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2016/03/29

東京昇ったり下ったり

 東京界隈の高いところに登ったり、低いところに降りてみたって話。

(左) 箱根山入り口の看板
(右上) 箱根山らしきものが姿を見せる
(右下) 名峰・箱根山の全容 箱根山山頂からの景色 箱根山登頂記念のクリアフォルダーと登頂証明書 (上) 愛宕山を見上げる
(下) 愛宕山から見下ろす
新宿区・戸山公園

 山手線内で最も標高が高い地面はどこかというと、新宿にある”箱根山”という謎の山らしい。
 もちろん、関東平野のど真ん中に”山”なんてあるわけはなく、戸山公園という公園の中にある人口の山である。
 人口の山といってもその歴史は古く、元々は江戸時代に尾張藩の藩主が作った庭園の内に造られた山である。戸山山荘と呼ばれた回遊式庭園はかなり大規模なもので、池を掘った際に出た残土で、山を築いたそうである。

 地下鉄東西線の早稲田駅から徒歩数分で戸山公園に到着。周囲は山がちな地形で、公園の中にも外にも標高が高そうな場所がいくつか見える。あたりを見渡して、一番高い場所が箱根山なのだろうと思うが、どうも公園よりもその奥の学校の方が標高が高そうに見える。
 公園の地図を確認してみると、箱根山は公園の入り口から数百メートル離れた場所にあり、どうやらまだ見えていないらしい。
 とぼとぼと公園内を散歩し、公園を横切る小さな道路を横断すると、”箱根山登山口”の看板が見えてくる。確かに目の前に、山というか丘というかなんだか小高い場所がある。思っていたよりは大きいのだが、もちろん山というほどのものではない。
 日没も近いこの時間に登山など開始して、遭難したらどうしようという一抹の不安もあったが、意を決して登頂開始。
 で、あっという間に山頂に到着。山頂で小型犬が散歩していたので、まあ、そのくらいの高さの丘です。
 ただ、意外と見晴らしはよいです。新宿の副都心を見下ろすとまではいかないが、斜め上から見るぐらいの景色にはなる。
 もしかしたら、夜景なんか結構きれいなんじゃないかと思う。(後で写真を見て気がついたが、夏場は木々が生い茂るので、何も見えないかもしれんな...)

 で、山頂をうろうろしていたら、「登頂証明書」なるものを発行してくれると書いてある。もちろん、登頂は自己申告である。
 発行してくれる場所は戸山公園のサービスセンター。
 実は、戸山公園は大きく2カ所に分かれていて、サービスセンターは明治通りを挟んだもう一方の地区にある。箱根山から徒歩10分近く、箱根山登頂よりも遥かに険しい道のりを経て、サービスセンターに到着する。
 サービスセンターにて、幾多の困難を乗り越え箱根山登頂に成功したことを報告すると、何の疑いもなく証明書を発行してくれた。さすがに、この仕事を長くやっていると、箱根山を制した者と制していないものの違いは一目でわかるのであろう。
 ペラペラのちゃちな紙切れがもらえると期待していたのだが、頂いたものは期待を大きく裏切る立派な証明書とそれを補完する特性クリアファイル。なんだか恐縮しつつ登頂証明書を頂戴する。これで登頂のため払った数多の犠牲も報われるというものである。

港区・愛宕山

 ちなみに、人口の山を除いて山手線内で最も標高の高い場所はどこかというと、東京虎の門の近くにある愛宕山。山頂には、愛宕神社という神社とNHKの放送博物館がある。愛宕山はNHK発祥の地で、NHKラジオの本放送はここから送信されていたそうである。
 愛宕山に上るには、北側からの車道か南側の階段(エレベーターもある)を上る必要がある。
 箱根山と違い周囲の標高が低いので、こちらは完全に山。周囲のビルの10階弱ぐらいの高さが愛宕山の山頂となり、登るのにそれなりに体力を使う。
 さすがに神社の境内の中はおごそかの雰囲気が残り、都心とは思えない静けさに包まれている。こちらは、まぎれもなく”山”である。

東京タワーの階段 エレベーターの裏側にある 階段を上るに連れ、少しづつ視界が開けていく (左) 階段は、延々とこの景色
(右) ノッポン公認 昇り階段 認定証
東京シティービュー・スカイデッキからの夜景 (上) 六本木ヒルズ・森タワーの屋上に登ることができる
(下) 屋内展望室からの眺めも素晴らしい
港区・東京タワー

 東京の高い場所と言えば、スカイツリー。でも、昔は東京タワーだった。
 都心の空に伸びる姿こそスカイツリ-に引けをとらないけど、今となっては高さ的にはちょっと厳しい。大展望台の高さは地上150メートル、特別展望台の高さでも250メートルと、驚くほどの高さではなくなってしまっている。
 だが、東京タワーには、他にはない魅力がある。
 大展望台まで階段で登ることができるのだ。それならばと、東京タワーへ。

 階段も普通のエレベーターも入場券は同じなので、入場券を購入したらビルの屋上に向かう。
 屋上の裏手に階段の入り口があり、そこでお姉さんに入場券を見せると、いきなり「ノッポン公認 昇り階段認定書」を渡される。
「まだ、登りきってないのに認定証もらっていいんですか?」と、お姉さんに聞いてみると
「階段は一方通行になってまして引き返せなので昇りきるしかないんです」とのお答え。なるほど、正論。
 よし、行くしか無いな、と、気合を入れて昇り始めたら、意外と楽勝だった。
 スタート地点が5階建の東京タワーの下のビルの屋上なので、かなり下駄を履いた状態からスタート。階段の数は600段だそうだが、かなりゆっくり歩いても15分あれば大展望台に到着する。
 階段は屋外なので、エレベーターなんかより眺めはよい。最初は周りのビルに隠れていたレインボーブリッジが、段々と顔を出し、最後は東京湾が見えるようになる。
 本当に大したことはない運動なので、東京タワーの展望台に行くことがあったら、ぜひ階段をチョイスしてもらいたい。おすすめです。

港区・六本木ヒルズ

 さて、では、純粋に高いところからの眺めが東京一の場所はどこかと言うと、おいらは六本木ヒルズに聳える森タワーの最上部の展望台・東京シティービューだと思う。
 地上238メートル、海抜270メートルの高さもさることながら、ここの魅力は立地。なんたって六本木は、東京のど真ん中。夜に登れば、360度全ての方角がきらびやかに輝く東京を真下に見下ろすことができる。その眩しさは圧巻。
 東京シティービューは森ビルの52階の外周なのだが、さらに一段高いスカイデッキという場所がある。スカイデッキは、要するに屋上で、ヘリポートの周りに作られたデッキを歩くことができるのだ。高さ的には、屋内展望フロアとさして変わりはないが、「外」ってのは迫力が違う。街の光に吸い込まれそうになる。
 景色の良さでは、今回紹介する中で、一番のオススメ。

目黒天空庭園最上部からの眺め (上) 螺旋上に公園が作られている
(下) 故に、公園内はずーと坂道
目黒区・目黒天空庭園

 さらに、もう一つ都内の高い場所へ。高いところから見る眺めも良いのだが、それ以上にその場所自体が美しいのが目黒にある目黒天空庭園である。
 目黒天空庭園とは、首都高速道路の大橋ジャンクションの屋上に造成された屋上庭園。大橋ジャンクションは、地下の中央環状線と高架の3号渋谷線まで、高低差70メートルを繋ぐジャンクション。高低差を繋ぐために、ジャンクションの道路は、螺旋状にグルグルと上昇している。その最上部の屋上が公園になっている。
 そんな構造なので、公園も螺旋状に坂を昇っていく構造になっていて、一周400メートルを周回して最上部にたどり着くと、そこは地上35メートル、隣接するビルの9階の高さになっている。
 ”天空”なんて仰々しい名前が付いているが、その名に偽りなく、公園は天空への道のよう。のんびり散歩していると最後には、下界を見下ろす世界にたどり着く。視界が開けている西側には高いビルがあまりないので、遠くまでよく見える。
 世界的にもこんな交換はなかなか無いのではないかと思うので、もっとメジャーになってもよい東京の名所である。

(上) レインボーブリッジの芝浦ふ頭側アンカレイジ
(下) 東京臨海部の夜景 (上) お台場側からレインボーブリッジを振り返る
(下) お台場に到着 (上) 若洲海浜公園から見た東京ゲートブリッジ
(下) 東京ゲートブリッジ北側から東京を見下ろす (上) 若洲海浜公園側を振り返る 高い!
(下) 羽田が近いので、頻繁に飛行機が発着する
港区・芝浦ふ頭駅

 東京の「高いところ」は、街の中だけではない。東京湾という「海の上」にも高いところがある。
 東京湾の橋といえば、レインボーブリッジと東京ゲートブリッジだが、どちらも歩道があり無料で歩くことができる。

 まずは、レインボーブリッジへ。レインボーブリッジの歩道・プロムナードの芝浦側の入り口は、ゆりかもめの芝浦ふ頭駅から徒歩5分ぐらいの場所にある。駅からすぐ近くなのだが、店も人も全くない場所なので、なんとなく不安になりながら歩くことになる。まあ、巨大なレインボーブリッジは目の前にあるので、迷子になることは無いのだが...
 入り口はアンカレイジ(吊橋のワイヤーを支える重し)にあり、そこからエレベーターで橋桁まで昇っていく。歩道は、北側にも南側にもあるのだが、途中で移動する場所はないのでどちらを歩くか決めなければならない。北側は東京湾臨海部のビル群、南側は品川ややや遠くに羽田空港が見える。今回は、夜ということできらびやかな北側を歩くことにする。
 レインボーブリッジは、上下2層構造で、上層は首都高速、下層は一般道とゆりかもめの線路がある。プロムナードは、下層側に設置されているので、残念ながら上空は橋の構造物に覆われている。この天井があるせいで、眺めが悪いだけでなく、車やゆりかもめの走行音が響いて、かなりうるさい。
 うるさいと言っても、そんなものは慣れるので、すぐに夜景に夢中になる。高層ビル群、その中に聳える東京タワー、夜景が反射する真っ暗な海。荘厳な景色である。
 ところが、まあ、この景色にも飽きるよね。プロムナードの長さは1.7キロ、その前後もあるかないと行けないので、それなりの距離を歩くことになる。

 橋の中心を過ぎ、お台場に近づいてくる。お台場側は、エレベーターはなく地上までプロムナードが続いていて、振り返るとレインボーブリッジの全容が視界に入るようになる。バカでかい構造物を目の当たりにすると、あの中を歩いたということが信じられなくなる。ともかく、デカイ、よくあんなものを作ったものである。
 お台場側の最寄り駅は、お台場海浜公園駅。ゆりかもめで言えば、芝浦ふ頭駅の一駅先の駅である。
 お台場に行くとき、ひと駅手前でゆりかもめを降りて、歩いてレインボーブリッジを渡ってみるのも悪くはない。

江東区・若洲海浜公園

 続いて、東京ゲートブリッジだが、ここは恐ろしくアクセスが悪い。
 東京湾の入り口にある若洲海浜公園に入口があるのだが、ここまでは新木場駅からバスあるいは3キロ程歩く必要がある。
 なんとかたどり着いたら、あとはエレベーターで一気に橋桁まで連れて行ってくれる。
 まあ、この橋もデカイ。海面まで50メートル以上あり、まさに上空を歩くような感覚である。
 レインボーブリッジよりも湾口側にあるので、より東京を広く見渡すことができる。東京という街の巨大さを感じるならば、ベストな展望ポイントである。
 あと、もう一つの魅力は、羽田空港が近いため、橋のすぐ上を飛行機が頻繁に行き来すること。橋を往復すれば、数十という数の飛行機を見送ることになる。
 ただ、一つ、この橋には難点がある。東京ゲートブリッジは、若洲と対岸の中央防波堤内側埋立地を結んでいるのだが、埋立地は現在、鋭意都民のゴミを埋め立て中で、立ち入ることは出来ない。つまり、橋まで来たら戻らないといけないのだ。
 ということで、1キロ少々、トボトボと若洲に歩いて戻ることになる。

(上) 首都圏外郭放水路・庄和排水機場
(左下) サッカー場の真下が調整水槽
(右下) いよいよ、地下神殿の門が開かれる 巨大地下空間に林立する巨大な柱 (左) 柱の巨大さを見よ!
(右上) 出入り口へ続く階段
(右下) 立坑へと開かれた水の取り入れ口
春日部・庄和排水機場(龍Q館)

 さんざん高いところを紹介してきたので最後は低いところへ。
 東京ではないのだが、埼玉の奥地、国道16号線の真下に「地下神殿」とも呼ばれる巨大な地下施設がある。その名は、首都圏外郭放水路。何の設備かというと、豪雨発生時に使用される地下の巨大な河川兼貯水施設なのである。
 その巨大さから度々ドラマやミュージックビデオの撮影などに使用されていて、一度見学したかったのだが、見学が予約制で平日のみということで、なかなか敷居が高い。なんとか、日程を確保して、見学に行ってきた。

 改めて、首都圏外郭放水路とはなんぞやという話だが、関東平野の埼玉北東部利根川と荒川に挟まれた場所は、両河川よりも標高が低く(故に、両河川の流域ではない)、更にはその下流地域よりも低いため、水害が発生しやすい地域となっている。
 この地域を流れる川が溢れそうになった時、流量に余裕のある江戸川へ水を迂回させる水路が首都圏外郭放水路である。
 放水路は地下50メートルに設置されていて、溢れた水を江戸川のすぐ脇の地下に作られた巨大な調整水槽に流し込む。この調整水槽に溜まった水は、航空機用の物を改良したという4つのガスタービンエンジンの力でポンプを回して水を地上まで吸い上げて、江戸川に排出する仕組みとなっている。
 で、今回見学するのは、その調整水槽である。

 春日部市の奥地、旧庄和町の江戸川近くに庄和排水機場がある。巨大なガスタービンエンジンが格納されているため、排水機場の建物そのものもかなり大きい。
 排水機場の一角に広報施設・龍Q館があり、そこが見学会の集合場所。2階の展示室で首都圏外郭放水路の説明を聞いた後、調整水槽に出発する。排水機場の裏手にサッカーグラウンドかあり、調整水槽はその真下にあるらしい。
 サッカーグラウンドの片隅に調整水槽への入り口があり、いよいよ地下神殿への入り口が開かれる。
 調整水槽の高さは18メートル、116段の階段を降りて最下部に向かう。何度か踊り場を過ぎ、調整水槽の上部に潜入すると、59本もの柱巨大な柱に支えられた薄暗い空間が見えてくる。
 何もない空間に、道路の高架を支えるかのような頑丈な柱だけが天井に向かって伸びている。その姿は、異様としか言いようが無く、まさに異文明の古代遺跡を見ているかのような気分になる。知らなきゃ、「古代人は、なんでまたこんなバカでかいものを作ったんだろう?」という疑問が湧くに違いない。
 こんな巨大な空間に水が流れ込んでくる様子はちょっと想像ができないが、まあ、大量の水をさばくことができるんであろうことはわかる。話によれば、調整水槽から水を排出するポンプの能力は1秒間で25メートルプール1杯分らしい。となると、豪雨の時は、プール1杯分の水がたった1秒で流れ込んで、吐き出されることになる。恐ろしい...。
 階段を降りた場所は、調整水槽の端の方で、奥にポンプがあるらしいが、暗くてよく見えない。反対側は水が入ってくる、これまた巨大な口が立坑に向かって開かれている。
 流域の河川から溢れだした水は、地下水路を通って、調整水槽の真横に垂直に掘られた立坑に流れ込み、その立坑から溢れた水が最終的にこの調整水槽に流れこむのだそうだ。

 ちなみにこの施設が使われ始めてから14年で稼働したのは100回ほど。一度使用すると、当然土砂が溜まるので、見学コース上に溜まった土砂は手作業で片付けている。そのため、見学できる場所は調整水槽全体のごくわずか。奥の方に行ってみたい誘惑には駆られるが、施設の巨大さを知るには十分。実に貴重な探検コースである。

 ということで、まあ、お上りさん的に東京見学をしてきたところの数々を紹介しました。
 巨大都市東京だけに、おもしろい場所が数限りなくありますな。

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