れがちで場所がよくわからない。若干、迷いながら世田谷線のホームに到着すると、そこで待ってたのは小さな路面電車型の車両。
 運転手の座席の脇に料金収受機が置いてあるワンマンバスのような車内で、いかにも「路面電車」の体なのだが、道路の上は走らず、ずーっそ専用軌道の上を走っていく。
 ただし、世田谷線は途中で環七通りという大きな道路で、信号待ちをする。普通、電車が道路を渡るときは踏切が設置され、電車を優先的に走らせるのだが、ここでは、車が優先で、道路の信号に従って世田谷線は環七通りを横断していく。この時だけは、立派な路面電車となる。
 わずか5キロの道のりを15分かけて、のんびりと走行し、終点・下高井戸に到着。すぐさま同じ電車で三軒茶屋に折り返し。
 都内では珍しいなかなか風情のある車窓を堪能した。

渋谷区・渋谷駅

 三軒茶屋から二駅で田園都市線の終点・渋谷に到着して、田園都市線が終了。電車はそのまま東京メトロ・半蔵門線に直通するが、おいらは東急のメイン路線・東横線に乗り換える。
 そして、特急で30分ほどで横浜に到着。みなとみらい方面に直通する電車を途中で見捨てて、東横線が終了。
 せっかく横浜まで来たにもかかわらず、地下ホームから地上に上がることなく、折り返しの各駅停車に乗車する。
 目的地は目黒線に乗り換えることができる日吉駅なのだが、どうやら後から出発する特急電車の方が先に到着するらしい。下調べをしてこなかったので、どの電車が早いかといった見極めが難しい。東急さんはわりと親切にアナウンスとかしてくれているのだけど、いかんせん東急に不慣れなもんで、よく把握できないんだよね。

横浜・日吉駅

 日吉駅で反対側のホームに止まっている目黒線に乗り換え、東京に戻っていく。
 急行でおよそ20分、終点の目黒に到着して、目黒線も終了。
 まずは、山手線で五反田に移動して、五反田から池上線に乗り換える。
 山手線の五反田駅には、東急との連絡改札があり、そこを通り抜けて右手に進むと行き止まり式の池上線ホームがある。
 三両編成分の短いホームのせいなのか、結構高い位置にあるにもかかわらず周りのビルに埋もれているような、こじんまりとした印象を受ける。
 こじんまりとしたホームからひっそりと出発して、蒲田へ向かう。

大田区・蒲田駅

 20分あまりで終点蒲田駅に到着し、池上線終了。残りは、同じく蒲田駅から延びる多摩川線のみ。
 蒲田駅もまた、行き止まり式の短いホームなのだが、線路が多摩川線と合わせて4つもあり、それぞれ両側にホームがあるので、なかなか壮大な駅に見える。
 いそいそと多摩川線のホームに移動し、やはり3両編成の電車に乗り込む。池上線と多摩川線は車両も沿線雰囲気も似ていて、蒲田駅でスイッチバックする一つの路線のように見える。
 蒲田を出ると、その名の通り、多摩川を左手に見ながら終点多摩川駅へと向かう。
 わずか5キロの路線なので、10分強であっという間に終点に到着。これにて、東急全線の制覇は完了。5時間、14本(+JR山手線)で全ての路線に乗ることができた。

東急西武線まるごときっぷ を購入
大田区・多摩川駅

 さて、多摩川駅でやらねばならぬ一仕事がある。東急の後は、西武全線制覇に取り掛かるわけだが、西武全線制覇の必須アイテム”東急西武線まるごときっぷ”をここで入手するのである。といっても、自販機で普通に売っているのであっさり購入完了。お値段は1,700円。長い西武の距離を考えれば、それなりにお得かな。
 で、この切符で改札をくぐりなおして、いざ西武線へ。

 地下の多摩川線から地上の東横線のホームに移り、東京メトロ副都心線、東武東上線を経由して和光市に向かう急行列車に乗車する。  途中の小竹向原駅で降りて、そこから伸びる西武有楽町線から西武全線制覇へ進撃開始とする。

 ということで、6時間ほどで東急全線の制覇が完了。全く、ノープランで行き当たりばったりで電車を乗り継いだのだが、東急のダイヤはよくできていて、ほとんど待ち時間なくスムーズに乗り継ぐことができた。
 東急の鉄道設備やダイヤの完成度は高く、路線間や同一路線の緩急接続が同一ホームでできるようになっている。また、列車の行き先も他の路線に乗り入れることはなくシンプルで、どの種別にのれば最速で目的地に到達できるのか随時わかり易くアナウンスされている。
 さらに、駅構内の看板のデザインもわかり易く統一されていて、ほとんどの路線が今回初めて乗車したにもかかわらず、全く迷うことはなかった。
 渋谷の大地主としてブランドイメージを高めている東急だが、本業の鉄道も都市型鉄道として洗練されているのには驚いた。すごいよ東急。
 でもね、尾張の民としては、金に物を言わせてすかしまくってる東急さんよりもね、よそ者にとことん冷たい不親切極まりない、我らが孤高の名鉄さんの方がね、なんか人間味を感じるんだよね...。
 という贅沢な愚痴をこぼしつつ、西武全線の制覇に取り掛かる。

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