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2017/06/20

乗り鉄☆たびきっぷ 15私鉄制覇(#1 近江&伊豆編)

乗り鉄☆たびきっぷ 15私鉄制覇 2017/6/3-4

 JR東海の在来線全線とその周辺の16の私鉄に2日間乗り放題となるJR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷという☆マーク入りが正式名称というキラキラネームなきっぷがある。
 このきっぷを使って15の私鉄を制覇する旅を敢行してきた。
「いや待て、何故”16私鉄”ではなく”15私鉄”なんだ?」
 という疑問があるかもしれないが、まあ、単にダイヤ上16私鉄を2日間で回るのは到底不可能ってだけ。ネックとなるのが長良川鉄道さん。片道2時間必要な長大路線だが、末端部は1日わずか5本という超ツチノコ級ダイヤ。これをスケジュールに組み込むのはなかなかに厳しい。
 偶然にも、長良川鉄道のみは以前このブログで取り上げている(越美北線・越美南線 自転車連絡大作戦)ので、ここは長良川鉄道以外の15私鉄を2日間で制覇することにした。

まずは東の端・近江鉄道へ

出立の地・貴生川駅 なんだか歴史のありそうなトンネルを潜る
甲賀・貴生川駅

 まず一番手は近江鉄道。滋賀県の琵琶湖東岸地域で南北に延びる路線を持つ歴史ある鉄道会社である。保有する路線は本線、多賀線、八日市線と3つあり、今回乗車する15私鉄の中で唯一路線”網”と呼べるネットワークを保持している。
 早朝、近江鉄道の南の端、そして「乗り鉄☆たびきっぷ」の東側の末端(地理的には、この後訪れる近江八幡駅の方が東に位置している)である貴生川駅を訪れる。
 6時14分発の始発に乗車するのだが駅前のロータリーは乗用車でごった返している。次から次に到着する車から降りてくるのはさまざまなスポーツ道具を手にした中高生たち。なんらかの部活動に参加するため、早朝の電車に乗り込むのだろう。
 貴生川駅は、近江鉄道だけでなく、JR西日本の草津線、信楽高原鉄道の列車も乗り入れている。この時間、JRもすでに動いているので学生たちは、それぞれの目的地に応じてJR、あるいは近江鉄道のホームへ向かっていく。
 駅舎は橋上にあるのだが、そこに改札があるのはJRだけで近江鉄道は改札なしでホームまで降りていくことが出来る。そして階段を下りたところが近江鉄道の改札となっている。
 前日に買っておいた「乗り鉄☆たびきっぷ」を見せてホームを進むと、2両編成の電車が停車していた。
 車内には先ほど車で送迎されてきた学生たちが乗り込んでいる。定刻が近づくにつれその数はだんだん増えてきて、最終的には全ての席が埋まるほどの数になった。今まで全線制覇企画で幾度と無く始発電車に乗り込んできたが、ここまで賑やかなスタートは初めてである。

 切符を購入する乗客が後を絶たなかったため、約2分ほど遅れて出発。
 貴生川を出発するとすぐに景色は田園地帯となり、近江盆地をひっそりと走るローカル電車といった車窓となる。
 近江鉄道は歴史ある鉄道と書いたが、この本線が全線開通したのは1901年であり、現存する私鉄としてはかなり古い部類に入る。貴生川から八日市に向かう区間には、おそらくその頃できたと思われるトンネルが現存していて、タイムトンネルの入口かのごとくぽっかりと口を開けた、レンガ造りのトンネルの開口部を何度か潜ることになる。

東近江・八日市駅

 30分ほどで八日市駅に到着。ここでこの旅最初の乗り換えである。
 本線は米原に向かってまだまだ続くのだが、この電車はここで終点。さらに本線を北上する人も、近江八幡へ向かう八日市線に乗り換える人も、一度電車を降りる必要がある。
 で、乗客は足早に電車を降りると、足早に跨線橋を超えて隣のホームに向かっていく。おいらはのんびりホームの写真などを撮影していて出遅れたので、「こりゃ席は埋まってるな」と車窓の立ち見を覚悟した。ところが隣のホームへ行ってみると、乗換え客のほとんどは米原に向かう電車に乗るらしい。八日市線に乗る人はほとんどいない。
 しばらくして賑やかな米原行きの電車が出発すると、ホームにはおいらほか数人だけが取り残された。なんだか置き去りになった敗者の気分でホームで待っていると、ようやく近江八幡行きの電車が入線してきた。
 結局、乗車人数は1桁。なんとも寂しげに八日市線の往復の旅が始まる。

近江八幡・近江八幡駅

 20分ほどで近江八幡駅に到着。途中乗り降りする人はほとんど無く、また折り返しの八日市行きの電車に乗る人もほとんどいない。
 まあ、本来、早朝のローカル私鉄なんてこんなもんだと想像していたので、ようやく想定通りの旅となった。
 静かに、そして厳かに「乗ってきた電車でそのまま折り返しの儀」を執り行い、八日市へ戻っていく。


多賀大社前駅の駅前に建つ鳥居 (上)彦根駅 JR側の駅舎 反対側の近江鉄道側に行くべきだった
(下)井伊直政の銅像 知らんが偉い人なんだろうね
東近江・八日市駅

 八日市で再び本線に乗り換え、多賀線の分岐する高宮駅に向かう。
 この電車は「ギャラリートレイン」というヘッドマークが掲げられ、社内には地域の子供たちによって作成された版画絵が飾られていた。版画って書いたよね。彫刻刀と「ばれん」って、小学校の時以来触っていない。鍵盤ハーモニカとばれんは、大人になると二度と触れることのない道具の両巨頭ですな。
 さて八日市から高宮駅までの区間、そのほとんどが新幹線の高架のすぐ西側に線路が敷かれている。というか、正確に言えば、新幹線が近江鉄道の東側に線路を敷設したのであるが、そのせいで、東側の車窓は新幹線の線路以外ほぼ何も見えない。「日照権を返せ」と、国労をそそのかして国鉄にストライキを挑むべしと思ったが、まあこんな時間東の空が開けていたら眩しくてしょうがないので、ストライキ慣行は見送って先へ進むことにする。
 線路が直線状に続くこともあってなんだか微妙に退屈な景色が続き、ようやく新幹線の線路から離れることが出来たと思うと、すぐに高宮駅に到着する。

彦根・高宮駅

 多賀大社に向かう多賀線と本線の分岐する高宮駅は、本線と多賀線の間の三角形のホームと駅舎に面したホームの二つのホームがあり、その間を踏み切りで横断するという古式ゆかしい鉄道駅だ。
 駅舎のやホームの雰囲気に味があり、なんともインスタ映えしそうな素敵な駅である。
 が、乗り換え時間に余裕がないので足早に踏み切りを渡って多賀線の電車に乗り込む。
 多賀線はわずか2.5キロの路線で、途中にはスクリーン駅というなんとも普通名詞な駅が一つあるのみである。スクリーン駅は、駅の目の前に工場のあるSCREENホールディングスさんが作った駅で、一見、妙な駅名は同社の社名をあしらった冠駅名である。
 高宮駅で10人ばかりの乗客が乗り込んだのだが、ほぼ全員がそのスクリーン駅で下車していった。どうやらSCREENさんの従業員の皆様らしい。休日出勤ご苦労様でございます。
 そして、あっという間に終点・多賀大社前に到着。駅の目の前に多賀大社の鳥居はあるのだが、多賀大社までは徒歩10分ほどの距離があり、本殿などはまったく見えない。
 しばし駅前で休憩した後、折り返しの電車で高宮駅に戻り、さらに本線の米原行きの電車に乗り換える。

彦根・彦根駅

 高宮から本線に戻り、再び米原への北上再開。高宮までは新幹線に沿って線路が敷かれていたが、高宮から彦根まではJR東海道線に沿って線路が敷かれている。新幹線に追い越されるのは当然だが、東海道線でもまた新快速にバンバン追い抜かれていく。まあ、向こうは国家予算をつぎ込んだ幹線路線、勝負になるわけが無い。
 さて、高宮駅から米原駅までは約10キロ。早ければ20分少々で到着するのだが、この電車、どういうわけか彦根駅に19分ほど停車する。近江鉄道さん、全線を乗り継ぐのはなかなか難儀である。
 19分、ぼーっと待っていても仕方が無いので、彦根駅で降りてみる。
 駅前には巨大な井伊直政(って誰だっけ?)の銅像が建てられている。まあそれ以外特に見るものはないなと、電車に戻っていく。
 あとで気がついたのだが、近江鉄道側の駅舎は反対側の東口で、どちらかといえばそちら側から外に出るべきだった。
 駅構内には近江鉄道ミュージアムなるものもあるそうだ。

 彦根の哲学的に長い停車時間を終え、いよいよ近江鉄道の最終区間を走行すべく、列車がリスタートする。
 彦根から東海道線を離れ、新幹線の線路を潜ってしばらく走ると米原駅に到着する。
 これで、私鉄一発目の近江鉄道を制覇したことになる。

新幹線で一路伊豆へ

(上)米原駅 左側の小さな方が近江鉄道の駅
(下)琵琶湖1周(通称ビワイチ)のためレンタサイクルステーション 乗り鉄きっぷ(新幹線乗車用)
ちなみに、乗り鉄☆たびきっぷは本券とこの券の他にも説明書きが4枚も発券される
米原・米原駅

 米原駅は比較的近年建て替えられたため、JRも近江鉄道も新しくてきれいな駅舎となっている。
 JRの駅舎の1階には、琵琶湖1周のサイクリングのための自転車を貸し出す米原駅サイクルステーションが設置されていた。
 うーん、琵琶湖1周サイクリングも一度やってみたいね。

 さて、米原駅からは新幹線に乗り換えて三島に向かう。
 「乗り鉄☆たびきっぷ」は、有効期間の2日間の間、別途特急料金を払えば4回新幹線に乗車することが出来る。そのカウントのため”乗り鉄きっぷ(新幹線乗車用)”というきっぷがあり、新幹線改札口を通過するたびにスタンプを押してもらう。
 記念すべき1回目のスタンプを押してもらい、新幹線のホームへ向かう。

 さて今回の旅は主に東海道線の駅から延びる15の私鉄に乗車するわけだが、近江鉄道の後、なぜ西から順に乗車していかないかというと理由がある。
 西から順に乗車していっても問題ないのだが、その場合最後が伊豆箱根鉄道となり、せっかく富士山が見える風光明媚な路線を闇夜の中で乗車することになってしまう。ならば東から順に乗ればいいと思ったのだが、今度はスケジュール上2日間で15私鉄全てに乗車することができなくなってしまう。近江鉄道の終電が早く、夜間になると乗り継ぎが悪くなるのが主な理由だ。
 で、考えた苦肉の策が今回のルートで、初日の早朝に近江鉄道を片付けた後、新幹線を使って一気に東の端に向かうという作戦である。
 米原から三島まで、途中の名古屋で乗り換えて約2時間。エクスプレス予約で溜め込んだグリーンポイントを使って、のんびりグリーン車の旅を決め込むとする。

2私鉄目は伊豆箱根鉄道

(左)三島駅1番ホームの駅そば
(右)伊豆箱根鉄道の車窓から見える富士山
三島・三島駅

 2時間の優雅なグリーン車の旅を終え三島駅に到着。
 新幹線改札を出て、在来線ホームの地下道を歩き、次に乗車する伊豆箱根鉄道・駿豆線のホームへ向かう。改札を通過してホームにたどり着いたところで、構内アナウンスが耳に入った。
「次に発車する列車は、JRの1番線から発車します」
 おいらが乗るつもりの電車は、東京から東海道線を走り伊豆箱根鉄道に乗り入れる踊り子109号。この列車は、伊豆箱根鉄道ではなくJRのホームから発車するらしい。
 慌てて、来た道を引き返し、東海道線の1番ホームに移動。
 スタートから6時間、正午を迎えようかとする時刻で腹が減ってきたと思ったところ、ホームの立ち食いそば店からなんとも言えない出汁の匂いが漂ってきた。これを素通りする勇気も気力も無く、気がついたら券売機の前へ。
 カウンターには「冷たいそばあります」の文字。6月に入り、夏が近づいてきたものの、冷たいそばを食べるには涼しく、かけそばを食べるには暑い季節。迷いに迷った結果、温かいきつねそばを注文。
 結果、軽く汗がにじみ出てきたものの大正解。思いがけず優雅な昼食となった。

 ところで東海道線から伊豆箱根鉄道に乗り入れる踊り子号だが、伊豆箱根鉄道の区間では快速扱いとなり、自由席であれば特急券など必要なく「乗り鉄☆たびきっぷ」で乗車することができる。
 そばを食べている間にホームに到着した踊り子号に慌てて乗り込むが、自由席にはそこそこ空席があり、悠々と座席を確保することが出来た。
 踊り子号の車両は国鉄時代に製造されて物で、JRの特急車両としては最古参にあたる。力ずくで上に引き上げる窓やリクライニングしないシート、うるさいモーターなど昭和の鉄道の雰囲気を感じられる貴重な車両である。
 ちなみに、伊豆箱根鉄道には三島から修善寺に向かう駿豆線と小田原から大雄山に向かう大雄山線があるが、「乗り鉄☆たびきっぷ」で乗車することができるのは駿豆線のみ。あくまでも、JR東海道線の在来線区間とそこから乗り換えることが出来る私鉄路線のみが対象となるらしい。

伊豆・修善寺駅

 踊り子の車両を堪能しているうちに、終点・修善寺駅に到着。乗車時間は30分足らず。
 4分の乗り換え時間で慌しく、修善寺駅から折り返す。
 やはり30分で三島駅に戻るわけだが、帰りは富士山が正面に見える贅沢な車窓を味わうことができる。本日の天気は晴れ、富士山の稜線がはっきりと見える。惜しいのが、頂上近くに雲がかかっていること。この雲がいつまでも消えてくれない。
 さすが日本一の標高を誇る富士山、頭は雲の上にありということですかね。

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