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2016/08/25

バースデイきっぷ 四国全鉄道 完全制覇(#4 高知編)

 JR四国の全路線が特急のグリーン車を含めて3日間乗り放題になる「バースデイきっぷ」を使って、3日間で四国の全鉄道事業者の全路線を乗り潰す旅。
 四国を反時計回りに回って、2日目の夕方、久しぶりに高知県に再突入。

四国最西端・最南端の駅 宿毛駅
四万十・窪川駅

 窪川駅は宿毛へ向かう、土佐くろしお鉄道の中村線と高知を経由して多度津に向かうJR四国の土讃線との接続駅。
 中村線を片付けるために、特急で往復することにする。
 まずは、南風13号で宿毛駅へ。久しぶりにグリーン車に乗車できる。
 窪川駅から一旦、若井駅側に戻り、川奥信号場反対方向の特急の行き違いを行う。この信号所が予土線との分岐点になっていて、線路が左右にわかれている。路線図のイメージから右側から特急が来るのかとおもいきや、左側から宿毛発の特急がやってきた。地図で見るとこの信号所はループ線になっていて、宿毛方面はトンネルの中で大きく弧を描きながら高度を確保したうえで、宿毛方面へ向かうようである。
 すれ違う特急を見送った後、ループ線に向けて出発。
 この後は、延々と山の中をすっ飛ばしていくのだが、30分ほど建った頃黒磯町付近で土佐湾の海が見えてくる。
 しばらくして中村線の終点・中村駅に到着し、中村線を制覇。ここから先は宿毛線となる。
 線が変わったと言っても単に名前が変わっただけで、完全に続きの線路で、中村から、また山奥に向かい、20分ほどで終点・宿毛駅に到着する。

宿毛・宿毛駅

 終点の宿毛に到着。宿毛線並びに土佐くろしお鉄道は、これにて完。
 宿毛駅は、線路が2つある頭端型の高架駅。周りに高い建物が無いため、やたら見晴らしが良い。
 ホームには、「津波浸水予測では このホームの高さから最大で0.6m 浸水します」という案内が貼ってあったのだが、予想ではこの当たりでは、最大9.3メートルもの津波が発生するらしい。3階相当の高さのあるホームでも60cm浸水するというのだから、想像するだけで恐ろしい。

 さて、宿毛からは12分後に発車する折り返しの特急あしずり12号で、宿毛線・中村線を逆走した上、土讃線を経由して高知に向かうことにする。

宿毛・宿毛駅

 降りた電車に再度乗車し、高知へ出発。もちろんグリーン車で、座席も行きのすぐ前列の座席。
 グリーン車の車内を見渡してみると、どうやらおいら以外の乗客も大半は、フリーきっぷを使用してグリーン車の指定券をゲットしている模様。おいらが使用しているきっぷは、「バースデーきっぷ」という誕生月の人しか買うことの出来ないきっぷだが、JR四国には「四国フリーきっぷ」という、値段以外全く同じ効力のきっぷがある。
 グリーン車に乗っているのは、そのどちらかを利用した乗客ばかりで、要するに、四国ではグリーン車に貧乏人が集まるという奇怪な現象が発生している模様。


(左上)とさでんの車内
(右上)かつては名鉄の車両だった模様
(下)名鉄カラーを守って現役で活躍中
高知・高知駅

 2時間で終点高知駅へ到着。
 夜も更けてきたが、終電まで少し時間があるので、もう1路線片付けておく。
 高知市内にも「とさでん交通」という路面電車が走っている。かつては、土佐電気鉄道という民間会社が運営していたが、現在は地方自治体が出資する実質的な公営交通として運営されている。
 とさでん交通は高知市内の「はりまや橋交差点」を中心に東西方向と南北方向に十字に線路が伸びていて、その北側の終点が高知駅前となっている。
 この時間が高知駅前から南に伸びる桟橋線を往復することができる最終電車となる。よって、高知駅に着くやいなや、慌てて駅前の路面電車の乗り場に向かう。

高知・高知駅前駅

 暗くてはっきりとは見えないが、比較的新しそうな停留所で路面電車の到着を待つ。
 やってきた電車は、一度乗客をすべて降ろしてから反対方向の桟橋五丁目行きとなる。
「すごーい、路面電車なんて初めて~、大阪にはこんなんないわ~」と、大阪が誇るちんちん電車・阪堺電車をディスりまくる関西人の集団と共に電車に乗車。座席があらかた埋まるほどの乗客で中々の賑わい。

 桟橋線は全長わずかに3.2キロ。乗車時間にして15分。
 市内の中心部はりまや橋の前後で次々に乗客が降りて行き、ついに終点の一つ手前の桟橋車庫前で、車内貸し切りとなる。

高知・桟橋五丁目駅

 なんとも薄暗い桟橋五丁目駅に(やたらテンションの高い関西人の集団が降りるのにものすごく時間がかかったため)定刻から数分遅れで到着。
 4分後には高知駅行きとして、すぐに折り返していく。この駅の最終電車である。こんな薄暗い駅に取り残されるわけにはいかないので、もちろん乗車させてもらう。
 帰りの電車は貸し切り。誰に気兼ねすることのなく、どうどうと車内を物色することができる。
 気になったのが、とさでん交通の企業ポスター。
 「私たちは、接遇・サービスと、安全・安心、コンプライアンスの西日本市を目指しています。」
 うんうん、素晴らしい。ん? あれ? ”西”日本一?
 なんでまた、日本一でなく”西”日本一なの? 東には勝てないの?? うーむ、奥ゆかしいのか、目標が小さいのか、現実主義者なのか???? まあ。何にしろ、素晴らしいことには違いないんですが...。う~ん。
 そして、もう一つ、「私の履歴書」という某経済紙の最終面をインスパイヤさせる説明書きが車内に貼られていることを発見した。
 この車両の出自が書かれているらしい。読んで驚いたのだが、この車両、我らが名鉄の車両だったらしい。
 路面電車なので、おそらく岐阜市内線で走っていたのだろう。
 乗るとき、暗くてよくわからなかったのだが、車体の色は今でも名鉄カラーなのだそうな。
 終点、高知駅前に戻ってきてから、改めて車体をよく見たのだが、間違いなく、見慣れた名鉄色。こんなところで、名鉄でも失われつつある名鉄色の電車に乗れるなんて、誰も見ていなかったら頬ずりしていたに違いない。

 さて、時刻は22時を回ったところで、2日目も無事終了。
 明日は、いよいよい残った四国の全鉄道路線を制覇する。

(左上)復元されたはりまや橋
(右上)明治期のはりまや橋らしい
(下)とさでん交通の路面電車が平面交差する はりまや橋交差点 高知駅
高知・はりまや橋

 翌早朝、四国鉄道制覇の旅を再開させる前に、有名な「はりまや橋」の見学に出かける。
 なんでも江戸時代に堀に架けられた橋が有名で、なんだかそれを復元した橋があるのだとか。今一つ、なぜ有名なのかわからない上に、「厳密でもない複製を見て、何が楽しいんだろうか?」という興味で出かけたのだが、実物を見てもやはりよく分からない。神社なんかによくある朱色に塗られたインチキ木製風の橋がいるだけ。うーむ。
 現在のはりまや橋の反対側には、明治期のはりまや橋が移築(復元なのか?? よくわからん)されていて、これは、これでなんとなく歴史的な風情があって面白かった。こっちの方をメインにした方が良いのではなかろうか??

高知・高知駅

 気を取り直して、電車の旅再開。
 次に制覇するのは、とさでん交通の後免線と伊野線。はりまや橋を中心に東西に伸びる路線である。はりまや橋から乗車して往復すれば制覇できるのだが、時間短縮のため、JRと土佐くろしお鉄道で、後免線の東の端・後免町駅に移動する。
 はりまや橋から徒歩で高知駅へ移動。
 昨日は暗くて気が付かなかったのだが、高知駅のホームは構内全体を高く大きなかまぼこ状の屋根で覆われている。屋根は木製になっていて壮大で美しい。
 6時ちょうど発の南風2号で後免駅へ、そこで土佐くろしお鉄道に乗り換えて、ひと駅先の後免町駅へ。
 南風の乗車時間はわずかに7分だが、ここでもしっかりグリーン車に陣取って移動する。ちなみに、車両は外装にアンパンマンが描かれたアンパンマン列車。車内アナウンスは、当然あのアンパンマンの声が流れる。

南国・後免駅

 7分間のグリーン車の旅を終えて、後免駅へ。
 0番ホームから発車する2両編成の列車に乗り換え。この列車の乗車時間も僅かに2分間。後免町駅で、とさでん交通の後免町駅へ移動する。

南国・後免町駅

 すぐ近くなのに微妙に分かりにくい位置関係にある土佐くろしお鉄道と、とさでん交通後免線の後免町駅の乗り換えをなんとかこなし、電車の到着を待つ。
 やってきたのは、今時らしい低床式の路面電車。始発駅で乗車したのはおいらともう一人のみだったが、都心に進むに連れだんだん乗客が増えていく。地域の足としてなかなかの活躍をみせている模様。
 路面電車とは言え、専用の軌道を確保しているところが多く、乗用車に邪魔されることなく、快調にはりまや橋に向かって西進していく。
 出発してから30分ほどで、はりまや橋交差点に到着。ここで、昨日の夜に乗車した桟橋線と平面直行する。
 ここから先は、伊野線となる。

高知・鏡川橋駅

 後免町駅発の電車は一部を除いて鏡川橋止まりとなっており、これより先、伊野方面に進むには、後続の電車に乗り換える必要がある。
 運賃は乗り換え前の電車で支払うのだが、その際、精算済みの証として謎の切り取り線付きの紙を受け取る。なんか、長い紙の一部で切り離された緑色の紙なのだが、日付以外、記載内容がさっぱりわからない。まあ、乗せてもらえれば、なんでもよいんだけど...。
 乗り換え時間は12分。駅と言っても路面電車の停留所なので、道路の真ん中の細い安全地帯でしかない。あまり多くはない自動車の行き来をただ眺め、鏡川橋止まりの電車を2本、見送ってようやく伊野行きの電車がやってきた。
 冷房の効いた車内に戻り、ほっと一息ついて、伊野線の残り路線の制覇を再開する。
 たが、前方の車窓を見て驚いた。鏡川橋から先、伊野線は単線区間になるのだが、変わったのはそれだけでは無かった。とさでん交通のクライマックスは、ここから先の24分間だったのだ。


とさでん交通 後免線・伊野線
(左)狭い路地に線路が敷かれた伊野線 道路は一方通行ではない!
(右上)乗り継ぎ証明書(だと思う)
(右下)伊野線で交換されるタブレット とさでん交通 伊野駅
高知・鏡川橋駅

 鏡川橋を出発した電車は、左に曲がって鏡川橋を通過する。さらに右折した先の景色に愕然とする。
 驚くほど道が細いのだ。道が細いから、通行する乗用車がどんどん線路に侵入してくる。だが、車も慣れたもので、電車が近づけば、ちゃんと線路から出てくれる。
 しかも、道はどんどん細くなり、ついには車が辛うじて行き違うことが出来るほどの幅の道路となる。2車線分しかない道路の内、北側の右半分は路面電車の線路が占拠しており、普通のアスファルト部分は1車線分しかない。しかしながら、道路は一方通行ではなく両方向通行可となっている。
 必然的に、東行きの車両は、路面電車の線路の上を走行することになり、電車から見ていると、猛スピードで正面から車両が突っ込んでくるように見える。「危ない!」と思うと、車両は器用にアスファルト側に避けるのだが、そっちには当然逆方向に進む自動車がいる。
 いや、もう、映画でしか見たことのないようなカーチェイスが日常の景色として、誰も驚くことなく、クラクションの一つも鳴らさずに行われているのだ。
 実にスリル満点。おいらも、日本中数多くの鉄道に乗ってきたが、「前面車窓スリル部門」において、日本一の称号を授けたい。
 とさでんさん、「マナー西日本一」なんて小さなことを言っていましたが、あなた達の運転技術は、間違いなく日本一です。

 で、驚きと興奮の車窓を堪能している最中、電車は朝倉駅で、反対方向の電車と行き違いを行う。
 ここで、運転手同士でタブレットを交換する光景を目にすることができる。伊野線の朝倉より先の区間は、普通の電車にあるような信号がなく、物理的なタブレットを交換することで、電車が衝突しないように制御を行っているのだ。(線路内のある区間はタブレットを持っていないと侵入できないというルールを作ることで、単線の線路内に電車が一編成しか無いことを保証する)
 今となっては珍しい光景だが、昔はこうやって鉄道を運行していたそうである。

 朝倉駅を過ぎると、再び道路脇の専用軌道を走るようになり、落ち着いて乗車できるようになる。
 乗客はすっかりおいらだけになり、ひっそりとした路地裏といった風情の漂う終点・伊野駅に到着。
 終点ということなのか、ちょっとしたホームのある屋根のある電停になっている。
 これにて、とさでん交通、さらに高知県内の全鉄道路線の制覇を完了。
 残すは、JR土讃線(多度津-阿波池田間)と本四備讃線(瀬戸大橋線)、琴平電鉄、八栗ケーブルのみ。

瀬戸大橋を渡って本州へ
いの・伊野駅

 とさでん交通の伊野駅からJRの伊野駅までは徒歩数分。一応、とさでんの伊野駅の一駅手前に伊野駅前という停留所もあるのだが、その間200メートルしかなく、どちらから歩いてもさほど変わらない。
 まだ朝だというのに、もう暑い。コンビニでアイス・カフェラテを購入し、水分補給する。というか、伊野駅での乗り換え時間は43分間、時間を持て余し気味である...。
 伊野からは、特急あしずり2号に乗って高知へ戻る。

高知・高知駅

 3時間ぶりの高知駅。高知からは、そして本日2度目の特急南風で岡山方面へ。南風の登場は、実にこの旅4度目、3日間皆勤賞。できることならレイの一つも掛けてやりたいものである。
 さて、7分間の乗り換え時間で、同じホームの反対側に停車する南風8号岡山行きのグリーン車に乗りかえる。ここもやはりフリーきっぷ勢の巣窟。どこか、似た者の気配を感じつつ、土讃線の制覇へ出発。

 高知を出発し、県境を超え徳島に入る。高知から1時間ほどで、徳島線との乗換駅・阿波池田駅に到着。ここまでは、初日と今朝に制覇しているので、ここから先が未踏破路線。
 スイッチバック駅の坪尻駅を通過すると徳島県から香川県の県境を越える。この時点で、徳島県の全鉄道路線を制覇完了。残すは、いよいよ香川県のみ。

 阿波池田から30分。多度津駅で予讃線に乗り入れ、土讃線が終了。続いての、現存12天守の一つ、丸亀城の見える丸亀駅が四国最後の停車駅で、列車は本州に向かって出発することになる。
 丸亀駅の次の宇多津駅から、予讃線を離れ、JR四国最後の路線となる瀬戸大橋線こと本四備讃線に入っていく。
 列車は左に旋回しながら巨大な瀬戸大橋に飲み込まれていくわけだが、あいにく右側の座席のためその姿を見ることはできない。
 いつの間にか列車は橋の上を走り、車窓は海上となる。橋の構造物で少々見えにくいが、瀬戸内海の青い海と島々の姿が見える。瀬戸大橋の区間の走行時間は10分ほど、最後はトンネルに突入して、本州上陸となる。

倉敷・児島駅

 本州最初の駅は、ジーンズの街・児島駅。ここまでが、JR四国の路線である。よって、おいらが3日間お世話になっている「バースデーきっぷ」の効力もここまで。
 後ろ髪を惹かれる思いで、快適なグリーン車のシートとお別れし、児島駅のホームに立つ。これにて、JR四国の全路線855.2キロを制覇したことになる。

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