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2016/06/15

備中松山城と瀬戸内の旅

 現在日本で、江戸時代からの天守閣が現存している城は、国宝である姫路、松本、彦根、犬山、松江城を筆頭に12城ある。
 その中で、唯一山中に築かれた山城が、岡山県高梁市にある備中松山城である。
 明治維新を迎えた直後、殆どの城は明治政府の命によって取り壊されたのだが、この城は「あまりに山奥にある」という理由で放置され、崩壊寸前まで野ざらしにされていた。そんな、なんとも運がいいというか、悲しいというか、数奇な運命を辿った城を訪問しようと岡山へ向かう。

天下の名城・白鷺城こと姫路城 (上)遠くから見ると、最近塗り直された漆喰で白く見える
(下)屋根が白く見えるのは、瓦の目地も漆喰で盛られているから
姫路・姫路城

 今回のメインイベントは備中松山城の見物なのだが、その前に、通りがかりと言っては失礼だが、天下の名城・白鷺城こと姫路城を見学する。
 姫路城は、2014年に漆喰が塗り直され、創建当時の純白の姿が蘇った。その後、何度か新幹線の窓から白くなった城を見たのだが、入城するのは、塗り直し後初めてである。
 白くなった当時は、ともすればやり過ぎのように見えたが、2年が過ぎて改めて見てみると白い色が落ち着いてきているように見えた。
 それでも、遠くからでも屋根まで白くなっているのがわかり、往時の城の姿をしのばせる。
 近くで見て気がついたのは、屋根までが白くみえる理由。瓦の間の目地が漆喰で白く盛られていてそれが遠くからだと白く見えているらしい。
 現存している大半の城が、石垣と天守閣のみなであるのに対し、姫路城は曲輪などの城郭建築が数多く現存している。今さらここで語るまでもないが、これが、姫路城の最大の特徴である。
 武将の時代、権力の象徴であった”城”がいかなるものだったのか、現在の姫路城からも想像することができる。

姫路名物・アーモンドトースト
姫路・某喫茶店

 全く知らなかったのだが、姫路には”アーモンド・トースト”なる食べ物があって名物らしい。確かに歩いているとどの喫茶店にも"アーモンド・トースト"ののぼりが掲げられている。
 お腹もすいてきたので、駅に向かう途中の喫茶店に寄り道し、アーモンド・トースト付きのモーニングを滑り込みで注文する。
 名前から、ピーナツバターが塗られたトーストみたいなものを想像していたのだが、少しイメージと違ったものが出されてきた。
 トーストにアーモンドを塗るのではなく、アーモンドを塗ってからトーストするらしい。
 味としては確かに、ピーナツバターに近いのだが、もう少し香ばしく、味に深みがある。なんというか、ピーナツバターの高級版とでも言うべきだろうか。なぜ、これが全国区にならないのかと思うぐらい、おいしい。
 ところで、この日訪れた喫茶店。姫路駅前の大手前通り西側のビルの地下にあるのだが、どうしても店の名前がわからない。名前を紹介したいのだが、地図とか調べても探せないんだよね...。どなたか、知っている方がいたら教えて下さい。

(左上)駐車場からシャトルバスでふいご峠まで登る
(右上)ふいご峠から城までは30分ほど 杖も完備
(左下)ひたすら階段を登り続ける
(右下)振り返えり、殿様気分で下界を眺める やっと石垣が見える。だが、まだ天守までは階段が続く 現存十二天守唯一の山城・備中松山城
高梁・城見橋公園

 備中松山城に登城するには、城見橋公園と言うところまで車で向かい、そこからシャトルバスに乗り換える必要がある。(バスも運行されているが、あまり便利ではない)
 途中、車がすれ違えないほどの細い道を通るのだが、すれ違う学生さんたちが皆さん丁寧にお辞儀をしてくださる。なんだか恐縮しきりで城見橋公園を目指す。

高梁・ふいご峠

 城見橋公園からシャトルバスに乗り換えて10分ほどで、ふいご峠に到着する。いよいよ城かと思えば、そうはいかず、ここからさらに山道を数十分歩くことでようやく天守閣に到着するのである。
 登城口には、竹製の杖が常備されていて、道中の険しさが想像される。
 せっかくなので杖をお借りして、いざ天守へ。

高梁・備中松山城天守

 軽い登山道のような道を延々と登り続け、ふと振り返ると街が下界の彼方に見える。本来であれば、遠くの山々まで空が広がっているのではないかと想像するが、あいにくの空模様で視界が悪いのが残念でならない。
 のんびり歩いて20分、ようやく城の石垣が見えてくる。どうやってこんな山の上まで石を運んだのかは知らないが、なかなかに立派な石垣を目にすると、階段を登ってきた苦労が報われる。しかし、殿様も勤務先がここまで山奥というのはなかなか、通勤地獄だったに違いない。
 石垣の横のかつての大手門の跡を超え、丸の内の階段を登り切って、ようやく天守閣へたどり着いた。
 正直、予想以上に小さな天守閣である。城というか、大きめの古民家のようにも見える。
 実際、往時も政務機能は麓にあり、この城は権威の象徴、つまりは、限りなく張りぼてに近い存在だったらしい。確かに、城の内部は外観以上に簡素で、ここで戦ったり、籠城したりする気はあまりなかったようにも見える。
 城と言えば、城下町を抱えた大きな平城のイメージがあるが、実際のところはこのような山城も日本国内にたくさんあったはずである。その意味でもとても貴重な山城の最後の生き残りである備中松山城は、大変貴重な存在である。

ぶっかけうどん発祥の店・倉敷のふるいち (上)造船所の一角にある倉敷シーサイドホテル
(下)対岸は、JFEスチール西日本製鉄所 鷲羽山から瀬戸大橋の向こうに沈む夕陽を眺める
倉敷・ぶっかけうどん ふるいち 水島店

 アーモンド・トーストに続いて、これもまた、行くまでは知らなかったのだが、倉敷には”ぶっかけうどん”発祥の店があるらしい。倉敷を中心にチェーン展開するふるいちさんである。
 ”発祥”に関しては諸説あるようだが、”ぶっかけうどん”の登録商標を保持しているのは、まぎれもなくこの店である。
 柱を中心に椅子を並べた、なんとも変わったレイアウトの店内に入り、ここは迷わず”ぶっかけうどん”を注文する。
 ぶっかけうどんとしては、まあ、可もなし不可もなしだが、変わっているのが添えられている薬味。一般的なさぬきうどん店では、生姜のポジションに、わさびがたんまりと鎮座している。
 よくよく汁を味わうと、甘みの強いそばつゆ風味でたしかにわさびとよく合う。が、まあ、そのつゆがうどんと合うかといえば、微妙なところで、なんともコメントがしづらいところ...。

倉敷・倉敷シーサイドホテル

 今回、なかなか風変わりなホテルに宿泊した。倉敷シーサイドホテルというホテルだが、その名前といい外観といい、一見変わった所はない。
 何が変わっているかというとその立地。港の工業地帯のど真ん中にあり、窓を開けると、すぐ横には造船所の800トンの超巨大門型クレーンが鎮座している。
 それもそれもそのはずで、このホテル、サノヤス造船所という造船所が経営していて、ホテルもその敷地内にあるのである。
 そんな経緯から、このホテルでは毎朝造船所を見学するツアーを開催しているのだが、その様子はまた明日の朝ということで。

倉敷・鷲羽山展望台

 間もなく日没の時刻なので、夕陽のスポットとして名高い鷲羽山(わしゅうざん)の展望台に向かう。
 鷲羽山は、児島半島の先端にある山。山頂近くまで車で登ることが出来て、そこに立つと、まるで海に浮かぶ島のように、ほぼ360度瀬戸内海の海が広がる景色となる。晴れていれば、四国まで伸びる瀬戸大橋を眺めることができるはずなのだが、相変わらずの曇り空で橋は近くの数個しかみることができない。(瀬戸大橋は、10個の橋から構成されている)
 駐車場から、瀬戸大橋がよく見える第2展望台を経て、山頂まで歩いて行くと、ちょうど、夕陽が沈みんでいくタイミング。
 曇ってはいたものの、夕陽はバッチリ眺めることができた。
 駐車場から歩いて10分という手軽さを考えると、日本一の夕日スポットと言えるんじゃないだろうか?

 日が暮れて、ホテルに戻ってきたのだが、サノヤス造船所の対岸はJEFスチールの西日本製鉄所で、コンビナートの夜景を眺めることのできる穴場スポット。神秘的に輝くその姿からは、鉄ではない何か、もっと神秘的なものを作っているのではないかとさえ思えてくる。

(左上)造船所見学に出発
(右上)675メートルのドック 日本で2番目の大きさ
(左下)800トンの巨大クレーン
(右下)出来たばかりの新造船
倉敷・サノヤス造船所

 翌朝、サノヤス造船所水島製作所の見学ツアーに参加。見学は、ホテルのサービスとして毎朝行われている。
 見学と言ってもホテルのマイクロバスでドックの周りを回るだけなのだが、それでも貴重な経験には違いない。
 この造船所で作っているのは、主に、穀物や功績を運搬するバルカー(ばら積み貨物船)。それも長さが200メートルを越える巨大なもの。
 巨大な船はパーツに分解され、工場の中で製造された後、クレーンで外に運び出され、ドックで溶接される。海に浮かんでいても巨大な船が、陸に上がっているのだからその大きさといえば、言わずもがな。
 しかも、ここのドックは、そんな巨大なバルカーを2隻半並べることができる675メートルもの長さがあるとのこと。確かにデカイ。
 一度でいいので、ドックに水を入れる進水式なんてものを見てみたい。
 マイクロバスから出られないので、デカいこと以外は今ひとつわからなかったので、消化不良感は否めないが、これを見るためだけでも、このホテルに泊まる価値はあると思う。(ただし、恐ろしく不便な所にあるので、宿泊前にもう一度地図をよく見ること)

(左上)鷲羽山ハイランド入口
(左下)ネズミをメインキャラクターとする豪傑ぶり
(右)地獄のような階段 この前後も延々と階段 無造作に巨大なリクガメが放し飼いにされていた...
倉敷・鷲羽山ハイランド

 続いて向かったのがブラジリアンパーク 鷲羽山ハイランド。ジェットコースター数台と観覧車、それにバンジー・ジャンプといった定番アトラクションが並ぶ、この辺りでは老舗の遊園地である。
 そんなところに何の用かと言うと、スカイサイクルという乗り物に乗るためである。スカイサイクルとは、高架の上に敷設されたレールの上を自転車を漕いで進む乗り物だ。
 「そんなものどこにでもある」と思うかもしれない。実際、遊園地と言わず、我が家の近くの緑地公園にも似たような乗り物が設置されている。
 だが、噂によれば、ここのスカイサイクルは一味違うらしい。レールがとんでもなく高い所に設置してあり、とてつもなく恐ろしいとのこと。その噂の真相を確かめるために、鷲羽山ハイランドに向かったのである。

 入場ゲートをくぐり、スカイサイクルが設置されている右手のエリアに向かう。
 早速目にに入ってくるのが、とてつもなく長い階段。山の斜面と言う立地上、階段は致し方ないにしても、その数342段、バリアフリーもへったくれもない。(あ、スロープはちゃんとありますよ。登りきれるかは別問題ですが...)
 階段をゼイゼイ登りながら園内を見渡すが、時間帯や相変わらずの悪天候を差し引いても、繁盛しているとは言えない来客数。おそらく3桁に届かない数ではないかと思われる。各アトラクションも年季が入っていて、なかなか厳しい状況を物語っている。
 ふと階段の横の壁を見ると、ネズミと思われるキャラクターが描かれていた。どうやら鷲羽山ハイランドのメインキャラクター・チャッピーらしい。普通なら避けるであろうネズミをキャラクターとする辺り、なかなか気骨のある遊園地とお見受けした。その反骨精神でなんとか現在まで生き残ってきたものと思われる。
 そんなことを考えながらなんとか山頂のエリアに到達。ここから右手に進むと、お目当てのスカイサイクルがあるはずである。
 さんざん階段を昇った挙句、最後の最後でそこそこの高さの階段を下らされると、ようやくスカイサイクル乗り場に到達する。

 スカイサイクルの場所は、遊園地のある斜面の縁の部分。そこから張り出すようにスカイサイクルのレールが伸びている。確かに、迫力はありそう。
 まあ、実際のスカイサイクルの様子は下のムービーを見てもらうとして、感想としては、「怖い」というよりは、「眺めが良い」といった感じ。山から瀬戸内海に向かって張り出したレールから瀬戸大橋がよく見える。
 あいにくの曇り空で海の向こうは見えなかったのだが、晴れていればきっと四国まで見渡すことができそう。絶叫マシンとしての期待は禁物だが、この景色を眺めるためなら悪くはない。

倉敷・鷲羽山ハイランド

 目的は果たせたので、来たばっかりではあるが鷲羽山ハイランドを後にしようと、ゲートに戻っていく。
 そのゲートの手前、小動物が飼われている小さな動物園を発見した。ウサギやハムムスター、なにやら変わった鳥(名前がわからない)、さらには木の上にイグアナまでいる。
 何だこりゃと眺めていると、背後の小屋から何やら、のっそり動く物体が姿を現してきた。巨大なリクガメである。
 リクガメは我々なんかに見向きもせず、生えているクローバーをムシャムシャとパクつきながらのんびり移動していく。
 近づいてもいいと、係の方に言われたので近づいてみたが、ソファー並の巨大さ。こんなものが檻の中でなく、広場を歩いているなんて、スゲーよ。鷲羽山ハイランド、侮りがたし!
 ところで、鷲羽山ハイランドは、「ブラジリアンパーク」を名乗っていて、ラテンなリズムのBGMが流れ、ステージでは終日、断続的にサンバショーが行われている。
 カメと戯れているうちに、昼近くになってきたので、サンバを眺めながら昼飯を食べてから、次の目的地へ向かうことにする。


鷲羽山ハイランド スカイサイクル
ジーンズ ミュージアム (左)児島ジーンズストリート
(右)ソフトクリームもデニム色 倉敷デニムストリートでは、デニム色のハンバーガーと肉まんが...
倉敷・Betty Smith ジーンズミュージアム

 児島地区は、国産ジーンズ発祥の地ということで、ジーンズメーカーのBetty Smithがジーンズ・ミュージアムを開設している。
 ジーンズそのものの歴史が展示してある1号館と国産ジーンズの歴史を展示した2号館があり、入場は無料。まあ、正直なところミュージアムと名乗るほどの展示は無いのだが、敷地内にあるBetty Smithのファクトリー・アウトレットはおすすめ。
 そこは、工場の中にある正真正銘のファクトリー・アウトレット。規格外品が破格値で売られていて、本当にお手頃。近くにあれば、しょっちゅう通いたくなるショップで、おみやげなんかにもおすすめ。

倉敷・児島ジーンズストリート

 で、そんなジーンズの街・児島には、児島ジーンズストリートという、デニムのショップが集まったストリートがある。ジーンズはもちろん、デニムの小物なんかも充実している。
 ただ、ストリートと言っても、道沿いにお店はまばらで、どちらかと言えばシャッター商店街の雰囲気。多少、残念感が漂っている。もう少し、店を集約させれば良いのにと思ったりするのだが...。
 児島ジーンズストリートの名物は、花カフェLe PINさんにあるデニム色のソフトクリーム。どんな味がするのかと思えば、意外な"塩味"。甘いソフトクリームから時々顔を覗かせる塩味が新鮮。けして、見た目の出オチだけではない、なかなか味のあるヤツでした。

倉敷・倉敷デニムストリート

 ちなみに、倉敷市街地には倉敷デニムストリートというお店(”ストリート”といっても、こちらはただの店)がある。
 こちらも児島地区のジーンズを取り揃えているのだが、それよりインパクト大なのが、デニム色の肉まんとハンバーガー。
 なんとも食欲を減退させる見てくれだが、食べてみたらただの肉まんとハンバーガー。
 食べ終わると、なんだが青いアイツを倒した気がして、少しだけ経験値を稼いだ気がしてくる。

 と言ったところで、備中松山城と瀬戸内海周遊の旅は終わり。
 天空の城というと、GoogleやBOSSのCMで話題となった竹田城跡有名だが、備中松山城だって負けてはいない。なんたって、こっちには小さいながらも城が残っているのだ。
 これで、当ブログで未訪問の現存十二天守は、弘前、丸岡、丸亀、宇和島、松江の五城。おいおい攻め落としていきたいね。

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