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2017/03/30

伊勢湾彷徨記(前編)

 おいらはこんなブログを書いているぐらいだから、電車、バスとか船などの公共交通機関にはそれなりに知識があるつもりである。まして東海地域のそれに関しては「全く聞いたこともない」なんて交通機関はないと思っていた。
 だが、この前伊良湖岬へ遊びに行ったとき、見たことも聞いたこともない航路の時刻表を発見してしまった。桟橋の入り口に掲げられた時刻表には、一日4便の出発時刻と「神島観光汽船」の文字。行き先は神島となっている。
 神島は伊勢湾の入り口に浮かぶ小さな島で、三島由紀夫が小説・潮騒を執筆した際、物語の舞台・歌島のモデルとしたことで有名な島。
 伊良湖岬の目の前にあるのだが、行政区域は三重県鳥羽市で、鳥羽駅近くの港からの鳥羽市営定期船が就航していてることは知っていた。だが、伊良湖岬からの航路があるなんて知らなかった。
 で、さっそく「神島観光汽船」を調べてみるのだが、公式情報がどこにも見当たらない。それどころか、間接的にいくつか個人ブログなどで言及されている以外、ほとんど情報がない。
 いやいや、21世紀になってかれこれ20年近くが経とうとしてるのに、今時、公式Webサイトのない交通事業者など存在するのだろうか?
 そもそも、そんな航路が本当にあるのか、下手したら無許可営業じゃないのかとちょっと疑ったのだが、調べてみると「神島観光汽船」は間違いなく「一般旅客定期航路事業者」として国交省に届出がされている。
 う~む、こうなると、現地調査するしかないということで、伊勢湾の船旅に出かけてみた。

 さて、伊勢湾の旅だが、名古屋の南にある知多半島から三河湾を挟んで渥美半島の伊良湖岬までは名鉄海上観光船の航路があり、伊良湖岬からは鳥羽まで伊勢湾フェリーが就航している。この二つの航路を使えば、知多半島から鳥羽に渡ることができる。(昔は、知多半島の先端・師崎から鳥羽を直接結ぶ航路があったんだよね...)
 だが、伊良湖岬から神島を結ぶ航路があるならば、伊良湖から神島を経由し、そこからは鳥羽市営定期船で鳥羽に渡ることもできることになる。せっかくなので、1日かけて、いろいろな島に寄り道しながら伊勢湾をさまよってみようと思う。

伊勢湾彷徨スタート

(上)河和駅
(下)河和港乗船センター (上)河和 7:35発 → 日間賀島(西港) 7:55 着
(名鉄海上観光船)
(左下)日間賀島と篠島を巡る島巡りきっぷ
(左下)船内の様子
美浜・河和駅

 早朝、名古屋から名鉄に乗り、知多半島の東側、名鉄河和線の終点・河和駅に到着。そこから歩いて5分ほどで河和港に到着する。
 河和港からは名鉄海上観光船の高速船が、日間賀島、篠島、伊良湖岬へと出航している。
 本日は、あえて日間賀島、篠島両方の島へ立ち寄って目的地の伊良湖岬を目指すことにする。そんな島巡りの旅をする人のために、「島巡り料金」なる運賃も設定されており、これを使うと、2,730円で2つの島に立ち寄りながら伊良湖岬へ向かうことができる。
 きっぷを買ったら、さっそく出航時間なので慌てて船に乗り込み、まずは日間賀島に向かう。

 河和港から日間賀島までは約20分。知多半島の先端から目と鼻の先にある島だが、知多半島の中ほどにある河和からだと少し時間がかかる。
 海は穏やかで、バスよりも揺れないぐらいの快適な乗り心地。知多半島や対岸の三河の海岸を眺めている内にあっという間に到着した。

日間賀島に上陸

(上)日間賀島西港
(左下)西港近くのタコのオブジェ
(右下)マンホールのフタにフグが描かれている タコバージョンもある (上)島の中央を通り抜けて東港へ
(下)島の真ん中の小高い場所から見た篠島 (上)島の東端へ
(左下)「ハイジのブランコ」なるいろいろとギリギリな看板
(右下)上ってみると松の木にブランコが釣り下がっていた
日間賀島・日間賀島西港

 タコとフグが名物の日間賀島。島に上陸すると早速、タコのオブジェがお出迎えしてくれる。ちなみに、この島のマンホールの蓋にもタコとフグが描かれている。
 日間賀島の次は篠島に向かうのだが、篠島に向かう船は上陸した”西港”とは違う場所の”東港”から出港する。
 出港まで1時間半ほど時間があるので、のんびり日間賀島を散策しながら、東港に移動するとする。
 日間賀島は周囲6キロの小さな島。歩いて1時間ちょい、自転車なら30分ほどで一周できる。西港から東港までは1.5キロほどで島の真ん中の集落を通るルートと海岸沿いを歩くルートがあるが、今回は島の真ん中を通って東港に向かうとする。
 島は中央が少し標高が高い地形なので、軽く坂を上り、また下ることになる。真ん中あたりから海を見下ろすと、すぐそこに次に向かう篠島が見え、その向こうには渥美半島の先端の風力発電所が見える。本日は天気に恵まれたようである。

 かなりのんびり歩いたのだが、30分ほどで東港に到着。まだ時間があるので、さらに東に向かって歩いてみる。
 島の東側にはビーチがあり、その先が島の東端となる。その先には、すぐ近くに島が見える。愛知県内の3つの有人島の残り1つ・佐久島である。日間賀島から佐久島まで数キロしか離れていないのだが、定期航路は存在しない。佐久島への定期船は、三河湾の奥にある一色町から出航している。
 三河湾をひとしきり眺めて、さて、東港に戻ろうかと思ったのだが、妙な看板を発見した。
 「ハイジのブランコ」という文字とともに、左斜め上への矢印が描かれている。ズイヨーさんへの著作権の配慮なのか、「ハイジのブランコ」という名とは裏腹に、あのアルプスにお住まいのハイジさんとは似ても似つかないイラストも描かれている。
 矢印の方向に向かって階段を登ると、そこは三河湾に張り出した小さな岬のてっぺん。そこに伸びる大きな松の木の枝に白いブランコがぶら下がっていた。試しにブランコを漕いでみると、海に射出されるのではないかという迫力!
 いやね、でもね、海に張り出した岩の上の松の木のブランコってさぁ、アルムの森の木のオンジさんの世界観とは対極にある気がするんだよね...。ねぇ、ロッテンマイヤーさん?


一応、ブランコを漕いでみたけど、こんな感じ

日間賀島から篠島へ... のはずだったのだが...

(上)日間賀島東港
(左下)東港にもやはりタコのオブジェが
(右下)東港の入り口には愛知県内離島唯一の信号機がある(ただし、点滅信号) (上)日間賀島(東港) 9:30発 → 篠島 9:40 着
(名鉄海上観光船)
乗れずに置いてけぼりになった船
(左下)海岸沿いの道を通って西港に戻る 途中、干物が干してあった
(右下)なんと、駐在所も”タコ型” 日間賀島(西港) 10:25発 → 篠島 10:35 → 伊良湖 10:55 着
(名鉄海上観光船)
本当は篠島から乗るつもりだった... (上)泣く泣く篠島へ降りずに通過
(下)篠島側からみるとこんな感じ(2013/6/15 撮影)
日間賀島・日間賀島東港

 ハイジのブランコから日間賀島東港に戻ってくる。
 出航時間が近づくと港の桟橋に人が集まり始め、乗船の列ができる。その最後尾で待っていると、篠島行きの高速船が定刻通りに現れた。
 で、乗客を降ろし、いざ乗船と思ったのだが、何を思ったのか誰も客を乗せずに出発してしまう。
 あとで気がついたのだが、どうやらおいらが並んでいた列は、この船の5分後に出発する知多半島の先端の師崎行きの船に乗船するために並んでいた列らしい。結果、乗船する船の写真を撮りながらも、そいつに置いていかれるという始末となった。
 はて、どうしたもんだか迷ったのだが、今後の日程を考えると、どうやら選択肢は二つしかない模様。
A案 本日はこれにて終了ということで、後日出直す
 まあ、河和港まで我が家から1時間もかからない。別にどうしても今日実行しなくてはならない理由もない。悪くはない選択肢である。
B案 篠島を素通りして、予定通り本日中に神島、鳥羽を目指す  よくよく時刻表を見直してみると、おいらが本来乗りたかった篠島から伊良湖岬に向かう船は、篠島に着く前に日間賀島西港を経由している。今から、西港に戻ればこの船を捕まえることができそう。
 迷うこと5分。まあ、本日のメインイベントは神島。ここは、篠島さんには折れて頂いて素通りさせてもらうことにした。

日間賀島・日間賀島西港

 そんなわけで、海沿いの道を通って、再び西港へ。何のために東港まで行ったのだか...。
 西港に戻ってみると、宿泊客が帰る時間と、観光客が訪れる時間のラッシュアワー。高速船の臨時便も多数出ていて港はごった返している。
 そんな中、篠島経由伊良湖岬行きの船に乗船する。知多半島の河和・師崎方面に向かう客と比べると、乗客はかなり少ない。
 出航して、およそ10分で篠島に到着。本来ならば、ここで上陸して小一時間ほど散策するつもりだったが、やむなく通過。篠島さんスマヌです。
 篠島で数人の乗客が乗り降りした後、すぐに伊良湖に向けて再出航。
 なんだか風が出てきたせいで、船がそれなりに揺れ始めた。船に弱いおいらとしては、ほどほどで勘弁して頂きたいところだがどうなることやら。

伊良湖岬に到着

(左)高速船乗り場の看板の行き先に”神島”の文字
(右上)時刻表によれば、1日4便出ている模様
(右下)手作り感満載の”乗船券” 近くで見つけたなんだかシュールなデザインの看板
浮き桟橋は上から見た図のようだが、船は側面の図になっている。
船を三枚に下ろしたみたいになっているけど、キュビズムってことでいいよね? (左)伊良湖岬の先端に向かって歩いていくと、神島が見えてくる
(右)伊良湖灯台 桟橋に幻の”神島観光汽船”の船が係留されていた
田原・伊良湖岬

 知多半島の対岸、渥美半島の先端・伊良湖岬に到着。
 船着場の桟橋の入り口には、半年ほど前においらが見かけた「神島行き」の船が出ているという看板とその時刻表が設置されている。どうやら、やはり神島行き航路は実在するらしい。
 となると、次はどこで乗船券を購入するかである。港には道の駅を兼ねたターミナルの建物があり、そこで名鉄海上観光船や伊勢湾フェリーのきっぷを販売している。買えるとしたらそこしかないだろうと、ターミナル2階のチケットカウンターに行ってみる。
 チケットカウンターには窓口が3つほどあり、窓口の上には「鳥羽行き」、「師崎行き」などの文字が書かれている。が、案の定「神島行き」の記載はない。とりあえず、窓口の方に尋ねてみるかとカウンターに近づくと、A4のコピー用紙に印刷された神島行きの船の時刻表がセロテープで貼られているのを発見した。
 カウンターで尋ねたところ、どうやらチケットはここで買えるらしい。片道1,500円の乗船券を購入すると、渡されたのは黄色い色画用紙に文字がコピーされた手作り間満載のきっぷ。う~ん、神島観光汽船さん、おいらの期待をわかっていらっしゃる。
 神島行きの船が出るまで 2時間ほどあるので、伊良湖岬の先端の伊良湖岬灯台を見に行く。
 船着場のある場所から灯台までは海岸沿いに遊歩道が設けられているのだが、なんだか風がとても強い。歩けないほどの風ではないものの、次に乗る船の揺れのことを考えると、気が重くなる。
 徒歩10分ほどで灯台に到着。岬の先端にぽつんと設置された、なかなか絵になる白い灯台である。
 このまま遊歩道を進むと、岬をくるっと回って恋路が浜という浜辺に到達するのだが、風の強さに負けて引き返すことにする。

田原・伊良湖岬

 昼飯を食べて、伊良湖岬の船着場に戻ると、神島観光汽船と思わしき船が桟橋に係留されていた。
 あるいは、漁船の片隅の発砲スチロールの間に身を潜めるようにして神島に送還されることを覚悟していたのだが、どうやらちゃんとした座席の着いた客船に乗ることができるらしい。
 一安心して、出航時間を待つことにする。

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