2007-09-14

JR飯田線 195.7km と 下山ダッシュ

 愛知県豊橋から静岡県を掠めて、長野県辰野に向かう全長200キロ弱のローカル線-飯田線。
 今年で全通70周年ということなので、端から端まで乗ってみた。

 で、その飯田線で、忘れてはならないのが「下山ダッシュ」。
 飯田線は、飯田駅周辺で、飯田市街を避けるように大きく迂回する。
 その手前の駅で、電車から降りて猛ダッシュすると、なんと降りた電車にまた乗ることができる。
 そのまた昔、ゆうきまさみのマンガ「究極超人あ~る」のアニメ版で、そのシーンが描かれて以来、挑戦するものが絶えないらしいんだよね。
 光画部員の一員としては、挑戦せざるをえないと常々思っていたんだけど、ついに、実行することにした。
 今回は、そんな、飯田線と下山ダッシュの記録。

豊橋駅 天竜峡駅にあった、川下りの模型(?) なぜかモデルは西洋人
川下り
もちろん船頭は東洋人(ちなみにイケメン)
豊橋・豊橋駅

 名古屋から快速で1時間弱。飯田線の始発駅豊橋に到着。
 ここから各駅停車でひたすら北上し、目指すは終点め・辰野駅。
 夏休みのお盆期間中ということもあり、2両編成のローカル列車(519M 豊橋 10:43 - 伊那八幡 14:22)にかなりの乗客が乗り込んできた。みなさんのお目当てはハイキングのようで、リュックを背負った方が老若男女問わず多数いた。

 電車は豊橋から豊川稲荷で有名な豊川を通り、静岡県に入る。
 そこからは天竜川に沿って天竜川の水源である諏訪湖方面に向かうこととなる。
 で、おいらの最初の観光スポットは、”天竜川舟下り”。
 飯田線沿いの天竜川の舟下りは2ヶ所で行われているのだが、おいらが乗ったのはより急流を下るという”弁天港”から”時又港”への舟下り。
 船着場は伊那八幡駅を下車して数キロの場所にある。
 あいにく、乗車した日は、しばらく晴天が続いたため川の水流が少ない日で、舟は普段よりゆっくりとした速度で下ったそうだが、それなりに水しぶきを浴び、なかなかスリリングな体験をすることができた。

飯田駅
飯田・時又港

 舟下りの終点である時又港は、時又駅のすぐ近く。
 おいらは時又駅から再び飯田線に乗車し(251M 時又 16:22 - 下山村 16:36)、飯田線の旅を再開した。
 時又駅から3駅進むと、先ほど舟下りのために下車をした伊那八幡駅。
 その次の駅がいよいよ下山ダッシュの始発駅・下山村駅。

 さて、改めて下山ダッシュを説明しましょう。


大きな地図で見る

 飯田線は、下山村駅から大きく左回りに迂回して、飯田駅に向かう。
 で、飯田駅3駅先の伊那上郷駅は、下山村駅のほぼ真北。直線距離にして2キロ少々。
 その間電車は、回り道をして6キロほどを15分前後かけて走行する。
 つまり、2キロを、15分で走れば電車より早く伊那上郷にたどり着けるということ。
 2キロ15分なんて楽勝、と思うかもしれないが、話はそう簡単ではない。なぜなら、下山村駅から伊那上郷駅は、延々と上り坂が続くからだ。
 ちなみに、両駅間の標高差は73m。なんと、ビル20階分も登らないといけないのだ。
(だったら、逆方向でやればいいだろうって? いやー、ほら、なんか空気を読むと、やっぱ登らないといけない気がするじゃん)

 16時36分、電車は下山村駅に到着。
 無人駅のため、車掌に切符を見せ、急いでホームへ降りる。
 ホームを走っていると、運転手のおっさんが「走るの?」と聞いてきた。
 下山ダッシュを敢行するアホは、結構いるらしく、おいらの蛮行をお見通しのようである。
 うなずきながら「行ってきます」と答えると、おっさんは「がんばって!」とにこやかに送り出してくれた。

 

 さて、駅を出ると数百メートルは平坦な道が続くのだが、すぐに急斜面とも言える坂道が行く手を阻んでくる。
 さっそく、走るというより、ほぼ早歩きの速度になる。
 おまけに、当日の気温は35度。真剣に、頭がクラクラし始める。
 それでもなんとか、走ること10分少々。
 なんとか、間に合うな....。と、思った矢先、にわかに不安があたまをよぎり始めた。
 事前に地図でダッシュルートを調べておいたのだが、どうも、その道を外れてしまったようなのだ。
 線路はあるのだが、駅がどこにも見えない。

 本来は、地図の赤色のルートを走るはずだったのだが、いつのまにか青色の道に入ってしまったようなのだ。(二つのルートの分岐が五叉路になっており、方角を間違えてしまったらしい)

 で、結局、そこで時間切れ...。
 何とか、道を引き返して、伊那上郷に着いた時には、とっくに電車は通り過ぎていた...。
 心身ともにくたびれ果てたおいらは、無人駅のベンチに倒れこみ、数十分動くことができなかった....。

飯田・伊那上郷駅

 疲れた上に電車にも乗れず、すっかり打ちのめされ、灰と化したおいらは、失意のどん底のまま、下り列車(234M 伊那上郷 18:04 - 飯田 18:08)に乗って、一駅手前の飯田駅に戻り、本日の宿へと向かった。

2007/8/16 21:00 飯田・下山村駅

 今回の旅の目的は、あくまでも飯田線全線制覇。
 しかしながら、下山ダッシュを敢行した関係で、下山村から飯田の区間の電車にのっていない。
 なんだか悔しいので、すっかり暗くなった夜道を一人とぼとぼと徒歩で下山村駅に向かい、3駅間ほど電車に乗る(1439M 下山村 21:05 - 飯田 21:14)。
 誰もいない、下山駅のホームで下山ダッシュの失敗の悔しさがよみがえり、「またいつか来よう!」と、一人、リベンジを誓った。
(いや、もちろん、そんなたいそうなものではないんだけどね...)

 ちなみに、5年後にリベンジしています。
 ⇒下山ダッシュ・リベンジ

2日目出発進行 千畳敷カール
飯田・飯田駅

 日付は変わって、翌日の8月17日。
 飯田線の残りの区間、飯田-辰野間の制覇に向かう。
 まずは、ソースカツ丼の町・駒ヶ根へ(237M 飯田 09:45 - 駒ヶ根 10:50)。

 で、まあ、駒ヶ根でソースカツ丼を食べたのだが、ぶっちゃけ大したものではなかったので、そのことには触れずに、次の話。
(ソースカツ丼は福井名物としても有名だが、食べるのなら駒ヶ根より福井! 福井に行くべし)

 駒ヶ根で途中下車したのは、ソースかつ丼ためだけではなく、木曽駒ヶ根に行くため。
 木曽駒ヶ根には、千畳敷カールとよばれる、氷河の侵食でできた大きな谷がある。
 そこに行くため、駒ヶ根からバスに乗り、麓のロープウェイ乗り場に向かった。
 だが、お盆の真っ只中ということもあって、ロープウェイは2時間待ちの大混雑...。

 で、2時間待った後、ロープウェイに乗って千畳敷カールに向かう。
 ロープウェイから降りるとすぐに千畳敷カールが広がっている。
 大きく緩やかな谷に、うっすらと高山植物が広がっており、なかんか見ごたえがあり、雄大かつ不思議な景色を見ることができる。うん、2時間待った甲斐はあった。
 ちなみに、ロープウェイの終点は日本で最も高い場所にあるロープウェイの駅だそうで、標高は2611.5mになる。ここまで登れば、夏の真っ只中でもさすがにひんやりしていて快適だった。

飯田線終点・辰野
駅名表示もJR東日本仕様の緑色になる 電車は中央線・岡谷まで直通
駒ヶ根・駒ヶ根駅

 千畳敷を堪能し、駒ヶ根駅に戻ってきた。
 終点・辰野駅に向かう最後の電車(251M 駒ヶ根 18:11 - 辰野 19:01 - 岡谷 19:17)に乗り込むと、時はすでに18時を回っていた。
 飯田線も、残り30キロ余り。1時間もたたずに、辰野にたどり着いた。

 飯田線の終着駅は辰野なのだが、実は飯田線に辰野行きの列車はあまりなく、ほとんどが中央本線を通って岡谷駅に向かう。
 僕が乗り込んだ電車も岡谷行きで、辰野はただの途中通過駅でしかない。
 ただ、飯田線はJR東海の線路で、中央本線はJR東日本の線路のため、辰野で運転手が交代するために、5分ほど停車する。
 その間に、辰野駅に降り立ち、ここが飯田線の終点か...、とホームを歩いた。
 辰野は飯田線の”終点”という以外にとりたて何もない、本当にローカルな駅のため降りる人も乗る人もそう多くはない。
 おいらも、さすがに、ここで1時間半後の次の電車まで時間はつぶせないので、同じ電車に再び乗り込んで、岡谷に向かった。

 日本最大のローカル線飯田線の旅はこれにて終了。
 その日はこのまま岡谷から松本に向かい、翌日松本見物をしてから名古屋に帰りました。
 またいつか、下山ダッシュのリベンジを果たさねばと誓った、ある夏の出来事でした。

 この5年後、ちゃんとリベンジをしました!
 ⇒下山ダッシュ・リベンジ

2 件のコメント:

  1. 飯田市在住です。
    この度『下山ダッシュ』への挑戦者を探していて此処にたどり着きました。
    http://shinshu.fm/MHz/44.45/archives/0000301266.html
    で、勝手に紹介させてもらいました。

    ぜひリベンジを果たしてもらいたいです。

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  2. コメントありがとうございます。
    えぇ、ぜひリベンジをしたいとは思っていますが、なかなか面倒で...。
    でも、必ずやりますよ、下山ダッシュ!

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